デジタル社会の近年、多くの起業で導入されているマーケティングオートメンション(MA)ツール。
しかし実際にかかる導入費用や相場を知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、MAツール自体の費用や運用費用と共にMAツールの選び方を解説します。MAツールの費用比較表もありますので是非お役立てください。
MAツールとは
MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング活動業務の大部分を自動化し、最終成約にいたるまで効率的に運用できるツールのことです。
BtoBの商談では、初回の接触から商談機会を得られるまで数年かかることも。その間、多くの顧客に対してマーケティング担当者が状況を伺い続けるのは非効率なため、適切なタイミングを逃してしまう可能性が高いです。
その結果、競合他社との取引が決まる場合もあります。
MAツール導入によるメリット
MAツールを導入するメリットは、見込み顧客を逃しにくいことです。従来のマーケティング活動は人の手で行われていたため、見込み顧客に対し適切なタイミングで必要な情報を提供できる人数には限りがありました。
しかしMAツールを導入すると、人の目ではわからなかったWebサイト訪問情報や閲覧履歴も分析し、アプローチできます。今まで見逃していた見込み顧客から商談獲得が見込めるのです。
また、顧客も自身が知りたい情報や役立つ情報を得られるため、企業に対する印象が良くなります。その結果、購買意欲が高まって成約にも繋がりやすくなります。
ほかにも、顧客育成完了後の見込み顧客を営業担当者に引き継ぐことができます。営業担当者とマーケティング担当者との認識の違いを防ぎ、特定の営業担当者以外でも受注率を高めることが可能です。
またMAツールを導入することで、人材が不足しがちな中小企業でも営業の効率化や生産性向上が見込めるのもメリットです。
MAツール導入によるデメリット
MAツールを導入するデメリットとして毎月費用がかかることが挙げられます。MAツールのほとんどは月額費用を支払うクラウド型です。多機能なMAツールを選ぶと費用は高額になります。
コストを押さえるためには自社に必要な機能を選ぶ必要があります。
また、MAツールを運用できる人材の確保や運営における費用が発生するのもデメリットです。
導入初期は担当者の業務量が増え工数が増えます。知識や経験のない担当者ではMAツール運用時の操作や運用方法が難しく、新たに人材を確保する必要も出てくるでしょう。
MAツールの導入にかかる3つの費用
ここではMAツール導入の際にかかる費用について解説します。
MAツールの導入には「MAツール自体の費用」「導入コンサルティング費用」「運用コンサルティング費用」の3つが必要です。それぞれ以下に解説します。
1.MAツール自体の費用
MAツール自体の費用は、無料や10万円未満のものから数十万円の費用がかかるものまで幅があります。初期費用と月額費用が分かれて設定されている場合が多いため、MAツールの導入費用を計算する際は、初期・月額費用を合わせた合計金額で計算しましょう。
また、MAツールの中には最低利用期間を定めたものもあるので、利用期間を確認してから費用を計算することが大切です。
MAツールは一般的に機能や管理・活用したい顧客情報数が多くなるほど費用がかかります。しかし多機能なMAツールにすればいい、高額なMAツールを利用すれば、どんな企業でも成果が出る、というわけではありません。
多機能なツールは正しい知識が無いと初期設定や運用が難しいため、シンプルな機能のツールの方が効率よく運用でき成果に繋がることもあります。
2.導入コンサルティング費用
自社内にマーケティングやデジタルツールに詳しい人材がいない場合は、MAツールの導入コンサルティングを依頼するのがおすすめです。使い方を理解していないと、自社の業務に必要な機能を使いこなせず、実際の運用開始までに時間がかかることも考えられます。
導入コンサルティング費用は依頼する会社や対象となる自社の規模によって異なり、月額数万円から数十万円ほどです。
コンサルティングを依頼すると費用はかかりますが、MAツールの初期設定や導入時の設計など不明点の相談にも対応してくれます。
