BtoBマーケティングは、多くの企業で取り入れられる活動です。BtoBマーケティングの導入を検討しているものの、どのような活動か詳しく知らない方も多いでしょう。
BtoBマーケティングとは、企業間取引を対象としたマーケティング活動です。一般消費者を対象としたBtoCマーケティングとは異なり、複数の意思決定者がいるなどの特徴があります。
BtoBマーケティングの特性を理解して、自社の課題解決につながる施策を実行するのが重要です。
今回は、BtoBマーケティングについてBtoCとの違い・手法・成功事例を詳しく解説します。本記事を読めば、BtoBマーケティングを理解してスムーズに自社で施策を実行可能です。
BtoBマーケティングを実施し、売上拡大などの成果につなげましょう。
BtoBマーケティングとは企業間取引におけるマーケティング活動
BtoBマーケティングとは、企業間で行われるビジネス取引を対象としたマーケティング活動です。一般消費者向けではなく、企業や組織を対象としたマーケティングアプローチが必要となります。
BtoBマーケティングは、製品やサービスの購入決定プロセスが複雑である点が特徴です。通常、課長・部長など複数の意思決定者が関与し、購入に至るまでに長い時間を要します。
BtoBマーケティングではターゲット企業のニーズを十分に理解し、適切なタイミングと方法で情報を提供するのが重要です。また、扱う商材によっては専門性の高い製品・サービスをうまく説明できる能力も求められます。
BtoB・BtoCマーケティングの違いはターゲット・製品性質・購買プロセス
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングには、以下3つの大きな違いがあります。
BtoB・BtoCマーケティングで異なるポイント | 概要 |
ターゲット | BtoBではビジネスパートナーや企業が対象だが、BtoCでは一般消費者が対象となる。よって、アプローチの方法が大きく異なる。 |
製品・サービスの性質 | BtoBでは専門性が高く、価格も高額な製品やサービスが多い。BtoCでは一般消費者向けの製品・サービスが中心となり、価格はBtoBと比較して低い傾向にある。 |
購買プロセス | BtoBでは多くの場合、課長・部長など複数の意思決定者が関与し、長い時間をかけて購入判断が下される。一方、BtoCでは個人の嗜好に基づく比較的単純な購買プロセスが多くなる。 |
BtoBマーケティングを実施する際は、企業特有のターゲット背景・製品特性・購買プロセスに留意してアプローチを行う必要があります。
BtoBマーケティングでは顧客関係の構築が鍵を握る
BtoBマーケティングにおいて、顧客との強固な関係性構築が非常に重要です。企業間取引では、継続的な取引関係が欠かせません。一度の取引だけで終わるのではなく、長期的な関係構築を目指す必要があります。
よって、BtoBマーケティングでは顧客のニーズを深く理解し、信頼関係を醸成するのが極めて重要です。顧客企業との対話を通じて課題を把握し、適切なソリューションを提案すれば良好な関係を築けます。また、アフターフォローやサポート体制の整備も欠かせません。
顧客企業との関係性を強化するためには、適切なタイミングでの情報提供やコミュニケーションも不可欠です。顧客企業の意思決定プロセスに合わせた細やかなアプローチが求められます。
BtoBマーケティングを実施する流れは3ステップ
BtoBマーケティングを効果的に実施するためには、しっかりとした計画と戦略が不可欠です。以下では、BtoBマーケティングを実施する際の一般的なプロセスについて解説します。
- 市場調査
- BtoBマーケティングの戦略考案
- 決定した戦略の実行
BtoBマーケティングを実施する際は、上記の3ステップを参考にしてください。
1.市場調査
BtoBマーケティングの第一歩は、徹底した市場調査です。マーケティング成果を向上させるためには、ターゲットとなる業界・企業・顧客のニーズを把握することが重要です。
まず、ターゲット業界の動向や競争環境を分析します。業界でどのような課題があり、どのような製品やサービスが求められているのかを探ります。
次に、具体的な顧客となりうる企業を特定し、事業内容・規模・意思決定プロセスなどを調べます。可能であれば企業担当者に直接ヒアリングを行い、ニーズを掘り下げるのも大切です。
市場調査により、ターゲットの課題・悩みごとを明確にできます。収集した情報に基づいて、自社の製品やサービスがどのように顧客企業へ価値提供できるのかを見極めましょう。
2.BtoBマーケティングの戦略考案
