マーケティングや営業を行ううえで、「自社の強み」を顧客に打ち出すことは欠かせません。自社と同じ業種で似たような商品・サービスを提供する企業は数多く存在するでしょう。そのため、競合他社との違いを明確にし、ビジネスを優位に行うことが必要です。
しかし、「自社の強み」を明確に把握できているのか疑問に感じている企業も多いのではないでしょうか。事業活動をより効果的に行うためには、全社的に「自社の強み」を理解していることが重要です。
そこで、MEO集客やSEO対策等での数多くの実績をもとに「自社の強み」を把握する必要性や見つけ方について解説。また、「自社の強み」を見つけたあとの活用方法や実際の成功事例についても紹介します。
「自社の強み」の把握はマーケティングに必須
マーケティング活動を実施するうえで、自社のアピールすべきポイントが不明確で悩まれている方も多いのではないでしょうか。その場合、マーケティング施策を実施する前に、自社の内部について分析し、「自社の強み」を把握することがおすすめです。
そこで、まず「そもそも「自社の強み」とは何か」、「なぜ把握することが必要なのか」について解説します。
「自社の強み」とは
「自社の強み」とは、自社の経営資源のうち、他社と差別化された独自性のある特徴のことです。他社と比較して優れている点や他社とは異なっている点であり、簡単に他社に真似されるような部分は自社の強みとはいえません。
競合他社には真似できない独自性のある強みをもつことで、価格競争や過剰なサービス競争に巻き込まれずに、市場における自社のポジションを築けるでしょう。
そのため、自社の強みを把握することは、マーケティング活動などの事業活動を行ううえで非常に重要なテーマとなります。企業の経営資源の分析ができると、どのように自社の商品・サービスを売り出せば良いのかが見えてくるでしょう。
「自社の強み」を知る必要性とは
自社の強みは、事業活動を行ううえで「全社的な共通言語」となります。
自社の強みが明確でない場合、例えば顧客や取引先など社外へ自社の情報を発信する際に、部門ごとに伝えるニュアンスにズレが生まれるかもしれません。
しかし、自社の強みを明確にすることで、マーケティングや営業、製造などの事業に直接携わる部門や広報、人事などのバックオフィスなど、全社的に共通認識をもって業務に取り組むことができるのです。
部門間の不一致がなくなると、スムーズな施策の構築につながり、統一性のある発信ができるでしょう。その結果、消費者や取引先などのステークホルダーに対してギャップのない会社であるとアピールできます。
「自社の強み」を見つけるメリットとは?
「自社の強み」を見つけることで、自社の事業活動に一貫性が出て、業務を円滑に進められるでしょう。それにより、副次的に以下のようなメリットを受けられます。
社員のモチベーションがアップする
自社の強みを社内に共有することで、業務を効率的に行えるようになり、社員のモチベーションアップが見込めます。
なぜなら、業務の方向性が定まり、社員一人一人が迷いなく業務に取り組めるためです。「顧客にどのようにアプローチすべきか」に強みという芯が得られることで、施策の進行に一貫性が得られます。
また、社員同士のコミュニケーションも円滑になることが期待でき、ストレスの軽減につながるでしょう。
採用活動にも有利
自社の強みが明確になることで、求職者に対しても差別化したアピールが可能になります。独自のスキルやノウハウを習得できるなど、自社だからこそ得られる部分をPRすると、集客につながりやすくなるでしょう。
また、社会的に認知度を高められていると、大々的に採用活動を行わなくても自社に対して良好なイメージをもった求職者を集客できるかもしれません。
自社の強みを見つけ、社会に認知してもらえるようなマーケティング活動を実施することで、採用活動を有利に実施できるでしょう。
「自社の強み」の見つけ方5選
それでは、次に「自社の強み」の5つの見つけ方を紹介します。
1.SWOT分析|自社を取り巻く環境から考える
SWOT分析とは、自社の強み・弱みを見つけるために使用される一般的なフレームワークです。SWOT分析では、以下の4つの要素について分析します。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | 強み(Strength) | 弱み(Weakness) |
外部環境 | 機会(Opportunity) | 脅威(Threat) |
Strength:自社の強みは何か
Weakness:自社の弱みは何か
Opportunity:自社のビジネスのチャンスとなる要素は何か
Threat:自社のビジネスに脅威となる要素は何か
自社の内部環境だけでなく、自社を取り巻く環境についても把握することで、戦略や計画の立案に役立ちます。
以下の表は、建築業でSWOT分析を行った場合の一例です。参考にしてみてください。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | 強み(Strength) 豊富な実績 高い技術力 リフォームへの対応力 | 弱み(Weakness) Webからの集客ができていない 社員教育の仕組みができていない |
