マーケティング活動を自動化して、業務の効率化を図れるMA(マーケティングオートメーション)ツール。
MAツールという言葉は聞いたことがあっても、どのようなものかわからない、選び方がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、MAツールでできることについて以下の観点から解説します。
- MAツールとは
- MAツールの主要機能
- MAツールの選び方
- MAツールでできること
効率良くマーケティング活動を行いたいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にMAツールの導入を検討してみてください。
MAツールとはマーケティング活動を効率化するツールのこと
MAツールは、「マーケティングオートメーションツール」の略で、マーケティング活動を効率化するためのツールのことを指します。
MAツールには、マーケティング活動に必要な業務を効率化・自動化するさまざまな機能があります。MAツールの主要な機能については、「maツールの主な機能一覧」で解説していますのでそちらを参考にしてみてください。
MAツールのさまざまな機能を駆使することで、企業は効率的かつ効果的なマーケティング活動が可能です。ただし、MAツールを導入する際には、自社のビジネスモデルやマーケティング戦略に合ったツールを選ぶことが重要になります。
MAツールの選び方については、「maツールの選び方」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
MAツールが注目されている背景
MAツールは、人手不足や消費者の購買行動が変化した現代のマーケティング戦略において、重要な役割を果たします。
MAツールは、主に以下のような理由から、さまざまな業界で注目されています。
- インターネットが普及したことで消費者の購買行動に変化があった
- データ分析が必要不可欠になった
- 営業手法が変化した
株式会社Faber Companyが2023年に実施した「マーケティングの取り組みに関する実態調査【2023年版】」によると、3社に1社がマーケ人材について、「かなり足りていない」と回答しています。「やや足りていない」の回答も合計すると、76.8%の企業が人材不足を感じている結果となっています。
MAツールでできること5つ
MAツールは、これまで手動で行っていたマーケティングに関する業務を自動化して業務を効率化できるツールです。
MAツールを導入することで、自社にどのように役立つのか気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、本章ではMAツールの導入によって実現できることを5つ解説します。
- 顧客情報の一元管理
- 見込み顧客の創出(リードジェネレーション)
- 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
- 見込み顧客の絞り込み(リードクオリフィケーション)
- マーケティング施策の評価
1.顧客情報の一元管理
MAツールは、さまざまなルートで手に入れた顧客の情報を一元的に管理するのに役立ちます。
これから顧客となりうるであろう見込み顧客(リード)は、自社にとって大切な財産です。さまざまなルートで入手した顧客の情報をマーケティング以外の部門でも共有できれば、顧客と深いつながりを築くことも可能です。
2.見込み顧客の創出(リードジェネレーション)
MAツールはリードジェネレーションを手助けするツールになります。
リードジェネレーションの代表的な手法には以下のようなものがあり、手動で行っているという企業も少なくはないでしょう。
- 展示会やイベント
- セミナー
- Web広告
- オフライン広告
- コンテンツマーケティング
- SNSマーケティング
- 動画マーケティング
- ダイレクトメール(DM)
- テレアポ
- Webサイトの改善
実際にリードジェネレーションにMAツールを活用する際は、Webサイトの訪問者を分析してターゲットになりそうな企業にDMを送ったり、アクセスログを解析してサイトの改善に役立てたりできます。
ほかにも、登録フォームの作成、フォームに入力された情報を自動的にデータベース化することも可能です。
3.見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
リードジェネレーションで見込み顧客を獲得したあとは、リードナーチャリングすなわち見込み顧客の育成が必要です。
リードナーチャリングの段階では、リードに対して以下のような手法でアプローチを行います。これらもMAツールによって自動化できます。
- メールの配信
- Webサイト訪問履歴の分析
- リード管理
- メール配信やサイト改善の効果測定
