近年、Webマーケティングを実施する企業が増加しており、認知度の高まりから一般的な集客手法となっています。しかし、Webサイトを作成したあとに、運営方針が定まらないケースは少なくありません。
Webマーケティングを成功させるには、アクセス解析ツールの導入は必須です。アクセス解析で得たデータをもとに改善を繰り返すと、大きな成果へつながります。アクセス解析によって、ユーザー数やセッション数、PV数、CV数などがわかります。しかし、どこまでわかるのかをきちんと理解していないと、データの効果的な使用は難しいでしょう。
本記事では、アクセス解析ツールの導入でどこまでわかるのか、得たデータをどのように活用するのかについて解説しています。Webからの集客を拡大したい経営者やマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
アクセス解析でどこまでわかる?主な8項目を解説
アクセス解析を行うと、さまざまな情報を入手できます。得られる情報はアクセス解析ツールにより異なりますが、主な項目は以下のとおりです。
- ユーザー数
- セッション数
- ページビュー(PV)数
- コンバージョン(CV)数
- ユーザー属性
- ユーザーの行動
- ユーザーの流入経路
- 検索キーワード
上記についてしっかりと把握して、目標達成に向けて対策を練りましょう。
1.ユーザー数
アクセス解析の導入で、サイトを訪れたユーザー数がわかります。ユーザー数とは、サイトを訪問した人数で、回数ではありません。
たとえば、1人のユーザーが何度も同じサイトを訪れてもユーザー数は1です。ただし、パソコンとスマートフォンなど、異なるデバイスでアクセスした場合はそれぞれ1としてカウントされ、合計2になります。
2.セッション数
セッション数とは、サイトの訪問から離脱までを1とする数値です。たとえば、ユーザーがサイト内の3ページを閲覧した場合のセッション数は1です。
セッション数は、サイトにアクセスしてから30分以内に何らかの行動を起こせば、1セッションとみなされます。また、30分以上何もせずに経過した場合や、日付が変わったとき、流入経路が変わったときもセッションが終了し、新たなセッションが始まります。
3.ページビュー(PV)数
ユーザー数がサイトを訪問した人数であるのに対し、ページビュー(PV)数はサイトが閲覧された回数です。たとえば、1人のユーザーが3回サイトを訪問してもユーザー数は1ですが、ページビュー数は3になります。
すべてのページで計測可能なページビュー数は、閲覧状況の確認に役立ちます。特定ページのPV数が少ない場合は、流入経路や内容などの見直しが必要です。
4.コンバージョン(CV)数
Webサイト運営の目的であるコンバージョン(CV)数も、アクセス解析の導入で把握できます。コンバージョンとは「Webサイトの最終目標」を指します。コンバージョンの内容は、物品の販売や資料の申し込みなど、サイトによりさまざまです。
また、CV数をセッション数で割ったものを「CVR(コンバージョン・レート)」とよびます。CVRは訪問者をCVに導く確率を表す、マーケティングにおいて重要な指標です。
5.ユーザー属性
ユーザー属性とは、訪問者の詳細な情報です。アクセス解析で得られるユーザー情報は、主に以下のとおりです。
- 性別
- 年齢
- 言語
- 興味や関心
- アクセスした国・地域
- アクセスに使用したデバイス
ユーザー属性が判明すると、どのような人に向けてコンテンツを作成すれば良いのか、基準がはっきりするメリットがあります。
6.ユーザーの行動
サイトを訪れたユーザーがどのような行動をとったのか、アクセス解析ツールの導入で確認可能です。
アクセス解析でわかるユーザー行動は、ツールにより項目は異なりますが、主に以下の内容が把握できます。
- サイトの滞在時間
- ユーザーの離脱が多いページ
- ページ内でよく見られている場所
ユーザー行動の分析により、サイト改善に役立てられます。
7.ユーザーの流入経路
どのような経路をたどって自社サイトを訪れたのか、アクセス解析により把握可能です。
サイト訪問者は直接URLを入力するケースは少なく、ほかのサイトのリンクからアクセスが一般的です。たとえば、GoogleやYahoo!JAPANなどの検索エンジンや、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS経由など、さまざまなルートで訪れます。