市場調査の結果を踏まえ、次はBtoBマーケティングの具体的な戦略を考案します。ターゲットの特性に合わせて、最適なマーケティング戦略を設計するのが肝心です。具体的には、以下3つの戦略を決める必要があります。
- 製品・価格戦略
- プロモーション戦略
- リードナーチャリング戦略
まず、製品・価格戦略を立案します。具体的には、提供する製品やサービスの内容や価格設定を決定しましょう。
次に、プロモーション戦略を検討します。ターゲットに合わせてセミナー・コンテンツマーケティング・Web広告などのプロモーション手法を選択します。さらに、流通チャネルの確保などチャネル戦略も重要です。
加えて、BtoBマーケティングではリードナーチャリングの仕組みづくりも欠かせません。
3.決定した戦略の実行
戦略が決まれば、次は実行段階に移ります。BtoBマーケティングの実行では、計画通りの施策を確実に実現することが何より大切です。
まず、戦略を具体的なアクションプランに落とし込みます。プロモーション活動の詳細な内容・スケジュール・必要な予算や人員などを明確にしましょう。上記の準備ができたら、各アクションの進捗管理を行いながら着実に活動を実行していきます。
実行段階では、定期的な進捗管理・改善が欠かせません。マーケティング活動の結果をデータで確認し、課題があれば迅速に対策を講じる必要があります。ターゲットの反応を注視し、思うような成果があげられなければ戦略も見直さなければなりません。
BtoBマーケティングは長い時間をかけて成果を出す活動です。計画を着実に実行し、状況変化に対して臨機応変に対応しましょう。
BtoBマーケティングで成果を最大化させる3つの戦略的ポイント
BtoBマーケティングでは、ただ単にマーケティング活動を行うだけでは十分な成果は期待できません。むしろ、戦略的な視点からさまざまな施策を総合的に実行するのが成功の鍵となります。以下では、BtoBマーケティングで成果を最大化させる3つの戦略的ポイントについて解説します。
- 顧客理解を深める
- 営業部門との連携を強化する
- 自社の課題解決につながるツール導入・施策を実行する
1.顧客理解を深める
BtoBマーケティングにおいて、顧客理解を深めることは極めて重要です。課題・ニーズを的確に把握できなければ、自社製品・サービスが顧客企業にどのようなメリットがあるかを伝えられません。
顧客へのリサーチ・ヒアリングを徹底的に行い、事業内容・意思決定プロセス・直面している課題などを明確にすることが不可欠です。顧客の悩みごとを掘り下げ、自社製品・サービスがどのように課題解決につながるのかを明確にしましょう。
顧客理解を深めるためには、顧客とのコミュニケーションを継続的に行うのが大切です。単発的な活動ではなく中長期的な視点で対話を重ね、顧客との信頼関係を構築します。
2.営業部門との連携を強化する
BtoBマーケティングの成果を高めるには、マーケティング部門と営業部門の緊密な連携が不可欠です。両者が一体となって取り組めば、シナジー効果を生み出し効果的に販売施策を実行できます。
まずは、両部門間で顧客データを共有するのが重要です。情報共有がうまくいけば、ターゲットに合わせた施策を一貫して実行できるようになります。リードナーチャリングのプロセスにおいても、マーケティングと営業の役割分担を明確にしましょう。
両部門間での定期的な意見交換・戦略検討の場を設けるのも有効です。お互いの課題を共有し、改善点を検討できます。マーケティングと営業の双方向のフィードバックが、施策の質向上につながります。
3.自社の課題解決につながるツール導入・施策を実行する
BtoBマーケティングでは単に新しいツールを導入するだけではなく、自社の課題解決につながるかどうかを常に意識する必要があります。導入するツールや施策が、マーケティングの効率化・顧客体験の向上・売上アップなど具体的な課題解決につながるかどうかの検証が必要です。
たとえば、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すれば、リードナーチャリングを効率化して見込み客の取りこぼしを防げます。ABMツールの導入により、ターゲットアカウントへの重点的なアプローチが可能です。営業プロセスを可視化できるツールを活用すれば、顧客体験の改善にもつなげられます。
BtoBマーケティングに新しいツールを活用する際には、自社の具体的な課題をしっかりと見極めるのが重要です。BtoBマーケティングにおけるさまざまな活動を最適化し、成果を最大化させやすくなります。
BtoBマーケティングでよく利用される代表的手法・施策
BtoBマーケティングでは、さまざまな手法や施策が活用されています。以下では、7つの代表的な手法について解説します。
