エステサロンの「ビフォーアフター」とは?経営者が知っておくべき法律

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エステサロンの広告では、ビフォー・アフターの写真をよく見かけます。

施術前後の写真を見せることで、お客さまには施術の効果を伝える効果がありますね。

しかし、法律により「使っていけない表現」があり、これに違反すると行政処分を受ける可能性があります。

エステサロンの経営者が覚えておきたい法律は「薬機法」「景品表示法」の2つ。
今回は、「薬機法」「景品表示法」についてわかりやすく解説。ビフォー・アフターの載せ方についてもお教えしますので、参考にしてください。

目次

エステサロンの「ビフォーアフター」はNG?

エステサロンの「ビフォーアフター」はNG? 

結論からいえば、「ビフォー・アフター」の写真を使用して広告を出す、ホームページに載せることは禁止されていません。

いくつかの制限はありますが、そのポイントを気をつければ、法に抵触せず効果的にお客さまにエステサロンの良さ、施術の良いところをお伝えすることができます。

まず、エステサロンの「ビフォー・アフター」について解説したいと思います。

「ビフォー・アフター」問題とは?

広告でビフォー・アフターを掲載するのは、昔からよく使われてきた手法になります。

しかし、効果を偽って宣伝するような広告を掲載をするお店が増えてしまったため、一時問題になりました。

現在もそのような問題をご存知であれば「ビフォー・アフターの写真を載せてはいけないんじゃないか?」とお思いになる美容サロンの経営者様から、ご相談を受けることが多くあります。

実は、しっかりと法律に則って掲載すれば、問題はないのです。

では、エステの施術に対する法律と、具体的にどのような点に注意すべきなのかみていきましょう。

エステサロンのホームページデザインをまとめた記事もあります。

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エステサロンを経営する上で覚えておきたい法律「薬機法」

エステサロンがHPに載せてはいけない誇大広告と載せて安心の禁忌事項

エステサロンオーナー様とお話しする際によく、薬事法という言葉が出てきます。

「薬事法に引っかからないかな?」と。

そもそも薬事法というものが何なのか?まずそこからみていきましょう。

薬機法とは

薬機法は、もともと「薬事法」と言い、平成25年に改正され現在では薬機法という名前になっています。旧名の薬事法のほうが聞き覚えがあるという方も多いでしょう。

第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

引用:昭和三十五年法律第百四十五号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。

法令文を見てみると、
「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のため」
とあります。

つまり薬機法(旧薬事法)は、「医療品、医薬部外品、化粧品、医療機器」を対象にしている法律であるため、エステサロンの施術サービスなどの形のない商品に対しての法律ではありません。

したがって医師免許を持った医師や承認を受けた医療機器、医薬品を対象としているため、対象外であるエステサロンはこの法律を詳しく勉強する必要はありません。しかし、無関係というわけではありません。エステサロンでも薬機法に抵触してしまう例があります。

薬機法でNGとなる例

薬機法でNGとなるのは、「医療機器、医療行為であるかのような表現」です。

医療だと誤解される例

「シミが消える」「脂肪を分解する」「細胞が若返る」「シワがなくなる」など

根拠のない数字の例

「10分で痩せる」「30分の施術で2kg落とせる」など

また、「治療」「治す」「診断」「医学的」などの言葉は、医師法にも抵触するおそれもあります。

薬機法に抵触しないためには

うっかり薬事法に抵触しないためには、次の2点を守ること。

厚労省のガイドラインによれば、「治す」「補う」あるいは「保つ」と言い換えるのはOKです。

広告を見た人が「どう思うか」を考え、故意ではなかったとしても、誤解するおそれのある表現はやめておいたほうが良いでしょう。

エステサロンを経営する上で重要な法律「景品表示法」

エステサロンを経営する上で重要な法律「景品表示法」

エステサロンの施術に大きく関わりのある法律は「景品表示法」です。

「景品表示法」はエステサロンにとって、とても重要な法律となるため、エステサロンの経営者、広告に携わる方はかならず覚えておきましょう。

景品表示法とは

「景品表示法」は、次のような目的で定められています。

第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

引用:不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)

つまり「景品表示法」というのは、事実よりも良く見せかけたり、実際より多いように見せかけることを禁止する法律となります。消費者が実際には質の良くない商品・サービスを買ってしまい不利益を被ることを防止しているのです。

  • 実際の効果よりも優れた効果があると偽って宣伝
  • 事実がないにも関わらず効果を保証するような表示
  • 競業のサロンよりも著しく優良であると宣伝

この「景品表示法」に違反すると措置命令として消費者庁のHPに公開されることもあります。

景品表示法でNGとなる例

景品表示法で禁止されている表現は、主に2通りに分けられます。

優良誤認表示:商品・サービスの品質、規格などの内容についての不当表示
有利誤認表示:商品・サービスの品質、規格などの条件についての不当表示

二つの違いは、内容か条件かということ。
では実際の例をみてみましょう。

優良誤認表示

  • 「1分で小顔になれる」など著しく優良であると誤認されるもの
  • 「業界初」「最新技術」「最良」など根拠のない最上級表示
  • 「塗るだけで若返る」「施術だけで瘦せる」など根拠が不明確な効果

「著しく」とは、一般的に考えて「ありえない」「度を超えている」ことを指します。
こうした不当な表示によって、実際の商品やサービスより著しく効果があると誤認させるような表現は違反となります。