8.検索キーワード
ユーザーが検索エンジンから流入した場合、どのようなキーワードでたどり着いたのか、アクセス解析により把握可能です。
近年、検索エンジンからの流入は増加しているため、SEO(検索エンジン最適化)対策はWebマーケティングにおいて必須項目です。意図したキーワードからの集客数や、無意識のうちにユーザーを集めているキーワードなどの把握で、今後のSEO対策を立てやすくなります。
アクセス解析で得たデータの活用例3選
Webマーケティングでは、アクセス解析で得たデータを有効活用して、CVにつなげることが重要です。アクセス解析で入手したデータの活用例は、以下のとおりです。
- 直帰率の高さからトップページを改善
- 滞在時間を分析し人気ページを把握
- 狙ったキーワードでの流入が少ないためSEO対策を強化
ユーザーのデータはサイト運営において貴重な財産になるので、根気よく計測を続けてください。
活用例1.直帰率の高さからトップページを改善
トップページの直帰率が高い場合は、ほかのページへ誘導できていないため、早急な改善が必要です。
直帰率とは、ユーザーが特定の行動を起こさずに離脱した割合で、具体的には以下の行動すべてが当てはまる場合に直帰とみなされます。
- サイトにアクセスしてから10秒以内に離脱した
- CVが発生していない
- 2ページ以上閲覧していない
ページビュー数が多いにもかかわらず直帰率が高い場合は特に、サイトデザインや目的ページへの誘導方法などに問題があるケースが多く見受けられます。
活用例2.滞在時間を分析し人気ページを把握
アクセス解析でユーザー行動を分析すると、サイト改善に効果的です。ユーザーは興味がある情報ほど熱心に読むため、自然と滞在時間は長くなります。また、ヒートマップを活用すると、ページのどの部分が重点的に読まれているのか判断可能です。
一方、一定のページビュー数がありながら滞在時間が短い場合は、記事の内容が不十分なケースが考えられるため、早急な改善が必要です。逆に、滞在時間が長いページは、CTA(CVのためのボタンやリンク)を増設するとより多くのCVが見込めます。
活用例3.狙ったキーワードでの流入が少ないためSEO対策を強化
アクセス解析を行った結果、狙っていたキーワードでの流入が少ない場合は、サイト改善の余地があります。検索結果からの自然流入は、Webマーケティングにおいて重要です。しかし、流入が想定していたよりも少ない場合は、検索結果で上位表示されていないケースが多く見受けられます。
検索エンジンからの流入を増やすには、SEO対策が不可欠です。SEOとは、検索エンジン最適化のことで、サイトを上位表示させるための施策を指します。
アクセス解析を使用する際の3つの注意点
アクセス解析をWebマーケティングに活用するには、注意すべき項目がいくつかあります。
- 具体的な数値目標を設定する必要がある
- 継続的な計測と改善が求められる
- 正確なデータを得られないと誤った解析が行われる
アクセス解析でどこまでわかるか理解したあとは、注意点を把握しましょう。
1.具体的な数値目標を設定する必要がある
アクセス解析を利用して自社商品の販売を増やしたい場合は、具体的な目標設定が重要です。Webを通じて商品販売を行う企業は、多数存在します。しかし「より多くの商品を販売したい」というだけでは、アクセス解析を利用する意味がありません。目標の売上金額はいくらなのか、前年比でどの程度増加させたいのかなど、具体的な数値化が重要です。
また、目標達成にはKPIの設定が重要です。KPIとはKey Performance Indicatorの略で、目標を達成するための中間目標になります。たとえば、前年より10%アップを売上目標とした場合、達成に必要なページビュー数やCV率などがKPIです。
2.継続的な計測と改善が求められる
アクセス解析によるWebマーケティングの改善は、数回行うだけではなく、計測と改善の繰り返しで効果を実感できます。Webマーケティングは「PDCA」を回し続けることが重要です。PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(実行)・Action(改善)の順に作業を進める手法です。事前に計画を行い、実行後に結果を評価して、改善につなげます。
アクセス解析では、評価と改善が可能です。計画・実行した成果をアクセス解析で評価し、改善につなげます。
3.正確なデータを得られないと誤った解析が行われる