- コンテンツSEO
- Web広告
- SNS運用
- ホワイトペーパー
- プレスリリース
- メールマガジン
- セミナー・展示会
BtoBマーケティングを実施する際は、上記から自社に合った手法・施策を選択しましょう。
コンテンツSEO
コンテンツSEOは、BtoBマーケティングでよく用いられる手法です。コンテンツSEOとはは自社のWebサイト・コンテンツを検索エンジンの上位に表示させ、見込み客の集客を図る施策です。
まずターゲットとなる見込み客が検索しそうなキーワードを分析し、ユーザーニーズに適した質の高いコンテンツを作成します。コンテンツの内容は、ターゲットの課題解決につながる有益な情報が盛り込まれているのが重要です。
ユーザーニーズを満たす優れたコンテンツとSEO対策を組み合わせれば、見込み客の集客を効果的に行えます。コンテンツSEOは、BtoBマーケティングにおける主要な手法の一つです。
Web広告
Web広告は、BtoBマーケティングでも広く活用されている手法です。特に以下2種類が、多くの企業で用いられています。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
リスティング広告は検索エンジンの検索結果ページ上部に表示される広告で、ユーザーからクリックされた数などに応じて広告費を支払う仕組みです。より多くのアクセスを集めるためには、キーワードを適切に設定してターゲットの検索意図に合ったクリエイティブを用意するのが重要です。
一方のディスプレイ広告は、Web上のあらゆるサイトに配信できる画像広告・バナー広告です。ターゲティングの細かな設定が可能なため、業種や興味・関心などを指定して配信できます。
いずれの広告においても、KPIに応じた適切な入札単価の設定・A/Bテストによる広告効果の検証〜改善が欠かせません。Webサイトの改善なども組み合わせれば、より高い確率で成果を出せます。
SNS運用
SNSは、BtoBマーケティングにおいても重要なチャネルの一つです。Instagram・X(旧Twitter)などのSNSで自社製品・サービスに関連した情報を定期的に発信し、見込み客の獲得から購入・成約へつなげます。
SNS運用では企業アカウントだけでなく、営業・マーケター個人のアカウント活用も有効です。近年は個人アカウントを通じた対話型のコミュニケーションにより、リードナーチャリングを行うケースも増えています。
SNSは情報発信や関係性構築、リード獲得に寄与する有力なツールです。コンテンツマーケティングやリードナーチャリングなどの施策と組み合わせれば、BtoBマーケティングの成果を大きく高められます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、BtoBマーケティングにおいて非常に重要な役割を果たすコンテンツです。ホワイトペーパーとは、特定のトピックや課題に関する詳細な情報・専門的な分析を提供する資料を指します。
ホワイトペーパーの目的は自社の専門性・技術力をアピールし、読者の信頼を獲得する点です。優れたホワイトペーパーには、読者が抱える課題への解決策・新しい知見やアイデアが含まれています。ホワイトペーパーを通じて、自社の製品やサービスの価値を効果的に伝えられるのがメリットです。
ホワイトペーパーの作成ではターゲット読者のニーズ・関心事を的確に捉えた上で、専門家による丁寧な解説が不可欠です。また、わかりやすい構成・デザインにも注力する必要があります。高品質なホワイトペーパーは、見込み客の信頼獲得・価値提供に大きく寄与します。
プレスリリース
BtoBマーケティングにおいて、プレスリリースは重要な情報発信ツールの一つです。プレスリリースとは、企業の最新情報・ニュースをメディアや業界関係者に向けて発信する資料です。
プレスリリースの目的は企業の認知度向上や新製品・サービスの告知、業界でのプレゼンス構築などです。適切なタイミングで効果的なプレスリリースを発信すれば、メディアでの露出機会を獲得してブランディング・販路開拓に寄与できます。
プレスリリースの作成においては出稿するメディアの性質を理解し、ニーズに合わせた内容を心がけましょう。伝えたい情報を的確に要約し、わかりやすい文体で書くことも求められます。添付資料の工夫・リリース後のフォローも重要なポイントです。
メールマガジン
メールマガジンは、BtoBマーケティングにおいて有力なコミュニケーションツールの一つです。メールマガジンとは、企業が顧客・会員に対して有益な情報を定期的に提供するメールです。メールマガジンを活用すれば、ターゲット企業や見込み客に対して直接的かつ定期的なコンテンツ配信が可能になります。
