SNSの問題点とは?企業・個人のトラブル事例5つと防止策を紹介

SNSの問題点とは?企業・個人のトラブル事例5つと防止策を紹介
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SNSでの炎上や匿名での誹謗中傷はたびたびニュースで取り上げられ、話題になりますが、自分には起こりえないと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、SNSはとても身近な存在。実はトラブルは日常に潜んでいるのです。
年代を問わずSNSを利用する機会が増えている今、個人や企業がトラブルに巻き込まれないためには、各自がしっかりとしたリテラシーを身につけることが重要です。

本記事では、SNSでのトラブル増加の背景や、周りで起きている実際の事例をご紹介。またトラブル回避のために、どのような手立てを打てば良いのか対策をお教えいたしますので、個人そしてSNS運用を考えている企業担当者の方もぜひ最後までご覧ください。

目次

SNSの問題点とは?トラブルの背景を知ろう!

SNSの問題点とは?トラブルの背景を知ろう!

インターネットやスマートフォンは、安全に正しく使うことができればとても役立つ便利なものです。
しかし、事件や犯罪に巻き込まれるきっかけになったり、誹謗中傷やいじめの温床になるなど、残念な事実も。

まずトラブルの背景を知って、SNSに潜む問題とは何かを見ていきましょう。

スマホの普及に伴うSNS利用時間の増加

インターネットにおけるトラブル増加の背景には、スマートフォンやタブレットの普及に伴う、SNSの利用者と利用時間の激増があげられます。

総務省の「通信利用動向調査の結果(2019年)」によると、

  • スマートフォンの世帯普及率は83.4%にまで達している
  • スマートフォンの普及によって、モバイル機器によるSNS等のソーシャルメディアの利用時間は、2012年から2018年までの7年間で約4倍に伸びている

さらにSNSの利用は個人だけでなく、企業がビジネスの一環として使うケースも増えてきています。SNS運用と呼ばれ、企業のブランディングや集客のために行われるデジタルマーケティングの一種といえるでしょう。

そのため昨今、企業は、SNSでの発信内容に配慮するため、社員へのコンプライアンス研修を行う必要性が高まるなど、企業にもリテラシーが求められる時代になりました。

「デジタルタトゥー」とは?

「デジタルタトゥー」という言葉をご存知でしょうか?

「デジタルタトゥー」 とは、インターネットに刻まれた情報は半永久的に残ってしまうことを意味しており、まるで入れ墨(タトゥー)のように完全に消すことができないことから、デジタルタトゥーと呼ばれています。

当然、SNSでの投稿も、デジタルタトゥーとしてインターネット上に半永久的に残ってしまうものです。

さらにSNSには、拡散性が高いという特性があります。SNSは、他人の投稿を共有する機能を備えており、連鎖的に投稿の共有が行なわれた結果、投稿がとてつもなく早いスピードで広範囲へと「拡散」していくことが多々あるのです。

またSNSではスマートフォンで撮影した写真を簡単に投稿でき、インパクトのある写真が拡散されやすい特徴も。

SNSの特性は

  • 投稿が半永久的に残る
  • 情報が瞬く間に拡散される
  • 写真を簡単に投稿できる

の3つにまとめられます。

そして、これらの特性が、SNSトラブルで見られる「炎上」を誘発する一因となっていると言えるでしょう。

被害者は簡単に訴訟することができない

気軽に自分の意見を発信したり情報収集をすることができるSNS。しかし、匿名で投稿できることや相手の顔が見えないことから、昨今SNSでの誹謗中傷が大きな問題になっていますね。

こうしたSNSでのトラブルの事態を悪化させる原因として、被害者が容易に被害を訴えることができず、泣き寝入りせざるを得ないシステム上の問題があげられます。

具体的には、次のような問題点です。

被害者側の問題

  • 弁護士費用が高く、数十万円もかかる
  • 訴えるために誹謗中傷の内容を確認する必要があるので、当事者の心理的負担になる
  • 削除や凍結、ログの期限切れの恐れなどから、迅速な対応が求められる