アクセス解析では、正確なデータの取得が重要です。正確なデータを得られないと誤った解析が行われ、サイト改善につながらない可能性があります。
よくあるミスの一つが、データの二重計測です。これは設定ミスにより、ユーザー1人のアクセスが2回カウントされてしまう状態を指します。二重計測が発生すると、PV数やセッション数などが大幅に増えてしまい、正確な改善ができなくなってしまいます。
アクセス解析ツールを選ぶ3つのポイント
アクセス解析ツールは、すべて同じではありません。さまざまな種類があるアクセス解析ツールは、ポイントを押さえた選択が重要です。
- 目的に合った機能が搭載されているか
- 操作や画面表示はわかりやすいか
- 費用は発生するか
選択ポイントをしっかり押さえて、自社に合ったツールを利用しましょう。
1.目的に合った機能が搭載されているか
アクセス解析ツールを導入する目的の明確化は、適切なツールを選ぶうえで重要です。さまざまな種類が存在するアクセス解析ツールですが、どこまでわかるかはツールにより異なります。
たとえば、Webマーケティングを始める企業は、初心者でもわかりやすくオーソドックスな機能を備えているツールが適しています。一方、深くユーザー行動を分析したい場合は、ヒートマップやペルソナなどを分析できるツールが向いているでしょう。
2.操作や画面表示はわかりやすいか
アクセス解析ツールの操作方法や画面表示は、Webマーケティングを続けるうえで重要です。アクセス解析ではさまざまな指標や用語が使用されるため、初心者では理解がむずかしいケースが少なくありません。また、操作方法が複雑すぎると、サイトの分析以前に継続が困難になってしまいます。
3.費用は発生するか
アクセス解析ツールを選ぶ際は、料金の有無も重要な要素です。一般的には有料のツールの方が高機能である場合が多いですが、使いこなせなければ意味がありません。
初めてアクセス解析を行う企業であれば特に、無料のツールで体験してからグレードアップの検討をおすすめします。無料のアクセス解析ツールでも豊富な機能を備えているため、Webマーケティングに生かすには十分なケースが多いためです。
アクセス解析を初めて行う企業におすすめのツール
今後、アクセス解析の導入を検討している企業は、以下2種類のツールがおすすめです。
- Googleアナリティクス
- Googleサーチコンソール
Googleが提供している2種類のアクセス解析ツールについて説明します。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Googleが提供する代表的なアクセス解析ツールです。無料で利用でき、PV数やユーザー属性、流入経路などアクセス解析で求められる基本的なデータが取得できます。
Googleアナリティクスは利用者が多いため、インターネット上に多数の情報があります。よって、操作や設定に迷っても容易に解決方法を見つけられるのもメリットといえるでしょう。
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールも、Googleが提供しているアクセス解析ツールで、無料で利用できます。Googleアナリティクスがユーザーの流入数や行動を把握するツールであるのに対し、Googleサーチコンソールは「どのようなワードで検索して流入したのか」がわかるツールです。
また、サイト内でGoogleにインデックス(登録)されていないページはないか、スマートフォンでの表示に問題がないかなど、サイトの欠陥を発見できるツールでもあります。
アクセス解析でどこまでわかるか理解してWebマーケティングを成功に導こう
「アクセス解析でどこまでわかるの?」と疑問をお持ちの企業の担当者に向けて、データの活用方法を詳しく解説しました。
アクセス解析を導入すると、主に以下の8つの項目がわかります。
- ユーザー数
- セッション数
- ページビュー(PV)数
- コンバージョン(CV)数
- ユーザー属性
- ユーザーの行動
- ユーザーの流入経路
- 検索キーワード
Webマーケティングを成功させるには、PDCAを回し続けることが重要です。ただし、アクセス解析を行う際には注意点もあります。
- 具体的な数値目標を設定する必要がある
- 継続的な計測と改善が求められる
- 正確なデータを得られないと誤った解析が行われる
注意点をしっかりと把握したうえで、アクセス解析で得たデータを評価して改善を重ね、新たな計画と実行を繰り返しましょう。