そもそもMAツールとは?
MAツールで何ができるの?
といった疑問をお持ちの方は多いでしょう。
MAツールとは、マーケティングオートメーションツールの略で、企業のマーケティング活動を支援するためのツールです。
この記事では、MAツールの基本的な機能や、ツールの導入によって何ができるのかを解説します。本記事を読んで、MAツールの概要と導入のメリット・デメリットを知り、導入時の参考にしてください。
MAツールとは?
「MAツール」とは「マーケティングオートメーションツール」の略で、企業のマーケティング活動を自動化し、効率化するためのソフトウェアやサービスのことを指します。
主な機能は以下の通り。
- メールマーケティング
- リード(見込み客)管理
- キャンペーン管理
- SNS管理
MAツールを使うことで、時間とコストが削減できます。
また、顧客の関心に基づいてターゲットマーケティングできるため、顧客満足度の向上も可能。
競争が激化するビジネスにおいて、顧客獲得と維持のサポートが行えるMAツールは、これらの点を踏まえると、現代のマーケティング戦略において欠かせないツールの一つと言えるでしょう。
MAツールの導入で何ができる?
MAツールの導入で何ができるかというと、大きく以下の4つに分けられます。
- 顧客情報の蓄積・管理
- 見込み顧客の獲得
- 見込み顧客の育成
- サービス検討中の顧客の選別
それぞれの項目で、MAツールがどのように役立つかを解説します。
顧客情報の蓄積・管理
MAツールの導入により、顧客情報の蓄積や管理ができるようになります。
顧客情報は、Webサイトからの問い合わせ・展示会や自社セミナーでの名刺交換など、さまざまなタイミングで入手できます。入手した膨大な数の顧客情報をアナログ手段で蓄積したり、管理したりするのは非常に手間のかかる作業です。
さらに、事業の規模が大きい場合は担当者や部署の違いにより、顧客情報のまとめ方や管理方法が異なるケースも少なくありません。
MAツールを導入すれば担当者や部署の違いによらず、すべての顧客情報をまとめて管理できます。MAツールに付属しているインポート機能を使えば、名刺情報の登録なども短時間で蓄積・管理が可能になります。
見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
見込み顧客の獲得から育成までの業務も、MAツールの導入により簡略化されます。
見込み顧客の獲得は、自社サービスを認知していない潜在顧客を見込み顧客に移行させるためのアクションです。
具体的には、以下のような手段で見込み顧客の獲得が行われます。
- 展示会の開催
- Webサイトのキャンペーン
- 資料請求
- アンケートフォーム
- お試し商品
- セミナーの実施
広告キャンペーンやアンケートフォーム、Webサイトの作成は、未経験の方には難易度が高いでしょう。
しかし、MAツールには、フォーム作成・キャンペーンの開催・Webページなどの作成をサポートする機能が備わっています。
見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
MAツールの導入により、見込み顧客の育成も可能です。
見込み顧客を育成する際には、定期的なメール配信・プッシュ通知・ポップアップ表示などの手段が用いられます。
MAツールがない場合、見込み顧客の属性や興味度合いの違いを手作業で分類し、グループごとにメールを送信するなどの手間がかかります。見込み顧客の数が少なければ、手作業で顧客情報を分別し個別のメール配信も可能です。
しかし、会社の規模が大きくなり見込み顧客情報が増えると、手作業では賄えないほど膨大な作業量になります。
サービス検討中の顧客の選別(リードクオリフィケーション)
サービスや商品の購入を検討している顧客を選別する際にも、MAツールが役立ちます。
成約率を上げるためには、購入意欲のある顧客を見極めて購入を打診する必要があります。MAツールがない場合、サービスや商品に関心のある顧客を選別するために、直接話し合って購入意欲を判断しなければなりません。
しかし、MAツールを導入していれば、見込み顧客がインターネット上でどのような行動を取ったかがわかります。MAツールには、以下のような行動を取った場合に通知する「HOTリード通知」の機能がついているためです。
- 資料のダウンロード
- 自社サイトの閲覧
- メールの開封
販売のタイミングを見逃さないためにも、リードクオリフィケーションが簡易的に実施できるMAツールが役立ちます。
MAツールの8つのメイン機能
