“建設バブル”と呼ばれるほど好況だった建設業界ですが、現在コロナウイルスやウッドショックなどの影響を受けて苦境に立たされている会社も増えています。
そのようななかで開業や独立を考えている経営者の方や、集客・経営に悩む建設会社のために「建設業はいまどのような状況になっているのか」「解決すべき課題とは?」をこの記事にまとめてみました。
建設業界の課題3つをピックアップし、現状や最新動向から解決策をわかりやすく考察します。ぜひ最後までご覧ください。
建設業の現状
まずは建設業界の現状がどのようになっているか、見てみましょう。
下のデータを見ると2012年~2019年にかけて、国内の建設投資額は増加しています。
さらに東京オリンピック・都市開発に向けた需要UPとも重なり、“建設バブル”と呼ばれるほど好況でした。
しかしその後、新型コロナウイルスによって工事の中止が続いたり、作業工程の変更や感染対策用の資材購入などのコストが増えたりと、大きくマイナスの影響を受けました。現在も中小事業者の倒産が相次いでおり、建設業界全体としてはシビアな状況が続いています。
建設業の最新動向
続いて、建設業の最新動向を詳しくチェックしていきましょう。
建設業界は国内において、次のようなプロジェクトが絶え間なく進行しています。
- 東京、名古屋、大阪を結ぶリニア中央新幹線、都市開発
- 北陸~大阪間の新幹線
- 2025年の大阪万博開催に向けた各種インフラの整備
- 東京メトロ銀座線の全駅リニューアル計画
加えて、国内各地のインフラ設備の老朽化により、今後も建て替えやメンテナンスが数多く発生するでしょう。したがって、コロナウイルスによる打撃はあったものの、将来的には需要が高まる見込みといえます。
建設業界の最新動向についてさらに知りたい方は、こちらもご覧ください。
建設業の課題は主に3つ
“将来的に需要がなくなることはなく、業績自体も堅調に推移する”といわれる建設業界ですが、数多くの課題を抱えてるのは事実です。そこでここからは、建設業が早急に解決すべき課題3つを挙げてみました。
- 人手不足の深刻化
- 利益率の低迷
- 業務効率化が進まない
1.人手不足の深刻化
建設業界の最大の課題は、「人材不足」だといえるでしょう。
下記データをみると、建設業界の就業者は1997年の685万人をピークに、2010年には498万人、2015年には500万人まで減っています。特に現場で働く職人や技能労働者の人手不足が深刻化しているようです。
また次のデータによると、建設業に従事する人は“2016年時点で約3分の1が55歳”となる見込みに。ほかの業界と比較しても、著しく高齢化が進んでいることがわかります。
建設業の人手不足問題とその対処法とは?人手不足対策を徹底解説!(BizRobo! ブログ)
せっかく工事を受注できたとしても、対応できる人材がいなければ業績は安定しません。少ない人数で業務をこなせば、長時間労働など労働環境の悪化を招き、離職率が高まります。そしてさらなる人手不足に悩まされるという悪循環に陥るでしょう。
人材不足を解決するためには「若手人材の獲得」や離職率を下げるための労働環境の見直しが急がれます。また、国土交通省はドローンやAIなど最新技術を活用して省人化・効率化をすすめることを推奨しており、Webを活用した集客や、Webで優秀な人材を集める取り組みもおすすめです。詳しくは記事後半をご覧ください。
2.利益率の低迷
建設業はかつて他業種より高い水準の利益を確保していたものの、昨今は平均利益率の半分程度にまで落ち込んでいます。その理由として、次のようなものが挙げられます。
- 建設投資額は低下し、販売管理費が利益を圧迫した
- バブル崩壊後から経済不況の影響により、受注率が大きく減少
- 数少ない受注を取りあうため、値下げ競争が激化
国内で販売・製造にかけられる予算が限定され、元請会社は下請け会社に対してコストを抑えるよう要求しました。その結果、建設会社の利益が低迷する状況になったのです。また、バブル崩壊後に不況に陥り数少ない受注を取りあう事態に。そして、最終的に値下げ競争にどんどん拍車がかかり、建設業の利益率はさらに減少していったのです。
