自社の顧客を獲得するために、集客していくことは欠かせない取り組みの一つです。しかし、一般的な集客方法を実施していくなかで、獲得できる顧客数が伸び悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
一風変わった面白い集客方法を実施することによって、いわゆるバズることができ、マンネリ化した状況を打破できる可能性があります。そのためには、集客についての理解を深めたうえでアイデアを練ることが重要です。
そこで本記事では効果的に集客するために理解しておきたいことや欠かせない施策、アイデアを考えるために行いたいことを解説。また、面白い集客方法や成功事例についても紹介します。
面白い集客方法はどうやって考える?
まず、面白い集客方法を「どのように考えれば良いのか」について解説します。自社の内部・外部の情報を整理することで、面白いかつ自社に適した集客方法が見えてくるでしょう。
「ターゲットは誰か」を考える
どれだけキャッチーな集客方法を思いついたとしても、自社の商品・サービスのターゲットに刺さるものではなければ、費用と労力を消費するだけになってしまいます。ターゲットを絞ることで、集客のメッセージの具体性が高まるとともに、無駄なコスト削減につながるでしょう。
例えば、「家を買いたい夫婦向け」よりも「完全在宅勤務になったため、田舎暮らしを実現したい20代夫婦」と決めた方が、どのような集客にするべきかイメージが膨らむのではないでしょうか。
「自社の強みが何か」を考える
自社の商品・サービスの強みやベネフィットを明確にすることで、顧客に刺さる集客を行うことができます。
ただし、機能性の高さがそのまま自社の強みにはならない可能性があることに注意しましょう。成熟している市場においては、すでにあらゆるモノをもっている場合が多いため、わざわざ手間やお金をかけて、新商品を購入するのはハードルが高いといえます。
そこで必要となるのが、自社の商品・サービス独自の強みやベネフィットです。他社にはない差別化されたポイントを訴求しましょう。
フレームワークを活用する
効果的な集客を実施するには、自社の内部・外部の状況を分析することが必要です。どのような集客方法が適しているのかを、以下2つのフレームワークを通して検討しましょう。
3C分析
以下の3つのCについて分析します。
- Customer(市場・顧客):市場規模や動向、顧客ニーズ、顧客の購買意欲など
- Company(自社):自社の経営資源、市場での立ち位置、収益性など
- Competitor(競合):競合他社の市場シェア、競合商品・サービスの強みや弱みなど
3C分析を実施することで、ターゲット像の明確化や自社の強みの発見につながります。
SWOT分析
以下の4つの要素について分析します。
- Strength(自社の強み):強みを活用し、機会創出へつなげる
- Weakness(自社の弱み):弱みを理解し、改善・強化する
- Opportunity(ビジネスを行う機会):自社の強みを活用し、機会創出を狙う
- Threat(ビジネスにおける脅威):自社の弱みを理解し、脅威の回避やリスクを抑制する
SWOT分析を実施することで、自社の強みが明確になります。
面白い集客方法3選
ここから、面白い集客方法について紹介します。それぞれの集客方法においておすすめのターゲット像や業種もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
1.ライブコマースで販売する
ライブコマースとは、ライブ配信によるオンライン販売の集客方法です。リアルタイムで商品・サービスを紹介し、視聴者とコミュニケーションを取りながら購買を促していくスタイルが新しいとして、注目を集めています。
ライブコマースはリアルタイムのライブ配信であるため、顧客にとっては商品・サービスの使用感がわかりやすく、コメントで質問すれば情報をすぐに得られるという特徴があります。そのため、ECサイトに比べて、購入率が高い傾向にあるといわれています。
向いているターゲット像や業種の具体例
- SNSに慣れている
- オンラインショッピングを利用している
- トレンドに敏感
- 化粧品
- アパレル
- 日用品(掃除道具、調理器具など)
2.クラウドファンディングに出品する
