近年、Instagram(インスタグラム)を始める工務店が増えてきました。
ほかのSNSと比べても写真の要素が大きく、風景や料理などきれいな写真が見られやすいInstagramは、実は工務店の施工事例や内装などをアピールする媒体として、相性が良いのです。しかし年々進化し多機能化していくSNSに、「今さらインスタグラムなんて…」と思われている工務店の経営者・担当者の方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、
「Instagramを始めたいけど、どうすればいいかわからない」
「どんな投稿をすればフォロワーを増やせる?」
という工務店のために、インスタの始め方を5ステップでわかりやすく解説。フィード、ストーリーズ、ハイライトなどの機能を紹介し、工務店のインスタの使い方を運用のプロが一からお教えするので、すぐに始められます。
インスタ集客を成功させている、工務店の人気アカウントも3社ご紹介しますので参考にしてください。
工務店がインスタ集客をするメリットとは?
Instagram(インスタグラム)は個人間のコミュニケーションだけでなく、企業のマーケティングツールとして認知獲得やブランディング、集客や購買につなげるために役立っています。
写真中心のコンテンツを発信するInstagramは、工務店が自社の魅力を伝えるのに最適だといえます。無料でアカウントを開設できるインスタ集客は、工務店にとってやらない理由はないと言っても過言ではありません。
ここでは工務店とインスタ集客の相性が良いといわれる理由について深掘りしてみたいと思います。
1.写真で魅力を伝えられる
FacebookやTwitterといったSNSのなかでも、Instagramは「写真投稿がメイン」。
したがって、「建物」というわかりやすい商品がある工務店は、写真で魅力を伝えるInstagramに適しています。なぜなら、視覚的に“自社の強み・得意分野”をユーザーに訴求できるため。
スマートフォンが普及した現代では、ほしい情報があるときに検索エンジンの代わりとしてInstagramを用いる人も増えています。たとえば、「自身の家が欲しい」と考えているユーザーの行動としては次のようなものが挙げられます。
自身のライフスタイルに合った家づくりをしている工務店アカウントを探し、フォローして継続的・日常的にコンテンツをチェック
共感できるコンセプト(#小上がり #ロフト など)を検索し、投稿をチェック
このように「こんな家を建てたい」「こんな間取りにしたい」というユーザーの目に留まることができれば、自社のファンになってもらい、お問い合わせや成約へとつなげられるでしょう。
2.広告ツールとして最適
“Instagram=写真を投稿するだけ”のイメージを持つ方も多いと思いますが、機能面が大幅にアップデートされたことで、さらに情報拡散力が高くなっています。
従来は「ハッシュタグを使用し、情報検索をする」といった流れで、タグ付けされた投稿のみが検索結果に表示される仕組みでした。
#住宅展示場
#工務店
#インテリア
しかし、2020年には次のような機能が追加され、さまざまな業界で話題となりました。
リール:ショート動画を共有
ガイド:まとめ記事(複数写真+文章)のようなコンテンツを発信
ショップ:Instagram上で商品売買をする
加えて、2021年には「キーワード検索」も可となり、タグ付けされていない投稿に関しても、検索結果に表示されるようになりました。そのため、これまでに情報が行き届かなかった層にも“自社のメッセージ・アピールポイント”が伝わるでしょう。
また、アカウントのプロフィール欄にはURLが登録でき、自社のホームページへ誘導ができるため、Instagramを入り口として集客し、最終的にはホームページからお問い合わせ・成約につなげることも可能。まさに「広告」としての役割を担っているといえるでしょう。
3.「工務店のターゲット」と「インスタのユーザー層」が一致している
Instagramのアクティブユーザー数は、2019年6月時点で「3,300万人」となっています。現在は“日本国内の4人に1人がInstagramユーザー”といわれており、さまざまなSNSのなかでも非常に利用している人が多くなりました。
利用者の割合:男性 43%/女性 57%
ハッシュタグ検索の利用率:2020年10月時点で「グローバル平均の5倍」に
企業からの投稿を見ている割合:42%
上記は一例ですが、このようなデータも公表されています。
このように、「興味・関心がある情報を集める」「サービス内容や口コミチェック」などの目的でInstagramを活用するユーザーが増えてきた影響もあり、以前よりも情報拡散力が高くなっているそうです。
