外壁塗装業界の現状と将来性を徹底解説|10年後も生き残る戦略とは

外壁塗装業界の現状と将来性を徹底解説|10年後も生き残る戦略とは
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多くの業界が新型コロナウイルスによってダメージを受けているなか、外壁塗装業界は影響が少なかった業界の一つ。

しかし「このまま5年後、10年後もやっていけるのか怖い…」という悩みは、経営者なら誰もが考えたことがあるでしょう。近年ではAIやドローン技術の進歩など、外壁塗装では先が読めないことばかりです。

そこで本記事では外壁塗装市場やコロナの影響など外壁塗装業界の現状をまとめ、将来性についてSDGsやAI・ドローン技術、人材確保の面といった4つの内容から考えてみました。すべての外壁塗装会社の経営者・マーケティング担当者に役立つ内容となっています。

10年後も生き残る外壁塗装会社になるために、どのようなマーケティングを行えば良いのかをわかりやすく解説。顧客から選ばれ、長期的に売上を伸ばす企業になるための秘訣をお教えします。

目次

外壁塗装業界とは? 

外壁塗装業界とは? 

外壁塗装はリフォーム業界の一部となり、建物の壁や屋根を塗装することが目的です。

外壁塗装と聞くと「外観のイメージを変える」といった認識を持たれますが、ほかにも「耐久性の向上」「雨漏りから守る」といった役割があります。

住宅は、月日が経つごとに紫外線や雨風によって外壁は劣化していきます。
そのため建物の機能を維持するうえでは、定期的な外壁塗装の工事が必要不可欠です。

また外壁塗装業者は、以下の2つに分類されます

自社で施工する業者

  • 中間マージンが発生しないため、価格を抑えて提供できる。
  • 下請け受注の場合は利益が少なくなりやすい。
  • 地域密着型が多く、積極的に宣伝を行っていない。

下請けに外注する業者

  • 大手のハウスメーカーや工務店など。
  • 下請けに依頼すると中間マージンが発生するため、価格が高くなりやすい。
  • スタッフ数が多く、トラブル対応や保証制度が充実している。

近年は大手ホームセンターなどが外壁塗装業に参入しているケースも多く、大々的に宣伝を行っている「下請けに外注する業者」が増加傾向。価格が高くてもネームバリュー(知名度)や安心感から選ばれやすいといえます。

一方で自社施工をしている地元の中小外壁塗装会社は大手業者に仕事を取られてしまい、利益の少ない下請けに回るしかない状態が課題となっています。そのため中小の外壁塗装会社ではホームページをはじめとする媒体で積極的に情報を発信し、顧客となるユーザーに見つけてもらう取り組みが重要となるでしょう。

外壁塗装業界の市場規模・現状  

外壁塗装業界の市場規模・現状 

まずは外壁塗装業界の市場規模や現状について、以下の4点から解説していきます。

  1. 市場は拡大傾向にある
  2. コロナの影響を受けずに安定している
  3. 大手企業の参入が増加している
  4. 職人の技術レベルが低下している

1.市場は拡大傾向にある

近年は以下の理由からリフォーム市場が拡大しており、外壁塗装業界も需要が増すと考えられます。

  • バブル期に建てられた住宅がリフォーム時期になっている
  • 「中古住宅をリフォーム・リノベーションして住む」という買い方が増加している
  • リフォーム業界の就業者が年々減少している

また日本は少子高齢化が加速しており、空き家問題や新築の減少などから今後はより中古住宅の増加、そしてリフォーム市場が拡大していくといえるでしょう。

2.コロナの影響を受けずに安定している

2020年から世界的に大きな影響を与えた新型コロナウイルス。
大半の業界はコロナによって打撃を受けましたが、屋外で施工する外壁塗装業ではあまり影響を受けることがありませんでした。

むしろ在宅ワークによって住宅の快適さを求める傾向が高まり、住宅の耐久性を見直す人が増加。
そのためコロナによって受注件数が増えたケースも多いといえるでしょう。

また住宅の外壁は10〜15年に一度の防水対策が必要など、定期的に施工することが重要です。
したがって需要の変化が起こりづらく、安定して仕事を獲得できることが強みとなります。

このように一時的な流行に左右されない点は、外壁塗装業界の最大の特徴といえるでしょう。

3.大手企業の参入が増加している

前述のとおり、リフォーム市場の拡大や安定した需要があるという観点から、近年は外壁塗装業界に参入してくる企業が増加しています。

外壁塗装は資本投資が少なく資格不要で開業できるため、参入障壁が低い業界といえるでしょう。
そのため大手ホームセンターやリフォーム業は参入しやすく、外壁塗装業界の競争は激化状態。