クラウドファンディングは、もともと資金調達を目的に実施されるシステムでしたが、集客としても魅力的な場所になっています。というのも、今ではクラウドファンディングは多くの企業や消費者が利用しているためです。
そのため、新商品や新サービスをクラウドファンディングに出品することで、多くの人に認知してもらえ、購入してもらえる可能性があります。また、テストマーケティングに活用できることからも注目を集めています。
向いているターゲット像や業種の具体例
- SNSを利用している
- 新しいもの好き
- 好奇心旺盛
- トレンドに敏感
- BtoC企業
- 飲食店などの店舗型ビジネス
3.ポータルサイトに出店する
ポータルサイトとは、さまざまな情報やサービス、Webサイトへのリンクが集約されたインターネット上の入口です。例えば、美容院や飲食店、建築業者などの特定の業種の情報をまとめたサイトや各店舗や商品の口コミをまとめたサイトなどがあります。
ユーザーの方から、自分にとって必要な情報を求めてアクセスしてくれるため、出店しておくことで消費者を集客できます。また、ニーズに合っていた場合には、ポータルサイトを介してリピーターになってもらえる可能性もあるでしょう。
向いているターゲット像や業種の具体例
- ネットサーフィンをよくする
- 購入に慎重で、比較検討を行う傾向がある
- 悩みや課題が明確である
- BtoC企業
- 飲食店などの店舗型ビジネス
面白い集客アイデア3選
ここでは、面白い集客アイデアを紹介します。一般的な集客方法であっても、工夫することで独自性のある集客を実施できるでしょう。
1.成果保証をつける
商品・サービスをPRする際に、特徴や強みをアピールするだけでなく、保証をつけるというアイデアです。商品・サービスを購買する際に、「ベネフィットなどの約束した成果を得られなければ、返金する」という販促をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
成果保証をつけたことで、集客に成功した一例をご紹介します。このほかにも、化粧品やエステ、健康事業などにも向いているアイデアといえるでしょう。
- RIZAP:期間内に効果が出なかった場合、全額返金を実施
- ドミノピザ:30分以内にピザが届かなかった場合、全額返金を実施
実際に返金を請求された返金率は数%~10%程度という数字もあるため、商品・サービスが顧客に与えるベネフィットに自信がある場合、こうした保証をつけると、集客にプラスの影響を与えるでしょう。
向いているターゲット像や業種の具体例
- 利用を検討しているが、失敗したくないと感じている
- サービス、商品を初めて利用する
- エステ、パーソナルトレーニングなど成果を重視する業種
- 無形商材を扱う企業
2.商品を小分けにして売る
商品・サービスをよりお得に購入できるよう、セットにして売り出す方法はよくありますが、最近では小分けにして売ることで集客につながるケースがあります。というのも、まずは少量を購入し、自分に合っているか試したいという消費者や、必要な分だけ購入したいという消費者のニーズに応えることができるためです。
小分けにして売る方法は、すべての商品・サービスにおいて向いているわけではありません。以下の要素を満たす商品・サービスの業種において検討してみると良いでしょう。
- 日常的に消費者が利用している
- 何度でも利用できる
つまり、リピート性の高い商品・サービスです。例えば、食品や日用品などが挙げられます。また、サービスの場合には前髪カットを500円で行う美容院や週1コマから通える学習塾などがあります。
向いているターゲット像や業種の具体例
- 利用を検討しているが、失敗したくないと感じている
- サービス、商品を初めて利用する
- 購入に慎重で、比較検討を行う傾向がある
- 好奇心旺盛
日用品や消耗品を取り扱っている小売店などのリピート性の高いBtoC企業
3.商品・サービスを手に入れた未来を想像させる
商品・サービスの特徴や機能、性能を全面に打ち出しても、集客効果につながらない可能性があります。それは、消費者が求めているのは、優れた商品・サービスを手に入れることではないためです。
例えば、住宅リフォームするときに以下のような広告があったとします。
- おしゃれなデザインが強み
