利益率が低い解体業の特徴とは?平均20%まで高める戦略4つを解説

利益率が低い解体業の特徴とは?平均20%まで高める戦略4つを解説
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コロナ禍のように仕事が受注できない状況が続くと、

「なんとか利益を増やさないと、倒産してしまう」「売上はあるけど、利益が少なくて困っている」

など、企業の利益やキャッシュについて考える機会が増えると思います。

解体業では平均利益率が20%前後となるものの、なかには赤字で仕事をこなしている企業も少なくはありません。また売上が伸びている場合でも利益が少なければ黒字倒産する可能性もあるため、将来に不安を感じている経営者の方も多いでしょう。

そこで本記事では、利益率が低くなってしまう解体業者の特徴をピックアップし、利益を増やす戦略や現状からの改善方法を4STEPにまとめてみました。

目次

解体業の利益率とは?   

解体業の利益率とは?   

そもそも利益率とは、売上に対する利益の比率のこと。
企業の経営状況や業績を考える際に重要な指標となります。「利益」にはいくつかの種類がありますが、一般的には「粗利益」が該当します。

粗利益

  • 売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」
  • 計算式は、(売上高 − 原価)÷ 売上高 × 100%

では、解体業の利益率について、以下の2点から解説していきます。

  • 平均の利益率は20%前後
  • 利益率を重視すべき理由

平均の利益率は20%前後

解体業での利益率は10%〜30%が多く、平均利益率は20%前後になります。

例えば解体費用(売上高)が300万円、原価が240万円の場合は以下の計算式です。

  • (300万円 − 240万円)÷ 300万円 × 100%=20%

つまり300万円の解体工事を行った場合、解体業者が得る利益は60万円になります。
建設業全体での利益率は20%前後となるため、業界目線でも解体業の利益率は平均的といえるでしょう。

また利益率が低い企業ほど「利益をお客さまに還元している企業」という良いイメージを持ちやすいですが、かならずしも当てはまるわけではありません。なぜなら利益率が低い企業ではむしろ売上高は高いのに、「作業工程でむだが発生しているため経費が高い」などの問題点が見つかることも多いため。

一方で自社努力によって低価格の工事費用を維持しながら利益率が30%以上を実現している解体業者も存在します。したがって利益率だけではなく、提供サービスの質と金額設定のバランスが重要です。

利益率を重視すべき理由

利益率を重視すべき理由は、企業の収益性を客観的に判断するためです。

多くの企業にとって「売上額」というのは重要な判断材料となりますが、企業の存続や成長を考えるうえでは「利益率が高く粗利の出ている経営」でなければいけません。

なぜなら売上が高くても「利益率が低く粗利が出ていない」場合、いざというときに使用できる資金が少なく、黒字倒産を引き起こす可能性があるからです。

例えば近年のコロナ禍のような情勢であれば、以前よりも仕事の受注量が減少した解体業者は多いといえるでしょう。本来は多くの工事を受け持つことで利益率の低さを補っていた場合でも、仕事の受注件数が低ければ利益を積み重ねられません。

そのため入金のタイミングが複数重なることで、資金繰りがうまくいかずに倒産せざるをえないこともあります。このように売上高だけでは判断できない経営状況を把握するためにも、利益率が重要なのです。

利益率が低くなってしまう解体業者の特徴3つ 

利益率が低い解体業者の特徴3つ

ここでは、利益率が低くなってしまう解体業者の特徴について以下の3つから解説していきます。

  • 企業の純利益が少ない
  • 企業全体で「利益を上げる意識」を共有できていない
  • 社内コミュニケーションが取れていない

1.企業の純利益が少ない

1つ目の特徴は、そもそも企業の純利益が少ないことです。

純利益が少ない企業では内部留保を確保できず、経営状況は常にギリギリの状態となってしまいます。そのため何かしらのトラブルが発生すると「資金面が追いつかずに倒産」といったケースも多いでしょう。

また解体業では必要経費や銀行への借り入れなどが多く、経営者が正しく純利益を計算できていないことも考えられます。建設会社の特性上、工事終了後まで黒字か赤字かを判断できないこともあり、「気づいたら赤字の工事を受注してしまっていた」というケースも少なくありません。