さらに、MAツールを活用すれば、一度接点を持ったまま放置されてしまった見込み顧客を再びリードとして育成する「リ・ナーチャリング」も効率的に行えます。
4.見込み顧客の絞り込み(リードクオリフィケーション)
リードクオリフィケーションの段階でMAツールでできることは、見込み顧客のなかでも特に購入の可能性が高い見込み顧客のリスト化です。
ほかにも、シナリオ作成やスコアリングなどを実施でき、システム連携機能を活用すれば営業部門によりスムーズに引渡しができます。
MAツールの主な機能である「シナリオ作成」や「スコアリング」について詳細は、「MAツールの主な機能一覧」をご覧ください。
5.マーケティング施策の評価
MAツールでできることは、マーケティング活動のの一連の流れを自動化することだけではありません。
マーケティング施策は評価を感覚的に行いがちですが、MAツールを活用することで、パフォーマンスを数値で評価できます。
たとえば、分析やレポート作成機能を活用して、顧客の行動を定量的に評価すれば、効果的な振り返りが可能です。
MAツールの7つの機能一覧
MAツールの主要機能を一覧表にしました。それぞれの機能について詳しくは、機能名をクリックしてご確認ください。
機能名 | 機能の詳細 |
---|---|
リード(見込み顧客)管理 | 見込み顧客の情報を一元管理し、その行動履歴を蓄積・分析する機能 |
メール作成・配信 | メールテンプレートの作成や、見込み顧客リストへの一括または個別のメール送信を行う機能 |
ランディングページ・フォーム作成 | LP(ランディングページ)や入力フォームを簡単に作成し、Webサイトへの訪問者情報を収集する機能 |
シナリオ作成 | マーケティング活動を自動化するためのシナリオを作成する機能 |
スコアリング | 見込み顧客の購入意欲や成約確率を数値化する機能 |
分析・レポート作成 | マーケティング活動の結果を分析し、レポートとして出力する機能 |
広告連携 | 広告プラットフォームと連携し、広告の配信結果と見込み顧客の行動データを一元管理する機能 |
1.リード(見込み顧客)管理
MAツールには、見込み顧客の情報を一元的に管理し、その行動履歴を蓄積したり分析したりする機能があります。
見込み顧客の情報として管理すべき情報には、以下のようなものがあります。
- 基本的な企業情報(BtoBのケース)
- 基本的な個人情報(BtoCのケース)
- 過去の問い合わせ情報
- 商談の情報
- 契約情報や購入情報
MAツールでは、以上のような情報のほか、顧客が閲覧したWebページと滞在時間、過去の問い合わせなど、さまざまな情報をまとめて管理することが可能です。
2.メール作成・配信
MAツールには、メールテンプレートの作成や、リードリストへの一括または個別にメール送信を行う機能があります。
メールの作成や配信だけであればほかのツールでもまかなえますが、MAツールであればほかの機能と組み合わせて効果的にメールの作成や配信ができます。
たとえば、ある製品に興味を持つ顧客にターゲットを絞ってメールを配信するターゲティングメール。ターゲットを絞り込むには顧客情報の整備が不可欠ですが、MAツールがあれば一元的に管理された顧客情報をもとにターゲットを細かくセグメントできます。
3.ランディングページ・フォーム作成
MAツールでは、LP(ランディングページ)や入力フォームを簡単に作成し、Webサイトへの訪問者情報を収集する機能があります。
MAツールを活用すれば、LPやフォームから得た顧客情報をそのままMAツール上で管理することが可能です。MAツールのLPやフォーム作成機能は、顧客情報を深く理解したり今後のマーケティング施策を立案したりするのにも役に立ちます。
どのMAツールを選ぶかにもよって変わってきますが、ランディングページの最適化(LPO)が可能なツールもあります。
4.シナリオ作成
MAツールには、マーケティング活動を自動化するためのシナリオを作成する機能があります。
シナリオとは、設定した条件をトリガーにして、さまざまなアクションが事前に設定した条件に沿って自動で実施される機能です。
たとえば、国産のMAツール「SATORI」では、シナリオ機能によって以下のようなアクションが自動で実施されます。
- 設定した条件をトリガーとして、事前に設定したメール送信とタグ付与を自動で行う
- 設定した条件をトリガーとして、事前に設定した社内メンバーへの通知メール配信を自動で行う
- 設定した内容のメールを日時指定で、ステップに分けて送信できる
- タグ付与の有無で分岐させ、分岐先で異なるメール送信を自動で行う
- シナリオに設定された各ノードを通過したカスタマー数、最終ノードに達したカスタマー数
5.スコアリング
MAツールでは、リードスコアリング機能もあります。リードスコアリングとは、見込み顧客の属性や行動を数値化することで、リードナーチャリングにも有効です。