- 断熱性能に優れている
- 最新の水回り設備
上記のような機能や性能を中心にPRされると、「なんとなく良さそうだな」と思っても、自分がどのようなベネフィットを手に入れられるかは直感的に想像できません。
そこで、おすすめなのは、以下のように商品・サービスを手に入れた未来が想像できるような言葉を打ち出すことです。
- 親戚や友人を招きたくなる自慢のデザイン
- エアコンいらずで快適に365日を過ごせる
ベネフィットを感じるには、実際に商品・サービスを使用することが1番です。実際の顧客や家族・友人などに試してもらい、使用感をアンケート調査すると良いでしょう。
向いているターゲット像や業種の具体例
- トレンドに敏感
- 新しいもの好き
- SNSを利用している
- 新商品や新サービスを打ち出したいと考えている企業
- リニューアルした商品やサービスをアピールしたいと考えている企業
(あらゆる業種に向いています。)
面白い集客イベント3選
ここでは、面白い集客イベント3選を紹介します。IT技術の進歩により、これまでにないイベントの実施が可能になっています。費用対効果を検討してみると良いでしょう。
1.VR(バーチャル)展示会を活用する
VR展示会とは、家にいながらパソコンやスマホを通じて実施される展示会のことです。オンライン展示会やWeb展示会とも呼ばれています。
VR展示会のメリットを以下にまとめました。
- リアルの展示会に比べ、低コストで開催可能
- 場所や空間の制限を受けないため、遠方からの顧客の集客も可能
- 来場者の正確なデータが取得可能であるため、分析が可能
VR展示会に向いている業種は、製造業や建築業、インテリア、アパレルなどが挙げられます。いずれも立体的なイメージがわかることで、より商品の魅力を伝えられる業種となっています。
向いているターゲット像や業種の具体例
- トレンドに敏感
- 新しいもの好き
- SNSを利用している
- 建築業
- 製造業
- アパレルやインテリアなどの小売業
2.コラボイベントを実施する
コラボイベントを実施することにより、自社の顧客だけでなくコラボ相手の顧客層への集客が可能になります。大手企業では有名人や有名キャラクターとのコラボイベントを実施している事例は多くありますが、コラボイベントは規模が小さくても効果が見込めます。
そのためには、自社とコラボ相手のどちらの価値も高められるような企画が必要です。自社とコラボ相手の強みやターゲットなどを共有したうえで、イベント内容を決めていきましょう。
また、自社とコラボ相手の業種の親和性が高いと、より効果的な集客が期待できるでしょう。例えば、住宅と家具・家電、食とフィットネスなどは親和性の高いコラボであるといえます。
向いているターゲット像や業種の具体例
- 好奇心旺盛旺盛
- トレンドに敏感
- SNSを利用している
- BtoC企業
- 有形商材を取り扱う企業
3.ポップアップストアに出店する
ポップアップストアとは、数日~数週間といった短期間限定でオープンするショップのことです。催事に出店するお店とは異なり、希少性や話題性が重視されます。
短期間限定ではあるものの、SNSでシェアしてもらえる工夫をすることで、実際に訪れた顧客以外にも商品・サービスの認知度向上につながるでしょう。そのため、単純な売上向上のための内装ではなく、自社の個性を打ち出した空間づくりが必要になることも。
ポップアップストアの場合、出店場所も重要になります。例え、表参道や銀座のような話題性の高く、人の集まる場所で出店しても、自社のターゲットに合っていなければ期待した効果が得られない可能性があるのです。
しっかりと自社のターゲットを分析したうえで、場所・内装・PR方法を選定してください。
向いているターゲット像や業種の具体例
- 好奇心旺盛旺盛
- トレンドに敏感
- SNSを利用している
BtoC企業
面白い集客方法を成功させるためのポイント4つ
面白い集客方法を成功させるための4つのポイントを紹介します。集客する目的を達成するために、以下のポイントについても検討すると良いでしょう。
1.SNSを活用する
日本国民の人口のうち、SNSの利用者は80%にものぼるといわれており、集客を実施するうえで、SNSの活用は欠かせません。