今後も競合他社は増加すると考えられるため、戦略を立てずに経営を行っている中小の外壁塗装業者は、いつのまにか市場から淘汰される可能性も十分にあります。

したがって市場で生き残るためには、経営や売るための戦略、つまりマーケティングが必須。
競合他社に負けない「自社独自の強み」の確立やWebの活用など時代に適した取り組みを行うことが重要です。

4.職人の技術レベルが低下している

外壁塗装は現場で働いている職人の技術力によって出来栄えが左右されますが、近年は職人の技術レベルが低下している傾向にあります。

考えられる理由は以下の2つ。

  • IT技術の発展によって現場経験が少ない
  • 人材不足で技術力を継承できていない

一般的に塗装職人として一人前になるためには10~15年の経験が必要になり、多くの現場をこなすことで、質が高くスピーディーな施工が行えます。また予算管理や作業条件といった経営スキルも、長年の経験によって身につく要素です。

しかしIT技術が発展したことで業務のマニュアル化がすすみ、従来よりも現場で学ぶ機会が減少。
また人材不足によって、そもそも後継者となるスタッフがいないなど、複数の課題が発生しています。

今後はしっかりと技術を継承できる体制づくり、そして後継者となる若年層の雇用が求められます。

外壁塗装業界の将来性 

外壁塗装業界の将来性 

現状は安定した需要と市場が拡大している外壁塗装業ですが、将来的にはどうなるのでしょうか。

この項目では外壁塗装業界の将来性についてまとめましたので、参考にご覧ください。

  1. リフォーム需要にともなう市場の拡大
  2. SDGsの影響による環境対応塗料の展開
  3. AI・ドローンによる現場の機械化
  4. 人材不足の加速

1.リフォーム需要にともなう市場の拡大

現在も需要のあるリフォーム市場ですが、今後の日本では「空き家増加」によって、さらに市場が拡大すると予想されます。

少子高齢化や人口減少といった問題によって増えている空き家は、放置すると行政の税収減・犯罪の温床といった複数の問題につながるため、国単位で解決する動きがとられています。

しかし長年放置され価値の下がっている空き家は、売り手を見つけることが難しく、かといって解体するには多額の費用が発生することに…。そこで空き家をリフォームし価値を高め、若い世代にも注目してもらために現代に合った住宅にすることで、売り手を獲得することが可能になります。

このように日本で重要な問題となっている空き家にはリフォーム業・外壁塗装業が不可欠となり、将来的には需要はますます増加するでしょう。

2.SDGsの影響による環境対応塗料の展開

近年は「持続可能な開発目標」を指すSDGs(Sustainable Development Goals)の関心が高まり、住宅建設でも環境に優しい塗料が求められるようになりました。

たとえば溶剤系塗料は光化学スモッグの原因になることから人体に悪影響と言われ、工事現場で使用される機会が減っています。またコロナ禍では抗ウイルスの塗料が開発されるなど、時代に応じて新しい塗料が生まれることも。

時代の変化によって顧客のニーズは変化するため、外壁塗装業でもニーズに適した塗料の開発・使用が重要になるでしょう。

3.AI・ドローンによる現場の機械化

AI技術が発展したことにより、外壁塗装業でも現場作業の機械化がすすむと考えられます。

もちろん、すべての作業を機械がこなせるわけではありませんが、以下のメリットから多くの企業で活用の機会が増加するでしょう。

  • 作業効率の向上
  • 怪我トラブルの防止
  • 人手不足の解消

実際に清水建設では、ロボットが外壁の劣化度合いを診断する「ウォールドクター」を導入し、現場での実用化がすすんでいます。

高層ビルの場合、外壁の点検中に作業員が落下して亡くなる事件が過去にありました。
そのため正確性をもちつつ安全に作業を行うためには、ロボットの活用は効果的な手段です。

ほかにもドローンとAIを活用し、撮影データから最適な塗料を導き出すといった活用方法も。
日々新しい技術が誕生しているため、AI分野にも注目しておくことをおすすめします。

4.人材不足の加速

建設業で問題視されている人材不足ですが、今後はさらに加速すると予想されます。

昔から建設業界・外壁塗装業界では、3K(きつい・汚い・危険)のイメージを強く持たれていました。
しかし今は新しく3K(給料が安い・休日が少ない・カッコ悪い)が加わり、すべてを足して6Kと呼ばれることも。また後継者不足によって、経営できない状況になる業者も増えると考えられます。