注文住宅は地域性や費用だけではなく、“個人の好み・コンセプトの比重”も成約を決断する重大な要素になります。したがって、工務店の集客でInstagramを取り入れれば、成果につながっていくケースが多いのです。
また、SNSがさらに浸透している背景もあり、Instagramのアクティブユーザーは今後も増えていく見込みです。他社に遅れを取らないためにも、「成約率UPを目指したい」と考える工務店の方はぜひInstagramの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
工務店が使うべきインスタの機能3つ
前述したように、Instagramには多くの機能が搭載されています。
その中でも工務店がマーケティングで使うべき機能について、プロの視点からご紹介していきます。
この3つさえ使いこなせれば、インスタ集客が可能だといえるでしょう。
フィード
フィードはInstagramのトップ画面のことで、通常の投稿がここに表示されます。
ユーザーがフォローしているアカウントのほか、ユーザーが検索したことのあるキーワードから関連のある投稿がおすすめとして表示されることも。広告もこのエリアに表示されます。
ホームページでいうところのトップ画面は、ユーザーにとって必ず目に入る画面になるため、まずは通常の投稿をユーザーに見てもらうことが基本といえるでしょう。
ただフィードは流動的なものですので、古い投稿ほど下に流れていってしまう仕組み。多くの人に見てもらうためには、
- 定期的に投稿すること
- 通勤時間や昼休みなど、ターゲットがよくInstagramを利用していると思われる時間帯を狙う
などが良いでしょう。
ストーリーズ
Instagramは写真投稿しかできないと思っている方も多いかもしれませんが、ストーリーズはインスタ運用には欠かせないため、覚えておきましょう。「フィードの投稿よりも、ストーリーのほうがよくチェックしている」というユーザーもいるほど。
正式には「ストーリーズ」と言いますが、一般的には「ストーリー」と呼ばれることが多いこの機能。
先ほど紹介したInstagramのホーム画面(フィードエリア)のさらに上に、丸いアイコンが並んでいるのがわかると思います。このアイコンをタップすると、ショートムービーが再生されます。
引用:https://about.facebook.com/ja/technologies/instagram/
ストーリーズの最大の特徴は、ストーリー形式で投稿したムービーは24時間で消去されるという点。
この期間限定感が価値を高め、チェックする人が多くなるといえるでしょう。フィード画面のように古い投稿を遡ってスクロールする必要がないため、目立てる点もメリット。
つまり、「24時間タダで出せるInstagram広告」と考えると良いでしょう。
また、通常投稿にはない、次のような便利機能があります。
- 足あと
- 公開範囲指定
丸いアイコンをタップしてストーリーズを視聴することによって、閲覧履歴が足あととして残るため、企業側では誰が見てくれたのかを把握することができます。また、公開する範囲を指定できるため、会員限定イベントの告知などにも使えるでしょう。
ハイライト
前述したストーリーズは24時間で消えてしまいますが、ハイライトとして保存することも可能。
ハイライトはプロフィールに表示され、アルバムのように名前を付けることができるため、自社に興味をもってくれた方にいつでも見てもらえます。
例えば、次のような使い方ができます。
- モデルルーム内をぐるっと見回すような動画
- 求人に興味を持った方に見ていただくためのメッセージ
- 住宅に関する豆知識
- 営業時間の案内、コロナ対策の案内
工務店のインスタの始め方5ステップ
ここからは、これからInstagramを始めるという工務店の方向けに、始め方を5ステップで解説します。
1.プロアカウントに切り替える
Instagramのアカウントは無料で作成可能です。
手順にしたがい、作成したあとはプロアカウントに切り替えましょう。
プロアカウントとはビジネス向けの無料公式アカウントとなり、次のような機能があります。
- プロフィール欄にURLの登録ができる
- 広告配信
- アクセス解析などのインサイト機能
2.プロフィールを入力する
自社アカウントのプロフィール欄には、次のような情報を記載しましょう。
- どのような特徴のある工務店か
- どの地域で施工可能か
- アカウントではどのような発信をしていくのか
- ホームページのURL
たとえばこのようになります。
大阪市で、無垢材を使った自然派住宅を建てる工務店。
過去の施工事例やみなさんの役に立つ住宅の豆知識などを発信していきます。