3.運用コンサルティング費用
MAツールを導入後、運用に慣れていない期間は運用コンサルティングを依頼するのがおすすめです。MAツールは長期的に運用するツールのため、正しく運用できていないとなかなか成果に結びつかないことも。
専門知識を持つコンサルタントなら効率の良い運用方法を学びつつ、戦略設計の相談もできます。ただし、運用コンサルティング費用は一般的に数十万円から数百万程度といわれています。
MAツールを安く導入する方法を解説
MAツールは導入に必要な初期費用・月額費用のほかにも、導入コンサルティングや運用コンサルティング費用がかかります。
予算を抑えてMAツールを導入したい場合は、まず自社に必要な最低限の機能を洗い出しましょう。マーケティング活動において必要な機能を洗い出すことで、機能の少ないMAツールでも充分に運用が可能です。
洗い出した後は無料体験版やトライアル期間を設けているMAツールを利用し、実際に自社に活用できるかを確認します。事前に必要な機能がわかっているため、MAツールを導入後に「自社と合わなかった」というようなことを避けられます。
MAツール別費用比較表
MAツールは国内外のベンダーが開発しており、種類が豊富です。さまざまな機能を備えたなかから自社に合ったツールを選定できます。
ここでは中小企業におすすめしているMAツールの主な機能や初期費用、月額費用などを比較表にまとめました。選定の際にお役立てください。
ツール名 | 導入事例 | 初期費用 | 月額費用 | 無料トライアル |
---|---|---|---|---|
List Finder | 三重電子株式会社株式会社ミズノ | 0円~ | 39,800円~ | 〇 |
Kiros3 Marketing | 株式会社タイガーリコーインダストリアルソリューションズ株式会社 | 10,000円 | 15,000円~ | – |
SATORI | 千葉テレビ放送株式会社パナソニック株式会社 | 300,000円 | 148,000円~ | – |
SHANON MARKETING PLATFORM | 富士通株式会社株式会社JTB | 100,000円 | 100,000円~ | – |
HubSpot | 株式会社マネーフォワード株式会社明光ネットワークジャパン | 0円 | 無料プランあり1,800円~ | 〇 |
b→dash | 江崎グリコ株式会社株式会社ドーム | 500,000円 | 300,000円~ | – |
MAツールの主要な機能を紹介します
MAツールには、見込み顧客管理機能、スコアリング、シナリオ作成、ランディングページやフォーム作成などが主要な機能として搭載されています。
見込み顧客管理機能
見込み顧客管理機能は、Webサイトのアクセス情報や資料請求履歴などのデータを一元管理する機能です。
属性設定や管理が可能で、「問い合わせ」や「会社規模」といった項目やタグから自動で優先順位を決定します。
スコアリング
スコアリングは、MAツールに蓄積された見込み顧客情報をもとに、受注の高さを導き出す機能です。見込み顧客の各行動ごとに企業が定めたルールに従い、点数を加算していきます。
一定以上の点数になると、デモ訴求のメール送信や営業への依頼といった活用ができるため、営業部門とコミュニケーションを取りながらルールを定めましょう。
シナリオ作成
シナリオ作成は、顧客の行動に合ったアクションを決める流れのことです。たとえば顧客が無料トライアルを申し込んだ場合は、機能の説明やサービスの利用方法案内を自動で送ります。
顧客のニーズや行動の特性を把握することで効果的なシナリオを作成できるため、さまざまなマーケティングの施策を行い、効果の高いものをシナリオに設定すると良いでしょう。
ランディングページやフォーム作成
MAツールにはランディングページや申込み、資料請求フォームの作成ができる機能が備わっています。MAツール内でメールのリンククリックやフォームからの申込みの流れを分析できます。
また、コンバージョンのデータも蓄積されるため、クロスセル・アップセルに繋がる施策への活用も可能です。
MAツール選びに大切な5つのポイント
ここではMAツールを導入する上で大切な5つのポイントを解説します。
