リアルサイズの住宅を目でたしかめられる住宅展示場は、自社の魅力をアピールするのに最適な場所です。デザインや性能を体感でき、マイホームへのイメージをふくらませられる住宅展示場は、お客さまの成約につながるための重要な要素となるため、住宅展示場に集客できるかどうかは、売上を大きく左右するといっても良いでしょう。
しかし近年「イベントを開催しても人が集まらない」「キャンペーン目当てばかりで成約につながらない」といった悩みがあるようです。集客するには、住宅展示場に来たいと思えるようなインパクトのある魅力が必要です。
そこで本記事では、住宅展示場に効果的な集客方法4選をご紹介し、集客の問題点や解決方法について提案していきます。すぐに実践できる具体的なアイデア例も紹介していますので、工務店・ハウスメーカーさまはぜひお役立てください。
住宅展示場が抱える集客の問題点とは?
まずは「住宅展示場の問題は何か」を考えてみましょう。自社の集客課題がわからなければ、うまい手が打てません。
ひと昔であればマイホームを検討しているお客さまは住宅展示場へ足を運び、そこで契約を結ぶ時代もありました。しかし現代では、一度も住宅展示場に行かないまま、ハウスメーカーや工務店と契約をするお客さまも増えているのです。
では、その理由は何でしょうか?
- インターネット、スマートフォンで情報が見られるため、そもそも住宅展示場に行かなくて済む
- キャンペーン目当てが多く、企業の求める顧客層が少ない
- 住宅展示場の建設や維持費が高額である
ここでは住宅展示場が抱える集客の問題点について、3つの項目から解説していきます。
1.インターネット、スマートフォンで情報が見られる
1つ目の問題点は、そもそも住宅展示場の来場者数が減少していることです。現代ではわざわざ住宅展示場へ行かなくても、インターネット上でいつでも求める情報を入手できるようになってしまったのです。
そのため「現物を見て決める」ことから遠ざかり、平日・休日をとわずに来場者数は大きく減少しているのが現状です。
また住宅展示場ではお客さまを呼び止める派遣社員は「集客数」で歩合制が決まっており、自社の営業社員も営業成績に影響することが一般的。そのため熱量の高い営業トークになりがちですが、住宅に興味をもちはじめた程度の人には敬遠されることも理由に挙げられます。
そのため来場した顧客を不快にさせず、インターネットでは得られない住宅展示場に行くことへのメリットや価値を作ることが重要といえるでしょう。
2.企業の求める顧客層が少ない
2つ目の問題点は、企業が求める購入意欲の高い顧客層が少ないことです。
住宅展示場では集客方法の一環として、来場者へのプレゼントやイベントを開催することが多くあります。
しかし来場者のなかには「見に来ただけ」や「イベントだけを目的とした来場者」が多く、購入意欲の高い顧客は少ないといえるでしょう。
また住宅展示場は複数のモデルハウスから成り立つため、顧客がせっかく来場しても複数の企業へと分散されてしまいます。仮に有名なメーカーや工務店がいれば、ネームバリューだけで負けてしまうこともあるでしょう。
そのため現状で取り組んでいる集客方法を見直し、自社が求めるターゲットにアプローチする必要があります。
3.住宅展示場の建設や維持費が高額である
3つ目の問題点は、住宅展示場のモデルハウス建設費用や維持費用が高額になり、コスト面で維持することが難しいことが挙げられます。
モデルハウスは来場してくれたお客さまに存分にマイホームへのあこがれを抱かせるために、インテリアや設備などにこだわります。そのため実際の商品以上の価格帯となり、高額な投資として費用を支払わなければいけません。土地を購入すれば、土地代や固定資産税なども発生します。
また季節に合わせて行うインテリアや庭の変更、そして設備の定期的なメンテナンスも維持費用として負担する必要があります。このように住宅展示場ではさまざまな費用が発生するため、しっかりとした集客効果を得られない限り維持し続けることは難しいといえるでしょう。
住宅展示場に効果的な集客方法4選
ここでは住宅展示場に効果的な集客方法について、以下の4つを解説していきます。
すでに実施している企業もあると思いますが、同じ集客方法でも少しやり方を変えるだけで効果が出る場合もあります。集客のプロ視点から、各施策に対する考え方も紹介していますので参考にしてください。
- 楽しめるイベントを開催する
- キャンペーンやプレゼントの企画
- ホームページを活用してWeb集客
- バーチャル住宅展示場の活用
1.楽しめるイベントを開催する