https://aaabbbccc.com/
3.ハッシュタグをつけて投稿する
実際に投稿する際には、ハッシュタグをつけましょう。
なぜなら、多くのユーザーはInstagram上で情報を探す際には、ハッシュタグを利用して検索しています。つまり、Instagramでユーザーに自社の投稿を見てもらうためには、ハッシュタグが必要不可欠といえます。
ハッシュタグの付け方は、同じような投稿を参考にすると良いです。「#工務店 #設計事務所」といった検索数の多いビッグキーワードは、利用されている数も多いため、そのなかから自社の投稿を見つけてもらうのは難しいです。一方で「#スキップフロア #○○のある暮らし」といったスモールキーワードは、使われている数が少ないため、すぐに自社の投稿を見つけてもらいやすいというメリットがあります。
したがって、ビッグキーワードとスモールキーワード、両方を組み合わせて活用するのがおすすめです。
4.フォロワーを増やす
ハッシュタグ検索で投稿を見てもらえたとしても、そこからすぐにお問い合わせにつなげるのは至難の業。
お問い合わせや資料請求といったアクションを起こしてもらうためには、長期的にコミュニケーションを取って見込み顧客にまで育てていく必要があります。
なぜなら注文住宅は、グルメや消耗品といった単価の低い商品とは違い、お客さまは時間をかけてじっくりと検討するもの。焦らず、投稿数を増やしていくことが重要です。
ユーザーのニーズに合う投稿が増えれば、フォロワーも増えていくでしょう。
5.PDCAを回す
インスタ運用では分析が重要。
インサイトを確認し、投稿が表示された回数やプロフィール閲覧数、フォローしてくれたユーザーがどこから来たのかなどをみていきます。
投稿しっぱなしではなく分析→改善をくり返すことで、ユーザーのニーズや傾向がつかめてくるでしょう。
工務店のInstagram集客を成功させるポイント3つ
Instagramを開始するだけであれば簡単ですが、
「お知らせを投稿するだけ」
「施工事例を淡々とアップするだけ」
といった、決まった作業だけを行っている企業アカウントも目立ちます。
そこで、工務店のInstagram集客を成功させるために必要な3つのポイントを解説します。
1.施工事例カタログにする
工務店選びでもっとも注目されるのが”施工事例”です。Instagramを見ることで、まるで実際に自社のモデルハウスを訪れたかのような体験ができるのが理想。
したがって、
撮影アングル・照明など、さまざまな撮影テクニックを駆使する
「木の温かみ」や「収納」といったその家ならではの魅力がわかるような写真を選ぶ
といったように、「ユーザーが関心を寄せる写真」にこだわりましょう。
また、写真を掲載する際には
「どのような家を求めているのか」
「誰と暮らしたいのか」
という、自社が獲得したい層のニーズを探ることが重要です。また、投稿時のタグ付けや投稿時間の管理など、ユーザーの目に留まるよう配慮すると、より閲覧数が増える可能性も。
見込み客の多くは会社の施工事例を見て、「他社との違い」「こだわりや特徴」を比較検討します。他社と差がつくインスタアカウントを目指しましょう。
2.目的・ターゲットを明確にして、質の高いフォロワーを集める
インスタ運用はお知らせや施工事例を投稿するだけで良い、というわけではありません。
なぜなら数多くある工務店のアカウントと似たような投稿ばかりになってしまい、ユーザーのリアクションを得られないためです。また、単調な作業になってしまい、運用担当者のモチベーションも上がらないでしょう。
ユーザーからの反応を得るためには、ユーザーの役に立つコンテンツを発信していくことが大切です。
そのためには「なぜInstagramをやるのか」「誰に見てもらいたいのか」を明確にしましょう。ターゲット・目的が明確になれば、Instagramの運用方針が自ずと決まってきます。
自社の目的とマッチした公式アカウントができれば、自社に共感するユーザーだけが集まり、質の高いフォロワーが増えていくでしょう。
ここで、2種類の工務店アカウントの例を解説します。
【知識系】
「失敗しない工務店の選び方」
「収納スペース活用法6選」
知識系は“文字入れ加工した写真を活用し、専門知識をメインに投稿する”ことで、自社の魅力を発信している点が特徴です。
参考:中内工務店
このように、テキストをうまく活用した事例が多いです。「詳しく読んでみようかな…」と思わせるキャッチ―なコピーと写真で、ユーザーの興味を引く工夫を施しています。
知識系の工務店アカウントは、ただ施工事例を見るよりも、内容をさらにわかりやすく理解できます。そのため家を探しているユーザーの悩みを解決することになり、そのままお問い合わせや依頼へとつながることが期待できます。