メールマガジンの目的は、ブランディング・リードナーチャリングの推進・既存顧客のフォローなどです。定期的に役立つ情報を届ければ受信者との信頼関係を築き、受注につなげやすくなります。
メールマガジンでは、ターゲットの関心事や課題に合わせたコンテンツを心がけましょう。また、適切な頻度・配信時間の設定・見やすいデザインやレイアウトなども重要です。
セミナー・展示会
セミナーや展示会は、BtoBマーケティングにおける対面型のプロモーション施策として大きな役割を担っています。不特定多数の企業に対して、新製品やサービスのプレゼンテーション・情報交換の場を設けられる点がメリットです。
セミナーや展示会の目的は、製品や技術力のアピール・リードの発掘と関係性構築・競合他社との差別化などにあります。参加者と直接対話できる貴重な機会となるため、ターゲットとのつながりを深められます。
セミナー・展示会を企画する際は、ターゲット層や関心事を捉えたテーマ設定が不可欠です。事前のプロモーション・開催当日の資料作成・進行管理にも注力する必要があります。参加者にとって有益で印象深いイベントとなれば、商品・サービスの購入にもつながります。
戦略を立てずにBtoBマーケティングを実施するリスクは期待する成果が出ない点
BtoBマーケティングを戦略なしに実施してしまうと、かえって無駄な投資・リソースの浪費につながる大きなリスクがあります。戦略がないと、マーケティング施策が自社の課題解決につながらず期待する成果が出ません。
BtoBマーケティングには明確な目標設定が不可欠です。ターゲットとなる企業・業界・顧客のニーズを理解し、自社の製品やサービスを最も効果的に届けるための戦略を立てる必要があります。戦略なしでは施策の方向性が定まらず、ただ行きあたりばったりの活動に終始してしまう恐れがあります。
戦略を立てずに、ただ流行のマーケティングツールを導入したり、単発的なプロモーションを実施しただけでは期待した効果は得られません。統合的で一貫性のある戦略の下、複数の施策を組み合わせて相乗効果を生み出すのが大切です。
さらに、戦略がないとマーケティング活動の進捗管理やデータ分析が適切に行えません。結果として施策の修正・改善が困難になり、無駄な投資が続いてしまう可能性があります。
BtoBマーケティングの成功事例3選
BtoBマーケティングを効果的に実践すれば、企業は大きな成果を収められます。以下では、BtoBマーケティングに優れた取り組みを行っている3社の成功事例を紹介します。
- アドビ株式会社
- ビジネスエンジニアリング株式会社
- 株式会社ロジクエスト
BtoBマーケティングを実施する際は、上記の事例を参考にしてください。
1.アドビ株式会社
アドビ社は、Adobe Marketoをはじめとするツールで知られる大手IT企業です。同社のBtoBマーケティングの特徴は、コンテンツSEOを核とした戦略にあります。
SEO対策の優先順位を見極めながら、ビッグキーワードの順位獲得・回遊率を高めるリンクの設置など100を超える施策を実施します。結果として「MA」などのビッグキーワードで検索上位を取れるなど、順調にアクセスを伸ばすことに成功しました。リード獲得150%・商談件数130%向上など高い成果につなげています。
参考:【インタビュー】アドビ株式会社、外資ITならではの「制約」のなかで結果を出すSEO施策とは? | ナイル
2.ビジネスエンジニアリング株式会社
ビジネスエンジニアリング社は、製造業を中心にコンサルティング・ITソリューションを提供する企業です。同社のBtoBマーケティングの成功ポイントは、リスティング広告施策の実行・改善にあります。
リスティング広告を出稿後に一時的にアクセスが増えたものの、次第にウェブサイト経由での新規顧客数が減少していった状態でした。広告の移遷先が既存のウェブページであり、リスティング広告でアクセスするユーザーのニーズにマッチしていなかった点が原因です。
設定したキーワードを検索するユーザーのニーズにマッチしたランディングページを新たに作成し、遷移先として設定しました。結果として、ウェブサイトでのCV数が従来の約10倍まで伸びています。リスティング広告の出稿から、効果検証・改善を繰り返して成果を出した事例です。
参考:ウェブサイトでのCV数が従来の約10倍に | 株式会社メディックス
3.株式会社ロジクエスト
ロジクエスト社は、配送代行をメイン事業として行う企業です。対面営業が中心であった同社ですが、より効率的なマーケティング活動を行うためにオンラインでのアプローチを積極的に取り入れました。