MAツールごとに異なるさまざまな機能がありますが、メインとなる機能は以下の8つです。
- 見込み顧客の情報管理
- シナリオ作成
- メールの作成・配信
- ランディングページ・フォーム作成
- アクセス解析・レポート作成
- 関心度のスコアリング
- 広告との連携
- 既存社内システムとの連携
MAツールに備わっている各機能の詳細について紹介します。
1.見込み顧客の情報管理
MAツールには、顧客の情報を一元管理する機能が備わっています。
MAツールでは、見込み顧客に関する以下の情報をデータベース化して管理できます。
- セミナーの参加履歴
- 申し込み履歴
- 企業の基本情報
- Webサイトのアクセス情報
- メール開封の有無
各情報を個々に管理していると顧客情報を俯瞰的に見れないため、効果的なマーケティングが行えません。
特に、自社のサイトを閲覧している企業名をIPアドレスから割り出し、見込み顧客情報として登録できる機能が便利です。
2.シナリオ作成
MAツールにおけるシナリオとは、顧客の行動に対して自社が起こすアクションをあらかじめ定めておくことです。
具体例として、以下のようなシナリオが考えられます。
- 送信したメールを開封した顧客には、追加で別のメールを送信する
- セミナーの参加申し込みをした顧客に案内メールを送る
- 商品やサービスを購入した顧客に、次回から使えるクーポンを送信する
シナリオを活用してマーケティングの成果を上げるには、顧客の行動パターンを理解する必要があります。さまざまなシナリオを作成して成約率の高かった方法を採用するなど、試行錯誤しながら最適なシナリオを作成しましょう。
3.メールの作成・配信
メールの作成や配信を行う際にも、MAツールの機能が役立ちます。
MAツールで蓄積した情報のなかで特定の条件を満たす顧客を分類し、あらかじめ作成しておいたメールを自動配信できます。配信停止受付・オートリプライ・クリックカウントなどの機能も備わっており、メールの作成や配信の手間を大幅に削減可能です。
また、シナリオ作成機能と合わせてステップメールの自動送信も可能なため、毎回の配信タイミングを気にする必要がありません。
4.ランディングページ・フォーム作成
MAツールには、ランディングページやフォームの作成機能が備わっています。
ランディングページとは、Web広告をクリックした際に表示されるページのことです。自社の商品やサービスの購入・問い合わせに使われるため、1ページに製品の魅力を詰め込まなければなりません。
また、問い合わせフォームもランディングページ内に設置される場合がほとんどです。自社でランディングページ・フォームの作成を行うには、HTML・CSSなどの知識が必要になるため難易度が高いでしょう。
ランディングページの訪問履歴やフォームからの問い合わせも顧客情報として蓄積できるため、見込み顧客の育成につながります。
4.アクセス解析・レポート作成
MAツールの導入により、アクセス解析とレポートの作成機能が利用できます。
MAツールで作成したランディングページやフォームからのアクセスが把握できるため、見込み客の選別が容易になります。また、自動配信したメールの開封率などの情報もMAツールで分析が可能です。
また、Webアクセス解析により、自社ページの訪問時間や企業情報などが把握できます。その情報をもとにして、顧客の関心度合いを判断することも可能です。
5.関心度のスコアリング
MAツールには、見込み顧客の関心度をスコアリングする機能も備わっています。
スコアリング機能は、見込み顧客の行動ごとに点数を決めて記録し、点数によって購入意欲を判断するために用いられます。
スコア化の具体例は、以下の通りです。
- メールの開封:5点
- イベントへの来場:70点
- メルマガの配信停止:マイナス80点
- 資料ダウンロード:20点
- 問い合わせ:60点
上記のように各顧客の関心度をスコア化し、見込み顧客を選別します。一定以上の点数に達した顧客に対して、営業担当者にアプローチを行ってもらうなど、マーケティング活動に活用されています。
6.広告との連携
さまざまな広告と連携する際にも、MAツールが役立ちます。
MAツールがない場合は、広告のプラットフォームごとに、見込み顧客の属性情報や行動を確認・分析しなければなりません。しかし、MAツールとGoogleやYahoo!などのリスティング広告を連携すれば、簡単に複数の広告効果を確認できます。