プロバイダ、手続きなどの問題

  • 請求時に権利侵害が明らかでないと、匿名の中傷者の情報は開示されない
  • プロバイダが誹謗中傷した人のログを保存していないと、本人を特定する情報につながらない
  • SNS事業者に対する投稿のIPアドレスの開示請求と、プロバイダやキャリアに対しするIPアドレスの個人情報を求めた開示請求の両方の手続きが必要

被害者の心理的な負担から、行動を起こすまでのハードルが高く、また行動を起こしても手続きが煩雑なためなかなか進まないのが現状です。したがって、加害者を特定して訴訟するまでに、こうしたいくつもの壁があるため、被害者は簡単に訴えることができないのです。

ですが、総務省では個人情報開示請求のプロセスを定めた「プロバイダ責任制限法」を改正することが決まり、2024年に、裁判での手続きが簡素化された「改正プロバイダ責任制限法」が施行されました

SNSで被害に遭った方が、少しでも早く救われるようになると良いですね。

SNSで実際に起きた5つのトラブル・問題事例

SNSで実際に起きた5つのトラブル・問題事例

ここからはSNSで実際に起きた5つのトラブル・問題事例を見ていきましょう。

1.個人情報流出

SNSでは安易な投稿により、本来知られたくない情報を不特定多数の人に知られてしまう個人情報流出の危険性があります。

  • 何気ない日常写真をSNSで投稿した結果、そこに写り込んでいる情報から学校・勤務先・居住地域が突き止められるケース
  • カメラの性能が高まり、ピースサインで指紋が判別される
  • 電柱や看板の文字が読めたり、瞳に映ったものが見えたりする

また、企業においては社内で撮影した写真から書類の文字を読み取られたり、社員が不満や愚痴を投稿したツイートから顧客情報を特定されるケースも。

そのため、常日頃から危機意識を持ち、個人や社員がリテラシーを身に付けて、写真を載せるときはしっかり投稿内容を見直す習慣をつける必要がありますね。

2.炎上

炎上は、SNSのトラブルでたびたびニュースに取り上げられ、社会問題として認知されており、ご存知の方も多いでしょう。炎上とは、「ある人物や企業が発信した内容や行った行為について、ソーシャルメディアに批判的なコメントが殺到する現象」のことです。

炎上は大抵の場合、1枚の写真や1つの記事・1つの投稿といった断片的な情報から火がつきます。

炎上で有名なものは、2013年に起きたこちらの事件。

「コンビニのバイト店員がお店の冷蔵庫に入る悪ふざけ写真」がFacebookで投稿され、「不衛生ではないか」とインターネット上で大きな騒動に。

最後はお店側から訴訟され、大きな問題に発展しました。

このようにバイト店員の問題ある写真がSNSで拡散されて炎上する事件は、2013年以降も毎年起きており、後を絶ちません。

ここで知っておきたいのは、自分でSNSに投稿しなくても、親しい仲間内でふざけただけの行動が第三者に撮影されて、SNSにアップされ炎上してしまうケースがあることです。

そのほかには、一般人だけではなく、企業の従業員や芸能人による不用意なツイートをきっかけとして幾度となく炎上事件が起こっています。

こちらも社員のリテラシー教育を徹底し、たとえば店舗や社内で撮影した写真はSNSに投稿禁止とするなどのルールを定めることが必要でしょう。

3.誹謗中傷

誹謗中傷とは、根拠のない嫌がらせや悪口などを投稿することで、他人の名誉を傷つけることを指します。

SNSの匿名性を利用したトラブルで、匿名のまま、特定個人のアカウントに対して一方的に誹謗中傷のメッセージ等を発信したりする事例が多く発生しています。

誹謗中傷には、次の2種類があります。

  • 一般人の間での誹謗中傷
  • 芸能人に対する誹謗中傷

一般人の間での誹謗中傷事例

2019年に起こった常磐道のあおり運転殴打事件に関連して、元市議会議員が、事件とは無関係の女性の写真を添付し、「(事件の犯人の)同乗者の女」「早く逮捕されるように拡散してほしい」という内容の文章をFacebookに投稿したことがきっかけとなる、デマ情報による誹謗中傷事件。