住宅展示場の集客方法として多くの工務店やハウスメーカーが実施していることが、来場者が楽しめるイベントの開催です。
イベント例
- フラワーアレンジメント
- アロマワックス作りなどのワークショップ
- アニメ戦隊のキャラクターショー
- 大型トランポリンの設置
特に住宅展示場では家族で来場することが多いため、子どもが楽しめることを基準としたイベントが多いといえるでしょう。
しかし、いつも同じようなイベントしか開催していなければ、企業もお客さまもマンネリ化してしまいます。また、遊び目的でいつも決まったお客さましか来ないことも。イベントに魅力が感じられないというのは、住宅展示場の大きな集客課題でしょう。
イベントは内容を工夫し、新鮮さを感じられるようにしましょう。子どものいる家族であればレジャー感覚で来場させることがポイントです。そのため家族全員で楽しめるイベントを意識し、「家を見に行く」以外の付加価値を加えることが成功のポイントになります。
2.キャンペーンやプレゼントの企画
住宅展示場の効果的な集客方法ではイベントの開催以外にも、キャンペーンや来場者プレゼントの企画も定番です。
趣旨はイベント開催と同じく、「住宅展示場に行きたい」と感じさせる付加価値を生み出すことになります。
キャンペーンやプレゼントの企画例はこちら。
- ビールとタンブラーのプレンゼント
- クオカードのプレンゼント
- 現金つかみ取りのキャンペーン
キャンペーンやプレゼントの企画においても顧客が家族で来場することを想定し、子どもから大人までが楽しめる内容にすることが重要です。
こちらもわざわざ住宅展示場へ足を運んでもらうだけの魅力がなければ、集客は見込めません。また、プレゼントだけもらってすぐに帰るお客さまが多いことが、課題だといえます。
そこで、SNSやWebサイトと連携した企画がおすすめ。
- 話題性のあるキャンペーンでSNS拡散をねらう
- 来場した人にQRコードを配布し、ホームページにアクセスして抽選に参加できる
ありきたりな内容だけでなく、顧客の共感を得る内容やトレンドに合致した内容を取り入れていきましょう。
3.ホームページを活用してWeb集客
新型コロナウイルスの影響によってオンライン化がすすんでいる今、自社ホームページを活用しない手はないといえるでしょう。なぜなら住宅を検討し始めたユーザーの多くは、まずインターネットで情報収集をします。「新築 大阪市」「注文住宅 モデルハウス」などで検索しているユーザーは購入意欲が高く、成約につながりやすいといえます。
上記のようなキーワードで検索したときに、自社のホームページがヒットすれば効率的に集客ができるでしょう。
そのためにはホームページを新規制作・リニューアルし、検索エンジンの最適化を図るSEO対策を行うこと。SEO対策とは、ユーザーが検索するキーワードで自社サイトが上位に表示されることで、アクセス数の増加を目指します。
具体的には、ホームページでコラムを書くコンテンツマーケティングが主流です。仮に「住宅展示場 予約」というキーワードが検索されている場合、検索ユーザーの「住宅展示場は予約なしで行けるのか知りたい」というニーズが読み取れるでしょう。そこで
「住宅展示場は予約なしでも行ける!来場の仕方」
という記事・コラムを書けば、検索ユーザーのニーズを満たし、「検索上位化」と「来場の促し」の2つの効果を得られます。住宅展示場でイベントやキャンペーンを実施するにあたって、Web広告で告知するなどWebと連動させるとより高い集客効果を得られます。
このようにホームページは自社の認知拡大、集客、来場者のアフターフォローなど、すべての集客の軸となるため、積極的に取り組みましょう。
4.バーチャル住宅展示場の活用
インターネットやテクノロジー技術の発展により、現代ではバーチャル空間で住宅展示場を見学できるようになりました。仕組みとしては、VRゴーグルを装着することで専用の映像が映し出され、限りなく実体験に近い体験が得られる状態となります。
バーチャル住宅展示場では、主に2種類の活用方法があります。
- バーチャル空間の作成:バーチャル空間上に、ゼロから建物を作成する
- 360°カメラの使用:ストリートビューで撮影した360°カメラの映像を映し出す
現実にある建物をバーチャル住宅展示場として活用する場合は、360°カメラの使用をおすすめします。現実の映像が表示されるため、実際に来場したかのような視点でモデルハウスを確認できるでしょう。
対してバーチャル空間に現実にない建物、完成予想の建物を作ることも可能です。完全に好きなものを作成できるため、幅広く活用できる点が特徴です。
住宅展示場で集客の問題点を解決する方法とは?