そのため人材不足を解消するうえでは、業界の根本的なイメージ改革が重要になるでしょう。

したがってスタッフ数の少ない中小企業は将来を見据えて、早めに若年層の雇用や後継者の育成に力を入れることが重要です。

外壁塗装業界で生き残る戦略4つ 

外壁塗装業界で生き残る戦略4つ 

つづいて外壁塗装業界の将来性をふまえたうえで、市場で生き残るための戦略4つを紹介していきます。

  1. Webサイトを運用する
  2. 下請けを脱却する
  3. 商圏内のシェア率を増やす
  4. 若者の雇用・育成に力を入れる

1.Webサイトを運用する

従来は訪問営業や人脈営業などで仕事を獲得できていたものの、今後は競合の増加により、集客力のない企業は淘汰されるおそれがあります。

そのためほかの企業や広告媒体に依存することなく、自社で集客できる仕組み作りが必須です。
具体的にはWebサイトを活用して情報発信を行い、問い合わせにつなげていきましょう。

現代では外壁塗装を依頼する顧客の多くが、インターネット上で業者を探しています。
そのためGoogleやYahoo! JAPANなどの検索エンジンには数多くの見込み顧客が存在し、適切なアプローチを行えば仕事につなげることが可能です。

ただし集客を意識したサイト制作や、自社ベージを検索結果の上位に表示させるSEO対策が不可欠なため、Webサイト運用はプロに依頼することをおすすめします。

2.下請けを脱却する

将来的に生き残るためには、下請けを脱却し、自社が元請けとなって仕事を受注することも効果的な戦略です。

下請け業者は定期的に仕事を獲得できるものの、以下のデメリットがあります。

  • 利益が少なく、激務になりやすい
  • 契約条件を決められない
  • 悪天候時は人件費や資材費の補填を行う

もしも下請けのみで受注し続けている場合、安い単価を提示されても断れない状況になってしまうでしょう。
また最悪の場合、元請けからの依頼がストップすることや、共倒れといったリスクも考えられます。

そのため前述のWebサイト運用などを活用し、自社が主体となって仕事を獲得できる状態を目指しましょう。

外壁塗装業の下請け脱却について解説した記事があります。

3.商圏内のシェア率を増やす

参入障壁の低い外壁塗装業では競合が多くなりやすいため、まずは地域密着型として確実に実績を積み重ねていくことが重要です。

具体的には自社の商圏にて、シェア率を増やすことから意識しましょう。

商圏とは「お客さまが自社を地元の店と認識できる範囲」のこと。都心部では1店舗あたりの戸建て世帯数が2万世帯〜3万世帯といわれており、川や線路を挟んだ先は商圏外と定義できます。

シェア率の目安はこちら。

  • 独占的地位:73.9%
  • 相対的安定:41.7%
  • 業界1位の最低条件:26.1%
  • 競争の拮抗:19.3%
  • 市場認知:10.9%
  • 新規参入の目標値:6.8%

上記を商圏に置き換えると、業界1位の最低条件である「26.1%」が目標となります。
そのため現状のシェア率をふまえたうえで、段階的に増やしていくようにしましょう。

4.若者の雇用・育成に力を入れる

人材不足問題を解決するためには、雇用・教育体制の整え、Webサイトなど自社媒体で積極的に求人情報を公開しましょう。

なぜなら求人媒体を活用した場合、求人広告費用として膨大な費用がかかり、採用一人あたりのコストが高くなるためです。

  • 建設業の平均採用コストは、全業種のうち第二位の「97.8万円」

予算に余裕のある大手企業であれば問題ありませんが、中小企業では非常に厳しい出費になるでしょう。

またWebサイトであれば自由に情報を掲載できる点が強みです。
そのため自社の強みや仕事の流れなど具体的な内容を伝えやすく、マッチング度の向上につながります。

まとめ

本記事では外壁塗装業界の現状をまとめ、将来性について4つの内容から解説してきました。

外壁塗装は流行などの影響を受けづらく、将来的にも市場が拡大し続けると予想されます。
ただし大手企業の参入など競合他社も増加しているため、早期に下請けを脱却し、Webを活用した集客の仕組み作りが求められます。

具体的にはWebサイトを運用し、まずは周辺地域のシェア率を増やしていくことが重要です。

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