デマ情報に写真を掲載された女性のInstagramアカウントには、なんと1000件をこえる誹謗中傷のメッセージが届く結果となってしまいました。

芸能人に対する誹謗中傷事例

2020年5月、ある番組に出演していた女子プロレスラーの方が番組内での言動をきっかけにSNS上で誹謗中傷を受け、亡くなった事件。

2020年に起こったSNS上での誹謗中傷問題で日本中で大きく問題視された事件といえば、この事件を一番に思い出す人も多いでしょう。

このようにSNSは、一般の人が悪気なく、むしろ正義感から拡散・投稿したことでも、集団から個人へと集中することで凄まじい暴力と化し、なんの関係もない人の日常が突然壊されるといった危険性を孕んでいるのです。

「自分には関係ない」と思いがちですが、実は企業が「みんなに役立つ」など良かれと思ってリツイートした投稿が実は間違いだったケースもあります。誰かの投稿を拡散する前には、正しい情報かどうかを確かめる必要があるでしょう。

4.いじめ

中高生の間でのトラブルとしてよく取り上げられるものが、SNSを通したいじめ問題です。

SNSいじめは年々増えており、文部科学省の「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、パソコンや携帯電話による“ネットいじめ”の認知件数は、令和元年に17,924件と、過去最多になりました。

例えば、

  • 特定の生徒の悪口を書き込んだり、その生徒の見られたくない写真や動画、個人情報などを許可なく投稿したりする
  • SNSで特定の生徒になりすましたアカウントを作り、不適切な投稿をする
  • 無料通話アプリのグループで、特定の生徒の発言だけを無視したり、特定の生徒をグループからはずしたりする

といった事例があります。

SNSいじめの問題点は、直接的ないじめと違って目に見えにくく、周りが気づきにくいことです。

また、X(Twitter)やコミュニティサイトのように匿名で投稿できる場だと、いじめ加害者を特定するのが難しいことも問題が加速する要因だと思います。

5.アカウントの乗っ取り

SNSのアカウントが乗っ取られて悪用されるケースもあります。

このトラブルは、詐欺に利用されたり、スパムの発信元となってしまったりして、自分のアカウントが友人や家族に影響を及ぼす危険性があります。

アカウント乗っ取りやなりすましと言えば有名人の話…と思いがちですが、実は一般人にも無関係ではありません。なぜなら、代わりにログインすることでクレジットカード情報や電話番号などの情報を取得する目的もあるからです。

SNSのアカウントは、IDやメールアドレス、そしてパスワードがわかれば別人でもログインが可能。そのため、パスワードの使い回しを避け、二段階認証にするといった対策を行いましょう。

SNSでのトラブルや問題を防ぐには?防止策は5つ

SNSでのトラブルや問題を防ぐには?防止策は5つ


SNSのトラブルは「中高生にスマホを持たせるべきかどうか?」というテーマの中で取り上げられることが多いですが、年代問わずSNSリテラシーは必要です。自分が被害者になるだけでなく、知らないうちに加害者になっていたということも起こり得ます。

身近なSNSでのトラブルを防ぐには、何に気をつけると良いでしょうか?防止策は、次の5つです。

  1. 情報の公開範囲に気をつける
  2. 「これを読んだ人がどう思うか」という想像力を
  3. 保護者はSNSの概要だけでも知っておく
  4. 家庭でスマホにルールを設ける
  5. フィルタリングを上手に活用する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1. 情報の公開範囲に気をつける

SNSでは、投稿やプロフィールなどの入力している内容の公開範囲を常に意識することが重要です。

例えば、

  • 公開するのは友人のみに設定する
  • 位置情報をつけたまま発信してしまわないように設定する
  • 公開範囲を限定しない場合は、入力内容が誰に読まれても大丈夫なものか毎回確認する