ここまで書いてきたような集客方法は、ただ実施すれば成果があがるというわけではありません。前述した住宅展示場の問題点について対処しながら、お客さまの心に残すなど心理的な面も考えることが重要です。
具体的には以下のポイントを押さえましょう。
- 滞在時間を長くするイベント
- 思い出が残るキャンペーン
- 住宅だけではなく「土地」などの付加価値をつける
- インパクトのあるキャンペーン
1.滞在時間を長くするイベント
1つ目の解決方法は、住宅展示場の滞在時間を長くするイベントの開催です。
住宅展示場への来場者が少ない原因として、純粋に「展示場へ行っても楽しくない」ことが考えられます。また、
「キャンペーンの景品だけをもらって帰る」
「ずっとスタッフに接客されていて、なんだか居心地が悪い」
といったお客さまも見られます。
せっかく足を運んでもらったのに、魅力を伝えられないうちに帰ってしまわれるのはもったいないですよね。さっと来て帰るのではなく、楽しんでもらうついでに住宅の良さを伝えることができるのが理想です。
そこで、「非日常」をテーマにしたイベントなど、印象に残る企画がおすすめです。
- コロナ禍で夏祭りが次々と中止されている今だからこそ、屋台を出して夏祭りを開催
- 汚れが落ちやすい壁紙を用意し、家の壁に落書きができる
- ダイニングテーブルで美味しいスイーツとコーヒーを食べながら説明を聞ける
など「えっ」と驚くような、普段できない経験ができるイベントであれば他社と差別化もでき、お客さまの印象にも残るイベントとなるでしょう。
2.思い出が残るキャンペーン
2つ目の解決方法は、何か思い出が残るキャンペーンの実施です。
よくある「商品券プレゼント」などは、商品券をもらってすぐに帰る人も多いのが現実です。
住宅展示場の敷地を出てすぐに忘れてしまうようでは、キャンペーンを行っている意味がありません。
そこで、「プロのカメラマンが行う写真撮影会」はいかがでしょうか。
子どもが着れる“なりきり衣装”を用意するほか、モデルハウス内にいくつもフォトスポットを用意し、実際に暮らしているような写真が撮れると住宅購入後のイメージもわきやすくなります。
写真として残るため、イベントや自社について思い出す機会が多く、後から契約につながる可能性があります。なによりプロカメラマンの撮影は普段では体験できない内容のため、お客さまの思い出には良いイメージとして残りやすいでしょう。
3.住宅だけではなく「土地」などの付加価値をつける
3つ目の解決方法は、住宅販売だけでなく「土地」などの付加価値をつけることです。
親から受け継いだ土地に家を建てることが少なくなってきた現代では、家を建てたい人の8割は新規で土地を探しているというデータがあります。なかには2~3年も探し回っている人も少なくありません。それほど土地を見つけることは難しく、理想とする土地とはなかなか出会えないといえるでしょう。
そのため「土地」という切り口から訴求し、
- 「土地探し始めました」
- 「土地探します」
- 「最新の土地情報あり」
など、需要の高い住宅と土地のセットでアプローチすることが効果的です。
4.インパクトのあるキャンペーン
「抽選で1名1000万円値引きします」
という新築キャンペーンがあったら、どうでしょうか?