具体的にはMAツールを導入し、電話からメルマガによるリード獲得・アポイント取得に切り替えます。興味・関心度合いが高いリードを洗い出し、優先的にメルマガでアプローチした結果、アポイントの獲得率が電話と比較して3倍以上増えました。MAツール導入とメルマガによるマーケティング施策で、効率的にアポイントを獲得できた事例です。
参考:「SATORI」メールでテレアポの獲得率が3倍以上に!インサイドセールスの立ち上げと効率化を進めるDXプロジェクトの裏側|SATORI
BtoBマーケティングにおける5つの最新トレンド
BtoBマーケティングの領域では、常に新しい手法やトレンドが生まれ続けています。企業は最新トレンドを適切に取り入れながら、マーケティング活動を進化させていく必要があります。BtoBマーケティングにおける以下5つの最新トレンドを見ていきましょう。
- アカウントベースドマーケティング
- オフライン広告
- CRM
- 動画マーケティング
- カスタマーサクセス
上記から、自社に合った施策を取り入れてください。
1.アカウントベースドマーケティング
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、ターゲットとなる重要アカウントに絞って重点的かつ一貫したマーケティング活動を展開する手法です。
ABMでは、まずターゲットアカウントを特定し、企業が抱える課題を詳細に分析します。次に、コンテンツマーケティング・広告・セミナーなど複数のタッチポイントを組み合わせて重層的にアプローチを実施する流れです。
リード獲得後はナーチャリングを行い、最終的な受注獲得を目指します。大きな売上が期待できる優良顧客のみに焦点を当てるため、マーケティングの効率化・ROI向上が期待でき、多くの企業で導入が進んでいます。
2.オフライン広告
デジタル広告に加え、BtoBマーケティングにおいてオフライン広告の重要性が見直されつつあります。かつてはオフライン広告の効果が測りづらく、コストに見合わないとの評価もありました。しかし、近年はビッグデータを活用してターゲット層を絞ったアプローチが可能なオフライン広告も増えており、再評価されています。
オフライン広告は不特定多数のユーザーにアプローチできるため、製品やブランドの認知度向上に大きく寄与する点がメリットです。デジタル広告との併用により、ターゲットへのリーチ強化・認知度向上を同時に実現できる点からオフライン広告の活用が増えつつあります。
3.CRM
BtoBマーケティングにおいて、CRM(顧客関係管理)ツールの活用が広がっています。CRMツールを導入すれば、企業は見込み客や顧客に関するデータの一元的な管理・活用が可能です。
CRMツールの主な機能は、営業活動の支援・リード管理の効率化にあります。見込み客の情報・コミュニケーション履歴・受注状況などを可視化できるため、きめ細かいフォロー・販売機会の損失防止に役立ちます。
MAツールとの連携で、リード獲得から育成のプロセスをスムーズに実行できる点もメリットです。CRMに蓄積された顧客データを活用すれば、顧客の分類・カスタマージャーニー分析・ニーズの予測なども可能になります。
4.動画マーケティング
動画コンテンツは、BtoBマーケティングでも主要なコンテンツとなりつつあります。動画は製品の特徴をわかりやすく説明できるほか、感情的な訴求力があり、ブランディングにも適している点が特徴です。
BtoBマーケティングでは、デモンストレーション動画・技術説明動画・企業紹介動画などさまざまな形で活用されています。セミナーなどのライブ配信動画も用いられ、リアルタイムの体験価値を提供できます。また、SNS・YouTubeなどのプラットフォームを通じて動画を配信・共有し、リーチを拡大できる点もメリットです。
動画を核としたコンテンツマーケティングは、リードジェネレーション・ブランディングなどさまざまな効果が期待できます。オンラインでの情報収集が主流である点からも、注目が高まっているトレンドです。
5.カスタマーサクセス
BtoBマーケティングの領域においても、カスタマーサクセスの重要性が高まりつつあります。カスタマーサクセスとは顧客の製品・サービスの活用を最大化し、売上・利益につなげる活動です。
顧客にとって真に価値のある製品・サービスを提供するためには、単に販売するだけでなく課題解決のサポートが不可欠です。カスタマーサクセスチームが顧客の運用サポート・定期的なフォローなどを担えば、顧客満足度の向上・長期的な関係構築が期待できます。
カスタマーサクセスの取り組みを通じて得られる顧客の声は、製品改善・新サービス開発の貴重な情報源となります。カスタマーサクセスはマーケティング・製品開発にもフィードバックされ、企業の持続的な成長につながるのがメリットです。顧客重視の姿勢とサクセスを実現する取り組みが、BtoBマーケティングにおいても欠かせません。