といった対策を行いましょう。

決して情報発信することが悪いという話ではないので、最悪のケースを踏まえた危機意識を頭の片隅に置いて利用すれば、SNSは有用で楽しいツールになるでしょう。

2.「これを読んだ人がどう思うか」という想像力を

不適切な投稿をしてしまわないためには、「これを読んだ人がどう思うか」という想像力を持ち、配慮のある投稿をすることが重要です。

SNS上でのトラブルは、配慮や品性を欠いている意識の低さが、安易な行動を引き起こしてしまい、本人にとっては軽はずみな言動でも、それが大きな問題に発展していることがほとんどです。

またSNSにおいては、ある人にとっては常識的な意見でも、別の人には誤りに思えるということも少なくありません。つまり、ネットユーザーや価値観の多様性に気付かない限り、SNSトラブルのリスクは払拭できないでしょう。

さらに組織の場合は、社員が炎上を招くのを防ぐべく、企業による教育やガイドラインの徹底が不可欠。

例えば、インターネット関連のコンプライアンス研修を徹底して行うことで、一般常識を再確認し、個人情報や企業イメージの大切さを教えることができれば、社員のネットリテラシーを向上させることができますね。社員が勢いで不適切な投稿をしそうになったとき、研修内容が頭をよぎればトラブルを回避できるのです。

3.保護者はSNSの概要だけでも知っておく

自分の家族、特に子どもがSNSのトラブルに巻き込まれないために、保護者はSNSの概要だけでも知っておくことが大切です。

理由は、保護者がスマホやSNSについて何も知らなければ、トラブルにあった子どもは「親に相談しても意味がない」と思ってしまうからです。家族に相談することがないまま、トラブルにさらに巻き込まれていくことは十分にあり得ます。

そのため、保護者はSNSに登録だけしておいて、例えば、「Instagramのストーリーとは何か」くらいは知っておかなければいけません。また普段から、家庭でなんでも気軽に話せる関係・雰囲気を作っておくことも重要ですね。

4.家庭でスマホにルールを設ける

家庭内でスマホに関するルールを設けることで、子どもはスマートフォンやSNSと距離を置いて、日々を過ごすことができます。

まず「スマホはあくまで、保護者が子どもに貸しているもの」というスタンスにしておくのが、おすすめ。高校生くらいまでは、保護者がスマホの料金を支払ってあげている家庭が多いので、そのように管理しても良いでしょう。

そして、

  • 22時を過ぎたらスマホはリビングに置く
  • テスト一週間前は保護者にスマホを預ける

といったルールを作っておき、それを破った時のペナルティまで考えておきます。ただし頭ごなしに禁止や否定するのではなく、ルールも子どもの状況によって柔軟に変えていきましょう。

5.フィルタリングを上手に活用する

フィルタリングを上手に活用することも重要な防止策になります。

フィルタリングは、サイトの閲覧制限を行うことができる機能で、子どもが危険な目に遭うリスクを減らせる便利な仕組みです。

年齢や使い方によってフィルタリングのレベル設定ができ、サイトごとに個別設定もできます。例えば、アプリで有料のものや課金対象となるものをフィルタリングすることができるので、子どもがスマホでゲームばかりしてしまうのを防げますね。

フィルタリングを上手に活用すれば、子どもがスマートフォンに依存する可能性を低くし、トラブルに巻き込まれにくくもするので、子どもの安全を守ることができるでしょう。

まとめ

SNSは身近な存在になった分、トラブルに巻き込まれないように、年代問わず誰もがネットリテラシーを持つ必要があります。SNSの特性を理解した上で、本記事で紹介したトラブル事例をいつも頭の片隅に置いておきましょう。

また子どもにスマートフォンを持たせる場合は、家庭内でルールを設けて、子どもがSNSと距離を保てるようにすることが大切です。

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