利益率を上げるためには、下請け脱却し、直請けを増やすことが効果的でしょう。
また価格競争ではなく、自社独自の技術や自社の魅力・強みを磨いて付加価値をつけることもおすすめです。
3.業務効率化が進まない
建設業はノウハウをテンプレート化して効率UPを狙えず、“システムに頼りにくい・属人化に陥りやすい”という特性があります。
そのため“誰でもノウハウを取得すれば、効率的に業務を行える”環境を整備しにくいです。また、建設業界は多重請負構造により「情報共有」や「全体像を客観的に把握」がしづらいという場面も目立ちます。
業務効率化のためにはIT・AI技術を導入するDX化が必須。世の中のオンライン化に対応していくためにも、ツールなどを使って業務を管理しましょう。
建設業の課題を解決する方法【人材不足】
前述したように建設業では人手不足をはじめ、業界全体の高齢化が長年問題視されています。
建設業で働きたいという若者は年々減っており、技術継承がうまくできていません。また人材を確保しても、すぐに転職してしまう…という離職率の高さも特徴です。そのため「いまだけ人材確保できればOK」ではなく、将来のことを見据えて“建設業の人手不足問題・高齢化問題”を解消しなければならないでしょう。
- 労働環境を見直す
- 採用サイト制作
それらを解決する方法を2つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
労働環境を見直す
人材不足を解決するためには、“3K(きつい・汚い・危険)”と呼ばれる建設業界の労働環境を改善しなければなりません。そのためには、次のような施策を打ち出すと良いでしょう。
- 週休2日制に取り組む
- 長時間労働・残業を抑制する
- 教育や研修制度を充実させる
- 現場の見学会を積極的に開催
「従来のイメージと違い、働きやすそうな職場だな」「この会社はしっかりサポートしてくれる」と思う若者が増えていけば、求人への応募も増えます。
また、SNSを活用することも効果的。
日頃からSNSでコミュニケーションを取ったり、情報収集をしたりする若者は多いため、「働きやすい環境を整備している社内風景」「快適に働けるワークウェア・グッズ」など有益な情報を発信すれば、建設業に興味を持つ若者を増やせるでしょう。
加えて、これまで採用候補として上がりにくかった外国人労働者・女性を積極的に採用するのもおすすめです。就職希望者を受け入れる幅を広げ、応募する人数を増やせば働き手を確保しやすくなります。人手不足問題・高齢化問題からうまく抜け出せていない建設業では、視野を広げて雇用を行う姿勢がより大切になるでしょう。
採用サイト制作
建設業ではホームページをもっていない企業や活用できていない企業も多いです。
新規・リニューアルに取り組み、自社サイトで求人募集するのも良いでしょう。メリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 情報を自由に掲載できるため、“自社のイメージ”を求職者へ強く与えられる
- 事前にインターネット情報収集したうえでエントリーする人も多く、応募者と自社のマッチ度が上がる
- 採用活動を効率化できる、コストを下げられる
また、その際に“働いている先輩スタッフのスケジュール”など、具体的な仕事の様子が伝わるコンテンツを掲載するのもおすすめ。求職者がそれらを見たときに「実際にこのような働き方ができる」というイメージが掴めれば、安心感を得られます。そうすれば、最終的に自社への信頼度向上を図りやすくなるでしょう。
そのほか、プロモーション動画などを活用し、積極的に「働く良さ」「やりがい」をアピールするとより効果的です。“他社にはない強み・自社ならではの魅力”と一人でも多くの人へ伝え、自社の採用活動を軌道に乗せましょう。
建設業の課題を解決する方法【利益率】
必要な人材を確保し、経営を軌道に乗せるためには“いかに儲けを出すか”を重視しなければなりません。
そこで、注目したいのが利益率です!