有利誤認表示

  • 実際は同じ量なのに「他社の2倍配合」など嘘をついて自社商品のほうが良いと見せかけるもの
  • 実際は通常料金も同じ3000円なのに「今なら3000円で施術可能」と、特別であるかのように見せかけるもの
  • 根拠もないのに「大阪市で〇〇ができるのは当店だけ」と謳うもの

こうした不当な表示によって、競合他社よりも有利であると見せかけるような表示は違反となります。

景品表示法に違反しないためには

まずは、客観的に実証可能な根拠を示しましょう。

「大阪市で当店だけ」の表現の場合、「大阪市にある何社のサロンを調査したのか」などの情報も公開する必要があります。それでも大阪市でほかに同じサービスを提供しているサロンがないとは限らないため、「大阪市にある30社のなかで当社だけ」などと言い換えたほうが良いでしょう。

特に価格表示においては注意が必要です。
「今だけ〇〇円」とするのであれば、期間を明記したうえで期間終了後の価格も明記しなくてはなりません。「特別価格」と表記できるのは、通常価格での実績が一定期間ある場合のみです。

期間の定めもなく「今だけ」などと表示したり、通常販売での販売実績がないのに「特別価格」と表記するのはNGです。

ビフォー・アフターについては、次で詳しく解説していきます。

「景品表示法」については、消費者庁の資料でわかりやすく解説されています。

ビフォー・アフターの写真を掲載する際の注意点

ビフォー・アフターの写真を掲載する際の注意点

「ビフォーアフター」の写真を掲載するうえで注意すべきポイントは次の3点。

  • 「期間」「頻度」「施術メニュー」のほか食事や運動量などの日常生活も記載すること
  • 誰にでも同じような効果が得られるような表現をしないこと
  • 写真を加工したり明るさを変えて虚偽だと思われるような、または間違えられそうな写真を使用しないこと

写真は加工せず事実を載せる

写真を加工して、あたかも効果が出ているかのように見せかけることは、当然ながらNGです。

加工しなくても、光のあたり加減がまったく違ったり、被写体の表情や体勢を変えたりすると、ビフォーアフターで写り方に違いが出ます。故意でなくとも誤認されるおそれのある写真の撮り方はやめましょう。

特別な例だけを掲載しない

施術の効果は個人差があると思いますが、特別大きな効果が出た例のみを掲載するのはNGです。

なぜなら、広告を見た人は「だれにでもそのような効果が得られる」と思ってしまうからです。
たとえ事実だとしても、特別な例だけを掲載すればそれが一般的な効果であると消費者に誤認させたとみなされてしまいます。「※効果には個人差があります」と注釈をつけるだけでは免れません。

痩身コースで「-1kg~-3kg」が9人、「-7kg」が1人だった場合、「-7kg」の例を載せたいのはやまやまですが、「-1kg~-3kg」のなかから選ぶのが妥当といえるでしょう。

効果に関係する要素はすべて明記する

「施術だけで-7kg!」と謳うのはNGです。

なぜなら、行政の方針としては「エステサロンの施術だけで痩せるのは科学的に証明できない」としています。したがってサロンは、この方針に則って広告の表現を考えなくてはなりません。

痩身のビフォー・アフター写真を使用する場合、

  • どのくらいの期間・頻度
  • どのような施術メニュー
  • そのほか効果に因果関係があると思われる日常生活(食事・運動量)はどうだったか

なども詳しく明記する必要があります。

クレームからエステサロンを守る「禁忌事項の記載」

ビフォー・アフターの写真を掲載する際の注意点

エステサロンにはさまざまなお客さまが訪れます。どれだけ注意をしていてもクレームが起きてしまう事があります。そのクレームからサロンを守るためには、Webサイトへの禁忌事項の記載がおすすめ。

「施術の前に口頭で注意事項を確認しているから大丈夫」はNGです。

エステの機械や化粧品にはさまざまな禁忌事項があります。

禁忌事項とは

例えば、フェイシャルのお手入れで電気を流す場合であれば、禁忌事項はこれだけあります。

  • 妊娠中・ブライダル直前・ニキビ、肌荒れで赤みがかなり出ている・生理中は痛みや刺激を感じやすい
  • ペースメーカー・インプラント・手術後すぐ・体調不良・薬を飲んでいる・高血圧
  • 毛細血管が出ている・赤みのある肌・接触性アレルギー・体内に金属が入っている・極度の乾燥やアトピー
  • 循環器疾患(ペースメーカー使用の方、心臓疾患)・糖尿病・てんかん・血管の異常(静脈瘤、毛細血管拡張部位)
  • 悪性腫瘍の上・感染症・ケロイド体質の方・注射後・火傷や日焼け後・光アレルギー/過敏症の方
  • アートメイクやタトウーのある部位・傷のある部位

口頭で伝えるだけでは、お客さまが理解できるとは思えません。

もし、すべて確認ができておらず、お客さまにやけどや肌トラブル、傷を負わせてしまった場合、サロン側は契約違反となり、民法上の損害賠償責任を負うことになります。

ホームページに禁忌事項を記載する

トラブルにならないためには、ホームページに各施術に関する説明とともに「注意・禁忌」を掲載しましょう。

お客さまにはサロンにご来店される前に

「Webサイトに記載のある注意事項をお読みになってからお越しください」

とお伝えし、お客さま自身で時間をとって確認してもらいましょう。
合わせて、禁忌事項の確認に関する同意書もご準備しておくとさらに安心ですね。

まとめ

エステサロンには、守るべき「景品表示法」や知っておくべき「薬機法」があります。エステサロンを守るためにも、広告や施術の禁忌事項はじっくりと考えて掲載しましょう。

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