外部環境 | 機会(Opportunity) リフォーム市場の拡がり テレワークの普及により、一般消費者の家への関心が高まっていること | 脅威(Threat) 人材不足 リフォームに対する新たな事業形態の存在(水回りからリフォームまで包括的に対応できる企業など) |
SWOT分析のポイントは、対象とする顧客属性や競合企業はどこか、どのメンバーが参加するのかなどの前提条件を事前に決めておくことです。SWOT分析では、客観性を保つことが必要であるため、偏った見方にならないように取り組みましょう。
2.3C分析|顧客・競合・自社の3つから考える
3C分析とは、3つのC(Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社))を調査し分析することで、自社の強みを把握するために利用されるフレームワークです。
Customer:市場環境や顧客の動き
Competitor:競合他社の状況や動き
Company:自社の状況や動き
自社の内部環境や市場、競合他社について分析するなかで、自社の強みを明確化することができます。
以下の表は、建築業で3C分析を行った場合の一例です。参考にしてみてください。
Customer (市場・顧客) | Competitor (競合) | Company (自社) | |
建築業の一例 | リフォームやリノベーション市場が拡大 機能性の高い家やデザイン性に優れた家が人気 空き家問題が多発している | 新たな事業形態の企業が出てきている 省エネ対策に強みがある会社 価格に強みがある会社 周辺地域では、都市部に所在地がある会社が多い | 長年の経験と技術力に自信がある コンセプトはお客さまの求める家の実現に寄り添うこと 周辺地域に空き家が多く存在している |
3C分析のポイントは、それぞれの指標について、分析する内容を具体的にピックアップすることです。例えば、競合他社の現状の特徴や業界での立ち位置だけでなく、今後の活動の想定なども行うことで、より掘り下げて分析できるでしょう。
3.VRIO分析|自社の経営資源は何かを知る
VRIO(ブリオ)分析とは、Value(経済的価値)、Rarity(希少性)Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)という4項目を評価することで、競合優位性や経営資源の分析をする際に役立つフレームワークです。
- Value(経済的価値):自社の経営資源は、外部からの脅威(ピンチ)や機会(チャンス)に対して積極的に対応できるかどうか
- Rarity(希少性):自社の経営資源やビジネス形態は、市場において希少性が高いかどうか
- Imitability(模倣可能性):競合他社が、自社と同じ経営資源を獲得する場合、どの程度の費用や時間がかかるか
- Organization(組織):経営資源を最大限に活用できる体制が整っているかどうか
自社の経営資源や事業活動における要素を洗い出したあとに、VRIO分析の項目に対して評価を実施します。
以下の表は、建設業において経営資源の評価をした一例です。
機能 | 分類 | VRIO分析 | ||||
Value | Rarity | Imitability | Organization | 優位性 | ||
工程管理 | 人 | 〇 | ||||
安全管理 | 物 | 〇 | 〇 | |||
品質管理 | 情報 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この一例では、工程管理においては、経済的価値はあるものの、希少性があるとはいえないため、模倣可能性や組織といった項目を検討することはできません。品質管理のみ優位性が保っているということになるため、自社の強みは品質管理といえます。
VRIO分析のポイントは、それぞれの業務や機能を客観的に評価するために、計測可能な指標を設けることです。
4.既存顧客の声を聞く
既存顧客が、「なぜ自社の商品・サービスを選んだのか」を直接ヒアリングし、分析することで、強みを把握する方法です。
顧客から見た自社の評価やイメージをより正確に知ることができるため、商品・サービス購入後に、どのようにヒアリングするかというルールを作成し、仕組みを構築しておくことがおすすめです。
例えば、建築業であれば建築後やリフォーム後のアフターフォロー時にアンケートを依頼し、アンケート用紙やフォーマットなどを用意しておき、集計システムを導入するといった具合です。
既存顧客の声を聞くポイントは、「具体的であること」と「競合他社と比較して何が決め手となったのか」がわかるように質問することです。
5.競合他社と比較する
競合他社と比較することで、自社の強みがどこにあるのかを分析する方法です。より正確に行うためには、調査会社を利用してアンケートを実施するのもおすすめです。
競合他社と比較するには、競合他社をどのように選出するかが大切といえるでしょう。例えば、建築業であれば大手企業よりも周辺地域に存在している企業の方が競合他社になる可能性があります。似たサービスを提供しているという以外の要素についても、何をもって競合他社とするかを決めておくことが必要です。