【コンセプト系】
自社の会社のコンセプトに沿っている写真
デザインや雰囲気が統一されている写真
コンセプト系は個性が引き立つ写真を投稿することで、視覚的に自社のこだわりを伝えている点が特徴です。
参考:永森建設
コンセプト系の工務店アカウントは、「自然素材の家を建てる工務店」など、コンセプトのはっきりしている工務店向きです。
「自身の希望する条件が決まっている」「すでにイメージが固まっている」など、家を建てるにあたっての要望・目的がはっきりしているユーザーに刺さるインスタといえるでしょう。
3.投稿は統一する
ターゲット・目的が明確になり、Instagram運用の方針が決まったら、そこからぶれないようにしましょう。
ユーザーが自社のプロフィールを開いたときに、投稿の方向性がバラバラでは、良い印象を持たれません。
また、常に統一された世界観や雰囲気の投稿を続けていければ、ブランディング効果になります。ぶれない投稿からは信頼性を与えることができ、ファンも増えるでしょう。
参考にしたい工務店のインスタグラム事例3選
最後に、参考にしたい工務店のInstagram事例3選をまとめました。
1.一条工務店
出典:一条工務店
高い住宅性能を強みに、質の高い暮らしを提案する「一条工務店」のInstagramです。
建物だけではなく日常生活の様子が写った写真
「#みてみて一条」のハッシュタグを活用
施工事例だけでなく、キャンペーン告知なども盛ん
「一条工務店」のInstagramには、料理やテレワークなどの日常生活の様子、家と家族の姿を映した写真などが多く掲載されており、建物だけではなく人も写すことで実際に家を建てた後の生活がイメージしやすくなっています。
また、施主や、その家族が投稿する際に「#みてみて一条」のハッシュタグを付けることで、お客さまの声を反映させることにつながるという取り組みも。そのほか、タグ付けして画像を投稿されたものから、“同店の公式DMの誌面に掲載&QUOカード2,000円分をプレゼントがもらえる”といった内容を打ち出した、「みてみて一条週間」という企画も開催されています。
Instagram上で大々的にキャンペーンを展開する工務店は、現時点ではそこまで多くありません。差別化やブランディングにつながっており、集客には効果的です。
2.河野ひかり/コラボハウス一級建築士事務所
愛媛県で家づくりをサポートしている「河野ひかり/コラボハウス一級建築士事務所」のInstagramです。
知識系の工務店アカウントに分類
施工事例の解説+画像に注釈を入れた画像がメイン
文字色やフォントが揃っており、アカウント全体に統一感が出ている
施工事例を解説しながらも、画像に注釈を入れている点が魅力。手書きフォントのテキストを効果的に取り入れることで、個性をしっかりとアピールできています。
「思わず手を止めて見たくなる画像」「ほかの情報も欲しくなる…」と、ユーザーの関心を引く画像が多数掲載されているため、つい見入ってしまうケースも多いかもしれません。また、文字色やフォントが揃えられている点も見逃せません全体的に統一感が出ているため、誰が見ても「見やすい」「読みやすい」と感じる設計となっています。非常にユーザビリティも高いデザインです。
3.アトリエデフ
出典:アトリエデフ
長野県を拠点に“自然素材の家を建てる工務店”として知名度を上げている、「アトリエデフ」のInstagramです。
会社のブランドやコンセプトを、写真で明確に表現
視覚的に「どのような会社なのか」が伝わる画像がメイン
見ているだけで心地良さを感じる配色もポイント
アトリエデフの理念である「木と土でつくる自然素材」「ていねいな暮らし」を、施工実績だけではなく、自然の風景を使ってInstagramで表現。
そのため、「どのような特徴を持つ会社なのか」「完成する家はどのようなイメージなのか」といった、成約に大きく左右する要素をユーザーへ瞬間的に伝えられます。
また、アトリエデフが提案する“温もり・ナチュラル”といった雰囲気が伝わる、写真の配色にも注目です。画面をスクロールするたびに、「優しく心地良い」「もっと読んでみたい」と感じる工夫が取り入れられています。会社が持つコンセプトにマッチしており、全体的にすっきりと整っている印象です。
まとめ
Instagramは、SNSのなかでも特に工務店に向いています。写真共有をはじめ、動画やテキストによるコミュニケーションも可能です。
人との接触を避けるコロナ禍では、相談会(イベント)やモデルハウス見学などオフラインでの集客方法が難しくなった昨今。他社と差別化を図る新たな方法として、Instagramをぜひ導入してみてはいかがでしょうか。