コロナ禍で起きたBtoBマーケティング4つの変化
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、BtoBマーケティングの在り方にも大きな影響を与えました。対面のイベントや営業活動が制限されるなかでデジタルシフトが加速し、新たな施策が注目されるようになりました。以下では、コロナ禍によってBtoBマーケティングで起きた4つの変化を解説します。
- ウェビナーの活発化
- オンラインでの商談機会増加
- コンテンツマーケティングが再評価
- DMからメールマーケティングへ移行
1.ウェビナーの活発化
コロナ禍で対面型のセミナーやイベントが開催できなくなったため、ウェビナーの需要が高まりました。ウェビナーは完全オンラインで実施できるため、感染リスクを抑えつつプレゼンテーション・デモンストレーションが可能です。
ウェビナーの利点は、場所を選ばずに参加できる点です。参加するハードルが低く、幅広い層に情報を届けられるのが魅力となります。
また、オンデマンド配信によって都合の良いタイミングで視聴できるメリットもあります。参加者データの取得・リアルタイムでの質疑応答も可能です。ウェビナーが活発化したため、BtoBマーケティングではデジタル施策がさらに重要視されました。
2.オンラインでの商談機会増加
コロナ禍において対面での営業活動が難しくなり、オンラインでの商談機会が増えました。具体的には、ウェブ会議ツールを使った遠隔商談が一般化しました。
遠隔商談のメリットは、移動の手間がなく効率的である点です。資料の共有・画面の切り替えなども容易にでき、録画機能を活用すれば商談後のフォローに役立てられます。
遠隔商談が標準化されるなかで、オンライン商談のノウハウや環境づくりに注力する企業も増えてきました。さまざまな企業活動がオンライン化されるなか、BtoBマーケティングの新たな商談手法として活用されています。
3.コンテンツマーケティングが再評価
コロナ禍において、BtoBマーケティングでのコンテンツマーケティングの重要性が改めて認識されました。消費者がインターネットで情報を得る機会が増えており、有益なオンラインコンテンツの価値が高まったためです。
ニーズを満たすコンテンツにはターゲットの興味を惹きつけ、リードを獲得する力があります。ブランディング・SEO対策にも寄与し、企業の認知度向上や集客に貢献します。
コンテンツマーケティングの手法が見直され、戦略的に取り組む企業が増えてきました。コンテンツの質向上・SMSとの連携・Webサイト改善など、さまざまな取り組みが行われるようになりました。有益なコンテンツを武器にインターネット上でプレゼンスを確立する施策が、コロナ禍のBtoBマーケティングで重要視されています。
4.DMからメールマーケティングへ移行
コロナ禍においてDMによるプロモーションからメールマーケティングへのシフトが進みました。DMは郵送コストがかかるうえ、テレワークの普及でアプローチ自体が難しくなっています。
一方、メールはビジネスで頻繁に使用されるツールであり、社員ごとに個別のメールアドレスを付与されるのが一般的です。メールによるプロモーションはコストが抑えられ、テレワーク化でも情報を届けられるメリットがあります。
さらに、メールマーケティングではメールの開封率・クリック率など効果測定が容易です。MAツールと連携させれば、自動化も可能となります。ターゲットに合わせたコンテンツの配信やPDCAサイクルを回しやすい点がメリットです。
BtoBマーケティングで知っておきたい関連用語6つ
BtoBマーケティングの領域には、さまざまな専門用語が存在します。用語を理解しておけば、マーケティング活動をより効果的に進められます。以下では、特に重要な6つの用語について見ていきましょう。
- コンバージョン(CV)
- ランディングページ(LP)
- ライフタイムバリュー(LTV)
- ペルソナ
- カスタマージャーニー
- マーケティングオートメーション(MA)
1.コンバージョン(CV)
コンバージョンとは、Webサイト上で企業が達成したい最終的な成果です。具体的には、リード獲得・資料ダウンロード・見積依頼・購入などのユーザー行動を指します。
BtoBマーケティングでは、コンバージョン数・率の向上が重要な課題です。ランディングページの改善・コンバージョンまでの動線設計・CTAの工夫などの施策が行われます。適切な指標を設定してPDCAサイクルを回せば、コンバージョン数・率を高められます。