このような状況に陥らないためにも、利益率は数字として正しく把握することが重要です。

2.企業全体で「利益を上げる意識」を共有できていない

2つ目の特徴は、企業全体で利益を上げる意識が低い、もしくは一切ないことが原因です。

利益率を高めるには日頃からむだな作業や業務を減らすなど、スタッフが一丸となって利益を高める意識が必要になります。

例えば、工事現場では事前に原価や利益額を記載する「実行予算書」を作成することが基本です。しかし利益額を正しく記載していない場合や、そもそも実行予算書を作成していない企業も多いといえるでしょう。「現場は現場の仕事をしていればいい」などとはじめから数字を共有することを避けている経営者も少なくありません。

このような状態では利益率を意識できず、スタッフはただ与えられたタスクをこなすだけの空気感が作られてしまいます。結果的に企業全体の成長も停滞してしまうため、企業としてはデメリットばかりです。
したがって利益や原価に関する書類作成・情報の把握は徹底するようにしましょう。

3.社内コミュニケーションが取れていない

3つ目の特徴は、社内コミュニケーションが取れていないため、経営者層・管理職の意識がスタッフに伝達できていないことです。

コミュニケーションが悪いとさまざまな問題が発生します。
見積書や実行予算書の精度が下がってしまうため、業績が低迷し、結果的に利益率が低い状態に陥ってしまうでしょう。またスタッフ間でコミュニケーションが取れていなければ企業が透明性を保てず、トラブルの元になりかねません。

そのため以下の点を意識し、社内の円滑なコミュニケーションを図っていきましょう。

  • 管理職とスタッフの個人面談を実施し、考えを社内スタッフに浸透させる
  • 社内イベントや交流会をとおして、営業スタッフと現場スタッフがコミュニケーションを取る機会を設置する

解体業の利益率を高める方法4STEP 

解体業の利益率を高める方法4STEP 

解体業の利益率を高めるためには、現状を分析したうえで適切な目標数値を設定する必要があります。
特に企業情報をしっかりと把握できていない場合は、以下の4STEPに沿って対策していきましょう。

  1. 現状の経営状況を把握する
  2. 必要な粗利額を明確化する
  3. 経営計画・営業戦略を考える
  4. 社内で円滑なコミュニケーションを図る

1.現状の経営状況を把握する

まずは自社が「どのくらい利益が出ているか」を判断するために、現在の経営状況を把握しましょう。

「景気が下降ぎみだから」「社員のモチベーションが上がっているから」など抽象的な内容では、具体的な原因を突き止められません。そのため過去の取引履歴を数値化し、目に見える形で確認することが重要です。

具体的には、以下の項目について過去3年分のデータを洗い出していきます。

  • 売上
  • 売上原価
  • 利益額
  • 利益率
  • 全体売上比
  • 全体利益比

特に赤字の案件に関しては、かならず赤字になった理由を考え、以後繰り返さないように意識することが重要です。そのためマイナスの利益率は赤字記載、利益率が1.2%など極端に低い場合は青字記載のように分けると、ひと目で工事に対する利益率を判断できます。

2.必要な粗利額を明確化する

つづいて経営に必要な粗利益額・利益率を明確化していきましょう。

経営者の方は、企業目標を考える際に「売上」を重視する傾向があるのではないでしょうか。
もちろん売上も重要な要素ではありますが、利益率を高める際は「粗利益額」を中心に目標を立てることが重要です。

そのため売上目標は前期と同等を想定し、利益率をしっかりと増やした数値目標を考えましょう。

仮に現在の経営状況が以下の場合、

  • 2019年:売上高5000万円・粗利益750万円・利益率15%
  • 2020年:売上高1億円・粗利益1500万円・利益率15%
  • 2021年:売上高1.5億円・粗利益2250万円・利益率15%

2022年では、以下が目標例となります。

  • 2022年目標:売上額1.5億円・粗利益3000万円・利益率20%

解体業の平均利益率20%を目安に、自社にあてはめて必要な粗利額を算出すると良いでしょう。

3.経営計画・営業戦略を考える

づづいて算出した粗利目標額から、経営計画・営業戦略を考えていきましょう。

経営計画では各項目の売上高に対する比率について、最低でも3年先までの目標数値を立てることが重要です。

住友建機株式会社

引用:住友建機株式会社

営業利益と経常利益の意味はこちら。

営業利益

  • 企業の中心となる事業で得た利益のこと
  • 営業利益=売上総利益 - 販売費・一般管理費

経常利益

  • 企業の事業全体で得た利益のこと
  • 経常利益=営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