ただ、スコアリングはSATORI株式会社が行った「【機能別】MA活用実態調査」によると、カスタマー機能やメール機能と比べて普段から使用頻度が低い機能となっています。
6.分析・レポート作成
MAツールには、マーケティング活動の結果を分析し、レポートとして出力する機能があります。データを分析し、レポートを作成することでマーケティング施策の評価を定量的に行えます。
たとえば、GoogleアナリティクスやContent Analyticsのような外部ツールと連携できるMAツールであれば、高度な分析やより精度の高い施策の実行も可能です。
7.広告連携
MAツールでは、広告プラットフォームと連携し、広告の配信結果と見込み顧客の行動データを一元管理する機能もあります。
MAツールには複数の広告媒体を登録できるものが多く、以下のようなデータの取得が可能です。
- 登録した広告媒体のうちどの広告がどのくらいクリックされたか
- 広告がクリックされやすいメディアはどれか
- どのようなデバイスからのアクセスが多かったか
- 何件が成約に至ったか
最近では、SNSと連携できるMAツールもあるため、自社のマーケティング戦略に合った広告と連携のできるMAツールを選ぶのが良いでしょう。
MAツールの4つの選び方
MAツールは、自社のマーケティング戦略や企業規模などに応じて選択する必要があります。本章では、MAツールの選び方として以下4つのポイントを紹介します。
- 機能を比較して選ぶ
- 運用コストや人的リソースを考慮して選ぶ
- ツールの開発元の国で選ぶ
- 他社の導入事例を参考にして選ぶ
1.機能を比較して選ぶ
MAツールは、さまざまなものがあるため各ツールの機能を比較することが重要です。自社のマーケティング戦略に必要な機能が備わっているか、確認するようにしましょう。
MAツールの機能については、「MAツールの主な機能一覧」で解説した通りです。しかし、選ぶツールによってはほかの機能を搭載している場合もあります。
たとえば、マーケティング部門を立ち上げたばかりやマーケティングの担当者を育成している途中の場合は、必要最低限の機能が備わったMAツールを選ぶと良いでしょう。
2.運用コストや人的リソースを考慮して選ぶ
MAツールを導入する際には、運用コストや人的リソースを考慮することも大切です。
たとえば、顧客獲得に強いという特徴を持つ「SATORI」は、初期費用が30万円(税別)、月額費用が14万8,000円(税別)です。
また、せっかくMAツールを導入しても運用できる人材がいなければ意味がありません。MAツールを扱える人材のリソースも考慮して、使いやすいツールを選ぶというのも一つの手でしょう。
さらに、これまで部門ごとに異なるツールを使っていたのであれば、MAツールを全社に導入することで他部門との連携も強化できるというメリットも享受できます。
3.ツールの開発元の国で選ぶ
MAツールの開発元の国で選ぶのも一つの方法です。MAツールは、日本で開発されたものから海外で開発されたものまでさまざまな種類があります。
国産のツールを選ぶ主なメリットは、日本のビジネス環境に適していることや、充実したサポートを受けられることです。国産のツールには海外産のツールにはない、セミナー開催やイベントを行うために必要な機能を備えている場合もあります。
対して、海外で開発されたツールを選ぶメリットは、先進技術を取り入れられることやグローバルなマーケティング戦略が可能になることです。
4.他社の導入事例を参考にして選ぶ
同じ業界や職種の企業の導入実績を参考にし、評判の良いツールを選ぶのもポイントです。
たとえば、クラウドコンサル事業とバス予報事業を行う会社では「BowNow」を導入したことで、問い合わせ数が2倍に増加しています。
多くのMAツール開発会社では、サイトや資料に成功事例を掲載しています。
まとめ
今回は、MAツールでできることやMAツールの選び方、MAツールの機能について解説しました。
MAツールでできることは、次の5つです。
- 顧客情報の一元管理
- 見込み顧客の創出(リードジェネレーション)
- 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
- 見込み顧客の絞り込み(リードクオリフィケーション)
- マーケティング施策の評価
MAツールは、マーケティング活動の一連の流れを自動化し、マーケティング部門や営業部門の業務を効率化できるツールです。ほかにも、見込み顧客不足の解消や部門間の連携強化、施策の効果測定といった企業の課題解決にも役立ちます。
また、MAツールの選び方として、次の4つが挙げられます。
- 機能を比較して選ぶ
- 運用コストや人的リソースを考慮して選ぶ
- ツールの開発元の国で選ぶ
- 他社の導入事例を参考にして選ぶ
ぜひ、本記事を参考にMAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。