コンバージョンは、マーケティング活動の成否を判断する大きな基準です。
2.ランディングページ(LP)
ランディングページ(LP)とは、商品・サービスを検討するユーザーが最初にアクセスするウェブページです。一般的なウェブサイトとは異なり、特定のアクション(資料請求・購入など)を促すように設計されています。
BtoBマーケティングにおいて、優れたLPは非常に重要です。LPは広告・メール・SNSなど、さまざまなチャネルからたどり着く入り口となるためです。魅力的なデザイン・わかりやすいコンテンツ・効果的なCTAボタン配置など、ユーザーをコンバージョンへと誘導する工夫が求められます。
3.ライフタイムバリュー(LTV)
ライフタイムバリュー(LTV)とは、顧客1人あたりが企業にもたらす生涯価値です。ライフタイムバリューを高めることが、BtoBビジネスにおける重要な課題となります。
ライフタイムバリューは単発の売上だけでなく、商品・サービスの再購入やクロスセル・アップセルの機会など1人の顧客から得られる利益の合計です。ライフタイムバリューが高ければ、顧客の獲得コストに見合う十分な利益が期待できます。
よって、BtoBマーケティングでは新規顧客の獲得に加え、既存顧客との継続的な関係性の構築が欠かせません。多くの企業ではカスタマーサクセスの取り組み・顧客満足度向上に注力し、ライフタイムバリューの最大化を目指します。
4.ペルソナ
ペルソナとは、製品やサービスの想定利用者の特性をモデル化したものです。BtoBマーケティングにおいて、ペルソナの活用は欠かせません。
ペルソナでは、ターゲットの属性(年齢・役職・職業など)に加え、課題・目標・情報収集方法・意思決定プロセスなども詳細にモデル化されます。単なる属性だけでなく、行動特性まで考慮されるのが大きな特徴です。
ペルソナを作成すれば、企業は顧客が製品・サービスを利用する具体的なシーンを想像しやすくなります。ペルソナに基づいてコンテンツを作成したり、広告の訴求内容を決めたりすれば、ターゲットに合ったマーケティング施策を実行できる点もメリットです。
さらに、ペルソナは営業活動の質の向上にも役立ちます。営業担当者がペルソナを頭に入れておけば、顧客のニーズによりマッチした提案ができるようになります。
BtoBマーケティングにおいて、ペルソナの活用は極めて重要です。
5.カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスに出会ってから購入・利用に至るまでの一連のプロセスです。BtoBマーケティングではカスタマージャーニーを可視化し、ニーズに合わせた施策の展開が欠かせません。
カスタマージャーニーを分析すれば、顧客の行動・タッチポイント・感情の変化などを把握できます。購入前の課題認識の段階から比較検討・購入判断・利用に至るまで、顧客体験を明らかにできる点がメリットです。
また、分析結果に基づき、各ステージに合わせたマーケティング施策を立案できます。たとえば、商品の認知段階ではSEO・コンテンツマーケティングが有効で、検討段階では製品デモ・事例の提示が求められます。
カスタマージャーニーを分析し、分析結果に基づく施策の最適化を繰り返しましょう。シームレスな購買体験を実現でき、結果としてコンバージョン率の向上が見込めます。
6.マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)とはリード獲得から育成、マーケティング・営業の連携までマーケティング活動の自動化を支援するツールの総称です。マーケティングオートメーションツールの主な機能として、ウェブサイト訪問者の行動追跡・メール配信の自動化・リードスコアリングなどがあります。
訪問者の行動履歴に基づき、自動でメール配信されたり、リードスコアが変わったりします。MAツールではリード情報の一元管理が可能で、ワークフロー設定による自動化も柔軟に行える点が特徴です。
MAの導入によるメリットは、リード管理の効率化と人的ミスの防止などがあげられます。人手を介さずに自動的にリード育成が進行し、適切なタイミングで営業に引き渡されるなど生産性が大幅に向上します。
近年のBtoBマーケティングにおいて、MAの活用は不可欠です。リードの発掘からクロージングまで一貫したプロセスを自動化・最適化し、マーケティングの生産性・質を大きく高められるためです。
BtoBマーケティングでよくある質問
BtoBマーケティングを実施していると、さまざまな疑問が浮かんできます。以下では、BtoBマーケティングでよくある3つの質問を紹介します。
- BtoBマーケティングでおすすめのコンサルティング会社はある?