何か住宅に瑕疵があるわけではなく、注文住宅で総額から1000万円値引きされるのですから、お客さまにとってはかなりお得なキャンペーンになります。単価の高い注文住宅では「いかに値引きしてもらえるか」を重視しているお客さまは多いといえます。インターネット上では「〇〇円値引きしてもらえる交渉術」なる記事も存在するほど。
したがって「1000万円値引き」というキャンペーンを見たお客さまは、多くの人が興味本位で内容を確認すると考えられます。たとえばインターネット広告を掲載し、クリックしたリンク先が応募ページになっていれば、そのまま応募するでしょう。つまり企業にとってこのようなインパクトのあるキャンペーンは、多くの顧客情報を集められ、その情報をもとにダイレクトメールなどで接点をもつきっかけになるのです。
500万円をかけ、500円のクオカードを1万人の来場者に配っても、そのうちの何人が成約に至るでしょうか。
大半がクオカードをもらって終わりになるのであれば、500万円値引きを打ち出して1万人が顧客情報を入力し応募してきたほうが、次のステップにつなげやすいといえます。
住宅展示場の集客から成約率を高めるコツ3つ
住宅展示場では集客も重要ですが、最終的な「購入」を意味する成約率も意識すべき数値になります。
集客段階の行動次第で成約率も大きく変化すると考えられるため、以下のポイントははじめから意識しましょう。
- ターゲット像の明確化
- 購入した先の暮らしをあらわしたビジュアル訴求
- 顧客の想像力を刺激する訴求
1.ターゲット像の明確化
まずは自社のターゲット像を明確化しましょう。
住宅展示場のなかで勝ち抜いて行くには、競合となるモデルハウスとの差別化が必要です。
物件自体でもキャンペーンでも、なにかしら自社独自の強みを武器に訴求していくことが重要と考えましょう。
そのため競合との差別化から自社の強みを認識し、ニーズが合致するターゲットに向けてアプローチすることで集客効果を得やすくなります。したがってそもそもどのような顧客にきてほしいのか、ターゲット像がなければ適切な集客方法を選択できません。
そのため、
- 性別
- 年齢
- 居住地
- 職業
- 家族構成
- ライフスタイル
に当てはめて条件を考え、定まったターゲット像から詳しいニーズを分析しましょう。
ターゲット像やニーズ分析までを行ってはじめて、具体的な集客プランを考えていく流れとなります。
2.購入した先の暮らしをあらわしたビジュアル訴求
住宅展示場への集客、そして成約に結びつけるためには、モデルハウスの良さを伝えなければいけません。
伝え方にはさまざまな方法がありますが、住宅の強みを最も活かせるのは動画を活用したコンテンツといえるでしょう。なぜなら住宅販売では購入した先の暮らしをお客さま自身に置き換えてイメージさせることが重要となり、文字や画像だけでは情報量が少ないためです。
特に近年ではSNSを活用するユーザーが増加しているため、動画が閲覧される機会が増えているといえます。
そのためSNS運用なども検討し、部屋の奥行きやインテリアを踏まえたうえでの空気感など、リアルな様子は動画を活用して訴求していきましょう。
工務店とSNSについては、こちらの記事も参考にしてください。
3.顧客の想像力を刺激する訴求
住宅展示場から契約につなげる際は、顧客の想像力を刺激する訴求も重要なポイントです。
想像力を刺激する訴求とは、顧客が「部屋をどのように活用しよう」や「この位置にはこの家具を置こう」など、すすんで自分が住んだときのことを考えること。想像力から住宅の購入意欲を刺激されるため、ますます成約へ近づくといえるでしょう。
想像力を刺激する訴求方法は「具体的な生活スタイル、部屋の活用方法」を伝えることです。
具体性があればあるほどリアルなイメージを持ち、自然と自分自身にあてはめて考えるようになります。
まとめ
本記事では住宅展示場に効果的な集客方法4選、また集客の問題点や解決方法について解説してきました。
住宅展示場は来場者数が減少していたり、自社の求める層がなかなか来なかったりと問題点がありますが、商品券プレゼントだけではなく、土地や住宅に絡めたお客さまの記憶に残るようなイベントやキャンペーンに工夫をすると集客効果は大きく変えられます。
また、Web上で見学ができるバーチャル展示場の活用も検討しましょう。イベントやキャンペーンの告知のためにもホームページをはじめとしたWeb集客は欠かせないため、第一にホームページを制作・リニューアルすることから取り組むと良いです。