リスティング広告に限らず、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNS広告と連携可能なMAツールも増加しています。特にtoC向けのマーケティングは、SNSからの顧客流入が増加しているため、活用してみるのがおすすめです。
7.既存社内システムとの連携
SFAやCRMなどの既存社内システムと連携できるMAツールもあります。
SFAはセールスフォースオートメーションの略で、営業担当者の支援ツールです。CRMはカスタマーリレーションシップマネジメントの略で、顧客との長期的かつ良好な関係を維持するのに役立つツールです。
MAツールとSFA・CRMを連携すれば、以下のような一連の流れでマーケティング効果を最大化できます。
- MAツールで見込み顧客の獲得・選別
- SFAで見込み顧客との商談・成約
- CRMで既存顧客との関係性維持・向上
すでにSFAやCRMを社内システムに導入している場合は、連携できるMAツールを利用するのがおすすめです。
MAツールを導入する3つのメリット
MAツールを導入するメリットは、以下の3つです。
- 営業やマーケティングの効率化が図れる
- 人為的なミスが減少する
- 簡単に高度な分析が行える
顧客情報をまとめたり、シナリオを作成してステップメールを自動送信できたりするため、マーケティング活動の効率化が可能です。さらに、広告や社内システムと連携すれば、クリック率や行動記録などのデータを取得できるため、簡単に高度な分析を行えます。
これらの機能により工数が大幅に削減できるため、MAツールの担当者が1名の場合でも、数多くの顧客情報を管理できます。
また、マーケティング活動の多くがシステムにより自動化できるため、人為的なミスが減少する点もメリットです。
MAツールの導入にはデメリットもある
MAツールを導入するデメリットは、以下の3つです。
- 運用体制の構築や導入にコストがかかる
- 運用にはスキルや知識が必要になる
- 導入初期は業務量が増える場合がある
ツールの導入費用に加えて、MAツール担当者の人件費・月々の使用料金などが必要になります。MAツールの利用頻度にかかわらず、月々の使用料金を支払う必要があるため、費用対効果を確認しましょう。
また、MAツールを十分に活用するには、専門的なスキルや知識が必要です。業務の自動化に必要なシナリオ作成などの業務は、マーケティングの経験や知識が欠かせません。経験を積むまでは、効果的なシナリオ作成を学ぶなど、業務量が増加するリスクがある点がデメリットといえるでしょう。
MAツールを使いこなすためのコツは?
MAツールを使いこなすためのコツは、以下の2つです。
- MAツール導入前に運用体制を構築する
- 既存社内システムと連携できるMAツールを選ぶ
これらをMAツールの導入前に確認し、自社にとって最適なツールを選択することで、効果的なマーケティングにつながるでしょう。
MAツール導入前に運用体制を構築する
MAツールを使いこなすには、導入前に運用体制を構築しておくのがおすすめです。
マーケティングで効果をあげたいからといって、すぐにMAツールを導入しても活用できなければ意味がありません。そのため、MAツールを運用する前に、担当者の確保・マーケティングに関する知識量の確認などを行う必要があります。
担当者のマーケティング知識が乏しい場合は、MAツールを使いこなせない可能性があります。その場合、サポート体制が充実したものか、シンプルな機能に絞ったツールを選ぶと良いでしょう。
既存社内システムと連携できるMAツールを選ぶ
既存社内システムと連携できるMAツールを選べば、マーケティング効果の向上が期待できます。
SFAやCRMなどの既存社内システムとMAツールは、個別に運用することも可能です。しかし、見込み顧客の獲得からアフターフォローまでの流れを効率的に行う場合、個別運用は手間がかかります。各システムを個別に運用するとツールの運用に割くリソースが多くなり、MAツール導入の恩恵を受けづらくなる可能性があります。
MAツールでマーケティングの成果を向上させよう
本記事では、MAツールの導入によって何ができるかや、MAツールのメイン機能について解説しました。MAツールには、顧客情報の管理・メール配信・スコアリングなどの機能が備わっています。これらの機能を活用することで、顧客の獲得・育成・選別をできるのがMAツールです。
また、効果的なマーケティングを行うのに必要な情報をまとめる機能や、単純作業の自動化も可能です。MAツールを導入しマーケティング業務を効率化すれば、人件費の削減にもつながります。
本記事で紹介したMAツールを使いこなすためのコツを参考にしながら、最適なMAツールを探してみましょう。