- BtoBマーケティングに活用できるフレーム ワークは何がある?
- BtoBマーケティングでおすすめの本は?
BtoBマーケティングに関して疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
BtoBマーケティングでおすすめのコンサルティング会社はある?
BtoBマーケティングの実務に関するコンサルティングを受けたい場合、大手のマーケティング会社に相談するのがおすすめです。BtoBマーケティングの支援実績が豊富なおすすめのマーケティング会社は、以下があげられます。
会社名 | 特徴 |
株式会社THE MOLTS | 年間500件以上の相談が寄せられ、プロジェクトの継続期間は平均1年。BtoBマーケティングで多数の支援実績がある。 |
株式会社才流 | BtoBマーケティングの戦略立案からインサイドセールス組織の構築まで幅広く支援。 |
イントリックス株式会社 | BtoBマーケティングに特化しており、グローバル向けサイト構築なども支援している。 |
シンフォニーマーケティング株式会社 | BtoBマーケティングで30年以上の支援実績があり、600社以上をサポート。 |
ワンマーケティング株式会社 | 戦略立案のコンサルティングだけでなく、マーケティング施策の十コ支援までワンストップでサポートしてくれる。 |
企業規模・予算・課題に合わせて、最適な会社を選びましょう。
BtoBマーケティングに活用できるフレーム ワークは何がある?
BtoBマーケティングの実務では、以下のようなフレームワークやモデルが活用されています。
フレームワーク名 | 概要 |
4P | 「製品(Product)」「価格(Price)」「プロモーション(Promotion)」「流通経路(Place)」の4要素に分けて、マーケティング施策を立案・実行する。 |
STP分析 | 「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の3ステップの分析で的確な市場と顧客を特定し、製品やブランドのポジショニングを行う。 |
3C分析 | 「自社(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」の3要素から自社を取り巻く市場状況を分析し、マーケティング戦略を立案する。 |
状況に応じて最適なフレームワークを選択し、実践しましょう。
BtoBマーケティングでおすすめの本は?
BtoBマーケティングの基礎知識や実践的なノウハウを学ぶための良書は、以下があげられます。
「事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践」「現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識」に関しては、 BtoBマーケティングの基本的な内容が網羅されています。初めてBtoBマーケティングに取り組む方におすすめです。
一方で、「究極のBtoBマーケティング ABM(アカウントベースドマーケティング)」は、特定の顧客企業へ重点的にアプローチするアカウントベースドマーケティングについて詳しく記載されています。BtoBマーケティングにABMを取り入れたい企業は、読んでおきたい1冊です。
まとめ
BtoBマーケティングは、企業・組織へ製品・サービスを提供する際に欠かせない重要な活動です。一般消費者向けのBtoCマーケティングとは異なり、複数の意思決定者がいる・長い購買プロセスを経る点が特徴です。
よって、ターゲットの課題・ニーズを深く理解し、適切なタイミングと方法で情報を提供するのが不可欠です。優れたコンテンツの作成・デジタルマーケティングツールの活用・営業部門との緊密な連携も欠かせません。
近年では、重要なアカウントに集中的にアプローチするアカウントベースドマーケティング・MAツールを使ったリードナーチャリングの自動化なども広く取り入れられています。コロナ禍によるオンラインシフトの影響もあり、デジタル施策がより重視されるようになりました。
BtoBマーケティングは戦略立案から施策実行、効果測定まで多くの工程が求められる専門性の高い領域です。