ここでは建設業で利益率の低迷から抜け出し、上げていくための方法をそれぞれ解説しています。
- 販売単価の見直し
- 顧客を増やす
販売単価の見直し
販売単価が上がり、コストを現状維持すれば利益率を上げられます。しかし、顧客の理解を得ることが前提です。
そのためには、以下の点に取り組みましょう。
- 販売単価を上げる理由を明確に説明する
- クオリティを担保する
- 単価以上の付加価値をつける
そこで、活用したいのがホームページ。なぜなら、ホームページはブランディング効果があり、自社サイトで強みや魅力をアピールすることで、“他社にはない独自性”を訴求しイメージ向上を狙えるため。
また、自社サイトで「なぜ販売単価を上げるのか」という理由を丁寧に説明したり、+αとなる付加価値を提供することなどの説明をはじめ、顧客が求める情報を事前に掲載するのも大切です。そうすれば、仮に自社が販売単価を見直す状況になっても理解を示す人を増やせます。
自社の利益率をいま以上に上げるためにも、自社サイトの制作・リニューアルをぜひご検討ください。
顧客を増やす
自社の利益率を上げるには、営業面で努力することも重要です。販売件数を伸ばし、顧客を増やせれば利益率向上にも期待できます。
しかし、工事原価が上がれば利益率は下がるため、ほかの施策をあわせて行ってください。加えて、営業部門の人員拡大・新たな営業方法の導入などを検討するのも良いでしょう。
建設業の課題を解決する方法【業務効率化】
デジタル化がうまく進まない建設業において、業務効率化を図ることは非常に重要です。
- テレワークの導入
- DX化を促進させる
これらを意識すれば、“スムーズかつ正確に情報共有できる・スピーディに仕事を進められる”といったメリットがあります。また、業務効率が上がれば「作業時間の短縮から工期短縮へ結びつく」「労務費や人件費の削減」にもつながるでしょう。そうなると、人材不足をはじめ多くの問題を解消できる可能性が高いです。
テレワークの導入
工事などの作業面でテレワークは難しいですが、事務作業・設計業務などは環境を整備すればリモート対応もOK。オンラインミーティング用のビデオ通話や勤怠管理システムといったITツールを積極的に活用し、業務の無駄を省きましょう。
さまざまな面で効率化を図れば、コスト削減につながります。そこで浮いた費用を従業員の待遇に充当すれば”働くうえでの不満”を解消できるため、最終的に人材を集めやすくなるでしょう。
DX化を促進させる
人の手で行う業務も多い建設業は、打ち合わせ・業務連絡・図面や書類の管理など、いまでもアナログな手法を実践している会社も珍しくありません。
しかし、建設業界が長年抱えている“慢性的な人手不足”を解決するには、“全面的に生産性を向上させて、業務改善を行うこと”が必須です。
そこで、自社のDX化を促進させることをおすすめします。
なぜなら、積極的にDX化を推進して、業務効率化を図れば省人化も可能なため。そうすれば、最終的に建設業に対する「3K(きつい・危険・汚い)」のイメージを払拭することにつながり、さまざまな課題解決を図りやすくなります。
また、建設業におけるDX化の事例として、このようなものがあります。
- 施工管理アプリを導入し、社内で情報共有する(例:ANDPAD、ダンドリワーク、Kizuku など)
- 業務システムを一括クラウド化し、ペーパーレス化を図る
- 3D データと ICT建機を活用し、人員・工期を大幅にカット
建設需要の増加に伴い、今後もさらに建設会社間の競争は激しくなる見込みです。将来的に生き残るためにも「業務効率化の課題をどうクリアしていくのか」を意識し、自社に必要なアクションを実践してください。コミュニケーション面において効率化を図れば、若年層の人材確保に役立つでしょう。
建設業の課題解決には“Web運用”がベスト
建設業の課題解決には、Web運用がベストです!
オンライン化が加速する現代において、集客も求人採用も、もはや“インターネットの活用”は欠かせない手段となっています。
- 採用サイトを制作すれば、応募者の質も上がる。コストを下げられるうえ、効率化にもつながる。
- 自社サイト+SNSを運用でユーザーにとって魅力的なコンテンツを発信、集客率UPを狙える。
このように「どのような目的を持つか」「どのような媒体を取り入れ、運用するか」によって、得られる効果は大きく変わります。
しかし「ただオンライン手法を取り入れればOK」というわけではなく、目的に応じた成果を出すためには専門的な知識やノウハウが必要です。たとえ自社でホームページを制作したとしても“それらが誰にも見られない・掲載すべき内容が載っていない”といった状況に陥れば、採用・集客面においてうまく成果を出せません。
そこで、ぜひ検討していただきたいのが“Webのプロへの依頼”です!
Webのプロであれば「解決すべき課題や改善点は何か」「それらを解決するために必要な方法」を的確に見抜くスキルがあります。そのため、お客さまに必要なプランニング・目的を達成するためのステップをしっかり提案できるのです。
まとめ
この記事では、建設業界が抱える3つの課題を詳しくまとめました。現状や最新動向から解決策をわかりやすく考察しましたが、いかがでしたか?
建設業は、人材不足・利益率の低迷・業務効率化が進まないという課題を解決する必要があります。そのためには「自社の採用サイトを制作する」「マーケティングにSNSを取り入れる」など、Webを積極的に活用することが大切です。
「うまく課題を解決できない」「自社に必要な施策が知りたい」とお悩みの建設会社は、ぜひ一度プロに相談すると良いでしょう。