また3年間の目標数値を立てたあとは年計画・月計画にまで落とし込み、いくらの仕事をどのように受注するのか、計画を達成するための営業戦略を具体的に考えていきます。

4.社内で円滑なコミュニケーションを図る

利益率を高める方法の最終フェーズでは、社内の円滑なコミュニケーションを促進していきましょう。

企業をまとめる経営層にとって、スタッフとの話し合いや意見を聞くことは重要な役割の一つです。

実際、現場の状況について細かく把握しているのは、営業に関しては営業スタッフ、取引先とのやり取りは担当スタッフなど、日頃から仕事に従事している現場スタッフといえるでしょう。面談を設けることで、経営層からは見えない問題の発見にもつながります。

またスタッフ同士のコミュニケーションが円滑化することで、利益率への共通意識や対策に向けた情報交換に効果的です。企業全体で達成する意識も芽生えるため、根本的な意識改革を行う際はコミュニケーション面の改善を意識しましょう。

解体業が利益率を高める戦略4つ 

解体業が利益率を高める戦略4つ

「いろいろ試したけど利益率が上がらない」
と、八方塞がりな状況の企業経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような場合は、以下の戦略を意識して改善を図っていきましょう。

  • 新規顧客を獲得し売上を増やす
  • 原価を削減する
  • 大規模な工事を請け負う
  • リフォーム工事を請け負う

1.新規顧客を獲得し売上を増やす

利益率を高める方法として第一に挙げられることは、新規顧客を獲得し売上を増やす戦略です。

しかし、いままでと同じ戦略で新規顧客を獲得しても利益率は変化しないため、以下の2点を意識しましょう。

  • 売上単価を高める
  • リピート率を向上させる

売上単価やリピート率が引き上がれば、同じ顧客数でも利益額が増加し、結果的に利益率の向上につながります。

ただし急な価格変更を行う場合、いままでの顧客が離れてしまう可能性があるため注意が必要です。
単価に見合うだけの付加価値やサービスの質を意識し、購買意欲が低下しないように対策しましょう。

解体業が仕事を取るためには、ホームページ制作がおすすめです。

2.原価を削減する

原価を削減できれば、売上額を変えずに利益率を高められます。

解体業の主な費用内訳はこちら。

  • 人件費
  • 重機使用費
  • トラック使用料
  • ガソリン代
  • 廃棄物処理費用
  • 保険料
  • 販売費(広告宣伝費・旅費交通費)

上記のなかから「不必要な費用がないか」を改めて確認し、削減できる項目を洗い出しましょう。

また原価の削減を考える際、人件費から考える企業が大半といえるでしょう。
しかし人件費の削減は労働力が低下し、作業効率の悪化を招く可能性があります。

そのため、むやみに人員を減らすのではなく、作業量の増量や効率の良い人員配置によって人件費の削減を目指すことが重要です。

3.大規模な工事を請け負う

解体業・建設業では規模が大きい工事ほど利益率を高く設定しやすいため、案件を選ぶ際は積極的に受注していきましょう。

利益率を高く設定できる理由は、依頼主側がもともと余裕をもった予算設定であるケースが多いためです。例えば個人を相手にした解体工事の場合、予算の上限は大体決まっており、顧客はできるだけコストをかけずに最低限の予算で依頼したいと考えています。

しかし大規模な工事は案件によって目安が異なり、相場の具体的な数値も決まっていません。
そのため業者側の見積書がそのまま通りやすく、利益率の高い価格をキープしながら受注できるでしょう。

4.リフォーム工事を請け負う

解体業者では、リフォーム工事の請け負いも利益率向上には効果的な戦略となります。
なぜならリフォーム工事は売上原価を抑えやすく、利益率の高い提案を行いやすいためです。

例えば外装・内装工事では工法が膨大にあるため、性能が多少落ちてもコストパフォーマンスが優れた工事を実施できます。

ただしリフォーム工事でも基礎工事・躯体工事を含める場合は、売上原価が高くなる傾向にあるため注意をしましょう。そのため各工事の利益率を事前に割り出しておき、自社にとって価値のある仕事を受注してくことが重要です。

まとめ

本記事では利益率が低くなってしまう解体業者の特徴をピックアップし、利益を増やす戦略や現状からの改善方法を4STEPで解説してきました。

解体業では売上原価や利益率を把握しないと、いつの間にか赤字で仕事を受けている可能性があります。
気づいたときには会社のお金が不足した状況になりかねないため、日頃から自社の経営状況を把握しておきましょう。

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