また、アンケートを実施するポイントは、定量的に計測できる質問かつ、競合他社と比較して何が決め手だったのかを明確に選択できる質問にすることです。ただし、認知度が低い場合にはアンケートをしても期待した答えを得られない場合があることに注意してください。
「自社の強み」を活かす方法3つ
「自社の強み」を見つけられたら、それを事業活動に活かすことが必要です。そのためには、自社内に共有し、活用していくことが欠かせません。ここでは、自社の強みを活かす3つの方法を紹介します。
1.営業・マーケティング
売上の向上のために、自社の強みを消費者に伝える施策を実施できます。市場にはありとあらゆる商品・サービスがあるため、単純に商品・サービスの概要や機能を紹介しても、消費者の心に響かない可能性があります。
そこで、自社の強みを優先的に伝えると、「何が他社と異なり、優れているのか」が一目でわかるため、インパクトがあり、消費者の印象に残るでしょう。
LPや広告、SNS、ECサイトなどさまざまな媒体で自社の強みをアピールすると、ブランディングにもつながります。「〇〇といえば自社」というイメージを社会に浸透させられるようになると、マーケティング施策をさらに効果的に行えるでしょう。
業界ごとのマーケティング戦略についてまとめていますので、以下の記事もあわせてご覧ください。
2.Web集客・SNS運用
自社にしかできない企画を行い、独自性のあるWeb集客やSNS運用を行いましょう。Web集客やSNS運用においては、注目され、シェアしたいと思ってもらえる内容にすることが大切です。
例えば、木材に強みがある建設業の場合、木材の良さを活かした施工事例などを投稿していくことで、お客さまのニーズとマッチし、集客につながる可能性があるでしょう。
Web集客やSNS運用についてまとめていますので、以下の記事もあわせてご覧ください。
3.ブランディング
他社との差別化された点である自社の強みは、ブランディングするうえで欠かせない要素です。自社ブランドの魅力になるため、ファンの育成につながります。ブランディングができれば価格競争に巻き込まれずに済むため、取り組みたい活動といえるでしょう。
ブランディングに自社の強みを活用するためには、Webマーケティン施策で露出していくことが必要です。その際、ただ「〇〇が強み」と強調するだけでなく、なぜそれが強みとなったのかといった背景や社員の志などの自社特有のブランドストーリーを作成しましょう。
このように、自社の強みにプラスしてブランド価値を高める工夫をすることで、ブランディングにも活用できるのです。
ブランディングについてまとめていますので、以下の記事もあわせてご覧ください。
「自社の強み」を伝えられている成功事例3選
最後に、「自社の強み」を伝えることで、集客につながっている成功事例を3つ紹介します。
1.スターバックスコーヒー
出典:スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーは、他のコーヒーチェーンが取っている低価格・高回転率の庶民的なコーヒーショップとは一線を画す「おしゃれ」「居心地が良い」「コーヒーがおいしい」というコンセプトにして、他社との差別化を図りました。
具体的には、コーヒーの香りを楽しめるように全席禁煙にする工夫やバリスタの配置、ドリンクをカスタマイズできるようにした点が挙げられます。
喫茶店ではなく、特別感あるカフェとしての空間を提供し、多くの人の支持を獲得することに成功しました。
2.今治タオル
出典:今治タオル
今治タオルは、海外製の安い輸入タオルと一線を画すジャパン・クオリティを掲げる高品質なタオルを製造して差別化を図っています。
ブランドマークとロゴを構築し、認定基準を設けることで、一目で今治タオルだと消費者にわかるようにしました。また、タオルソムリエという認定資格を設けることで、タオルアドバイザーとして今治タオルを広める取り組みを実施。
こうした地道な取り組みを継続したことで、今では日本において多くのファンを獲得しているブランドになったのです。
3.ダイソン
出典:ダイソン
ダイソンは、紙パックによる掃除機が主流だったなか、「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」というキャッチコピーとともにデュアルサイクロン式の掃除機を打ち出し、他社との差別化を図りました。
さらに、その技術を活かして、羽根のない扇風機やドライヤーなどを開発するなど、ブランディングを強化しています。
こうした機能性の高さは、技術力の高さというイメージにつながるため、ダイソン独自の一貫した商品戦略を可能にしています。
まとめ
この記事では、自社の強みを把握する必要性や見つけ方について解説。また、自社の強みを見つけたあとの活用方法や実際の成功事例も紹介しました。
自社の強みを見つけ、事業活動に活かしていくことは、商品やサービスが飽和している現代において欠かせない要素です。フレームワークやアンケートを実施し、競合他社との差別化を図り、市場における自社の優位性を確保しましょう。
しかし、これから自社の強みについて検討していく企業のなかには、不安があるかもしれません。そうした場合には、マーケティングのプロに集客について相談してみるのも一つの手といえます。