MAツールは「BtoBかBtoC向けか」「自社課題を解決できる機能があるか」「サポート体制がしっかりしているか」「費用対効果が高いか」「自社と同規模・同業種の企業が導入しているか」の5つが大切です。それぞれ以下に解説します。
1.BtoBかBtoC向けか
まず導入したいMAツールがBtoB向けのものか、BtoC向けのものかを確認します。BtoB向けとBtoC向けでは対象の顧客数が異なり、一般的にBtoC向けの方が想定する顧客数は多いです。顧客へのアプローチ方法や特性、必要な機能も異なるため注意しましょう。
たとえば、BtoB向けのMAツールは商材が高額な場合が多く、購入までに組織内の複数の人物が関わって意思決定が合理的に行われます。そのため顧客にアプローチし、顧客育成が完了するまで長期間のマーケティング活動や記録・管理のできる機能が必要です。
一方、BtoC向けは商材の購入価格が比較的安価で、購入者と決裁者が同一である場合が多いため、衝動的な購入にも繋がるアプローチ機能が必要だといえるでしょう。
2.自社課題を解決可能な機能を備えているか
MAツールを選ぶ際は、自社の課題解決が可能な機能があるかどうかが大切です。どのMAツールも、マーケティング活動を支える基本的な機能を共通して備えています。
しかし、見込み顧客を扱う人数や細分化された分析機能など、MAツールごとに拡張や強化できる機能が異なります。それぞれのMAツールの機能を比べて自社の課題解決が可能か確認しましょう。
ただし、中小企業では人材不足により、マーケティング活動において十分な知識があっても時間的リソースが足りない場合もあります。
3.サポート体制はしっかりしているか
MAツールの導入や運用時にサポートがあるかも重要なポイントです。事前に自社で対応可能なレベルとサポートが必要な具体的内容を確認し、打ち合わせを行うことでスムーズな導入が可能になります。
また、問題が発生した際のサポート体制やアドバイスの範囲を把握しておくことで、運用もスムーズに行えるでしょう。
4.費用対効果が高いか
自社の課題を解決させる機能が備わった、費用対効果の高いMAツールを導入しましょう。
MAツールは一般的に多機能であるほどかかる費用も高額です。自社の課題解決に必要な機能に優先順位を付けておくことで、無駄な費用を抑えて必要な機能が備わったMAツールを選択できるでしょう。
たとえば見込み顧客の獲得をよりピックアップしたい場合は、ウェビナー開催や広告出稿、ランディングページ作成機能などが充実したツールが向いています。
5.自社と同規模・同業種の他社が導入しているか
同業他社の導入実績があるかどうかも確認しておくのがおすすめです。競合関係にあり、事業規模も同等の企業で導入実績があれば、自社でも適切に運用が可能と判断できます。
また、自社と同様の課題を抱えていることが予想できるため、導入する判断材料になるでしょう。
【注意】MAツールを導入する前に
MAツールを運用する際は「導入する目標設定を検討する」「SFAやCRMと連携可能なMAツールを選択する」の2つの注意点があります。
1.導入する目標設定を検討する
MAツールを運用する前に自社の目標設定を検討しましょう。各企業ごとに抱える課題は異なり、見込み顧客の獲得やCVの改善などさまざまです。
MAツールはマーケティング活動のサポートを行うツールのため、マーケティング活動の施策は自社で検討し、コンテンツやリソースを用意する必要があります。
2.SFAやCRMと連携可能なMAツールを選択する
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)と連携できるMAツールか確認しましょう。
たとえばCRMの機能による見込み顧客の適切な管理やリピートの促し、SFAの機能で見込み顧客により細かく適切な営業活動を補助できます。
MAツールは費用の安さ以外にも着目して選定する
MAツールを導入する際は費用の安さだけではなく、自社の問題解決ができる機能が備わっているか、サポート体制が整っているかなど5つのポイントを抑えて選定すると導入後もスムーズに運用ができます。
ただし運用の知識がない場合はコンサルティング費用や、コンテンツ制作費用がかかるため、全てのコストを算出した上で費用対効果の高いMAツールの導入を検討しましょう。