ただし、SNSと一言でいってもTwitterやInstagram、Facebookなどのさまざまな媒体があるため、自社の顧客に合わせて施策を実施することが重要です。また、SNSでの施策を行わない場合でも、SNSを通じて、どのようなPRを実施するかといった情報は定期的に発信しましょう。
2.付加価値をつける
集客を行ううえで、付加価値をつけることの重要性が高まっています。よくある例では、商品・サービスと親和性の高いおまけ商品をプレゼントしたり、次回使えるクーポンを発行したりといった付加価値が挙げられます。モノやサービスを付加価値として提供する方法はすぐにでも実施できるでしょう。
一方、最近注目されているのは、「体験」による付加価値です。例えば、超高級ホテルで1000円のコーラを買う顧客の心理です。コーラそのものに1000円という対価を支払っているわけではなく、その非日常的な場所やシチュエーションに充足した価値としての対価なのです。
3.トレンドを意識する
IT技術の進化や消費者の価値観の多様化によって、市場は常に変化しています。そのため、効果的な集客方法も変わっていきます。マーケティング全般にいえることですが、最新情報は常に取り入れるようにしましょう。
また、SNS運用においては、トレンドを意識した投稿を心がけることで、新たなユーザーの目に留まる可能性があります。マーケティング方法だけでなく、社会的なトレンドも常にキャッチしておきましょう。
4.複数のアイデアを組み合わせる
1つの施策だけでなく、複数の施策を組み合わせることで、相乗効果が得られる可能性があります。例えば、SNSの広告配信とポップアップストアを組み合わせることで、よりストアへの集客効果を高められるかもしれません。
また、施策を組み合わせることで他社との差別化につながり、オリジナリティのある集客になる可能性があります。
SNSを利用した面白い集客事例3選
最後に、SNSを利用した面白い集客事例を紹介します。SNS運用の参考にしてみてください
1.丸亀製麺
丸亀製麺は、Twitterの公式アカウントで、消費者が制作・投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出すためのキャンペーンを多く開催しています。
例えば、「あなたの通な釜揚げうどんの食べ方を実施してください!」や「野菜かき揚げを食べるならそのまま派?アレンジ派?」などの質問を投げかけ、ユーザーのコメントを引き出しているのです。
また、ハッシュタグやメンションのついたユーザーの投稿を積極的にリポストすることで投稿意欲を高めるなど、ユーザーとのコミュニケーションを活用した事例になっています。
2.森永製菓株式会社
森永製菓は、Twitterの公式アカウントで、「ベイクを買わない理由100円買取」というキャンペーンを実施。大きな話題を生み、わずか数時間で4万リツイートを達成することができました。
またSNSやニュースでも取り上げられた結果、集客にもつながったのです。あえてネガティブな情報を募集したというユニークさが話題を生んだ面白い事例といえるでしょう。
3.株式会社明治
明治は、「きの山さん」と「たけ里ブラザーズ」という2つのTwitterのアカウントで同時にキャンペーンを実施。それが、人気商品である「きのこの山」と「たけのこの里」の人気を競うというキャンペーンです。500件以上のリツイートを集めるなど、非常に注目を集めました。
ユーザーの興味・関心をそそる内容であるだけでなく、テレビCMの放映やインフルエンサーの起用などの他の施策と組み合わせたことで、より多くのユーザーの集客に成功した事例となっています。
まとめ
この記事では、効果的に集客するために理解しておきたいことや欠かせない施策、アイデアを考えるために行いたいことを解説。また、面白い集客方法や成功事例についても紹介しました。
これまでにないような面白い集客方法により、話題性を呼べたとしても、集客する目的を果たせなければ意味がありません。そのため、面白い集客方法を実施するには、ターゲットや自社の商品・サービスの強みを明確にすることが重要です。
どのような集客方法が自社には適しているのかをしっかりと検討し、費用対効果を見極めたうえで、複数の施策を組み合わせて実施しましょう。より効果的な施策を行いたい場合には、マーケティングのプロに集客について相談してみるのも一つの手といえます。