利益率の高い工務店・ハウスメーカーの特徴とは?25%まで上げる方法

利益率の高い工務店・ハウスメーカーの特徴とは?25%まで上げる方法
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工務店の平均的な利益率は25%前後と言われており、積極的に広告を打ち出す場合は30%前後が理想となります。

とはいっても、「利益率を増やしたら、顧客がいなくなりそうで心配…」と悩まれている工務店も多いのではないでしょうか?コロナ禍やウッドショックの影響など、そもそも利益の確保が難しい点も工務店の課題といえます。

そこで本記事では、利益率が高い工務店・ハウスメーカーの特徴、25%まで上げる方法や事前準備をまとめました。

利益率がどうしても上がらないときの対処法についてもお教えします。

目次

工務店の利益率とは?  

工務店の利益率とは?  

そもそも利益率とは、売上に対する利益の比率を示す指標です。
利益にはさまざまな種類がありますが、基本的には売上高から売上原価を引いた「売上総利益(粗利益)」を指すと考えましょう。

そのため利益率は以下の計算式で求められます。

  • 利益率=利益額÷売上高×100%

利益率が高ければ企業の儲けは大きくなり、経営状況は良いといえるでしょう。

ここでは工務店の利益率や、利益率の重要性について解説していきます。

平均の利益率は25% 

工務店の平均的な利益率は、販売価格から材料費や工事費用などの売上原価を引いて考えると、25%前後になります。
仮に月間5000万円の売上であれば、1250万円が粗利益。月間1億円の売上であれば、2500万円が粗利益です。

利益率が20%を下回る状態だと、粗利益はほとんどない状態となり経営も厳しい状況といえるでしょう。
対して利益率が30%を超えるようであれば、広告費に経費を回すなど余裕のある状態になります。

また同じ住宅業界でも、ハウスメーカーの平均利益率は35%前後です。
工務店よりも高い理由は、自社ブランドの価値を明確化しており、販売価格を高く設定していることが挙げられます。

利益率の重要性  

ではなぜ、利益率が重視されるのでしょうか。

理由は現在の経営状況を数値で確認し、新しい広告の打ち出しなど、新規顧客の集客費用に回すためです。

仮に3000万円の売上で利益率が20%であれば、利益は600万円となります。
この600万円から「人件費」「広告費・集客費」を支払う必要があり、利益率が低ければ純利益は少なく、結果的に集客費用に予算を回せません。

仮に集客費用を割けなければ顧客を獲得できず、売上が減少するといった悪循環に陥ってしまうことも考えられます。
そのため最低限の利益率を維持し、新たな集客費用として売上を確保することが重要です。

工務店が利益率を高めるための事前準備   

工務店が利益率を高めるための事前準備   

利益率を高めるためには、まずは粗利益額や現場ごとの利益率から目標を設定することが重要です。
利益率は売上や売上原価など、さまざまな要素から成り立ちます。そのため目標からやるべきことを明確化し、利益率向上の準備を行ないましょう。

ここでは、工務店が利益率を高めるための事前準備について解説していきます。

粗利益額の目標を決める

まずは粗利益額の目標数値を定めましょう。粗利益額とは、売上額から売上原価と製造原価を引いた金額のことです。

一般的に企業の目標数値というと、「売上額」を設定する方も多いのではないでしょうか。
しかし売上額だけ見ても、経費を計算しない限りどのくらいの利益が出ているのかわからず、すぐに現在の経営状況を把握できません。

対して「粗利益額」では、現状赤字であるのか黒字であるのかを明確化でき、そのあとにかかる経費がまかなえるかの判断も可能です。仮に粗利益額が目標数値を達成できていない場合は、営業利益や純利益も赤字の状態といえるでしょう。

そのため利益に直結する粗利益額から目標数値を定めることで、目標を達成できれば自然と利益率の向上にもつながる仕組みが作れます。

現場ごとに目標利益率を決める

つづいて目標利益率を現場ごとに細かく定めていきましょう。

工務店では扱う案件に応じて作業費や経費が異なるため、現場によって利益率に違いがあります。
一般的に規模の大きい現場は利益率が低く、規模の小さい現場ほど利益率が高くなる傾向といえるでしょう。

また規模の小さい現場ではメンテナンスや追加工事など、関連工事が発生しやすいことが特徴です。
そのため利益も獲得しやすく、目標に高い利益率を設定しても問題ありません。

ただし高い目標を掲げたはいいものの未達成が続くようでは意味がありませんので、過去の施工事例などを参考に達成できる範囲の利益率を設定していきましょう。

工務店が利益率を高める方法4選   

工務店が利益率を高める方法4選   

では事前準備をふまえたうえで、工務店が利益率を高める方法について、以下の4つから紹介していきます。

  1. 販売件数・売上を増やす
  2. 販売単価を上げる
  3. 原価を下げる
  4. 付加価値を高める

1.販売件数・売上を増やす

最もシンプルな方法ですが、住宅の販売件数・売上を増やすことで利益率を高められます。

仮に以下のような条件の場合、

  • 販売単価:1000万円
  • 売上原価・製造原価:700万円
  • 固定工事費用:500万円

販売件数が100件では以下のような利益率です。

  • 売上額:10億円=1000万円×100件
  • 工事費合計:7億500万円=700万円×100件+500万円
  • 粗利:2億9500万円=10億円−7億500万円
  • 利益率:29.5%=2億9500万円÷10億円×100%

ただし販売件数を50件増加させ計150件になると、以下のように利益率も高まります。

  • 売上額:15億円=1000万円×150件
  • 工事費合計:10億5500万円=700万円×150件+500万円
  • 粗利:4億4500万円=15億円−10億5500万円
  • 利益率:37%=4億4500万円÷15億円×100%

販売件数を1.5倍にしたことで、利益率は1.25倍向上しました。
販売件数の増加は簡単ではありませんが、もっとも単純に利益率を高める方法といえるでしょう。

2.販売単価を上げる

販売件数を維持したまま利益率を高める方法は、販売単価を上げることです。

売上額は「販売単価×販売数」によって決まります。そのため販売単価を上げることで売上額が増え、結果的に利益率の向上につながる流れです。

しかし販売単価を上げる際は、販売件数が下がる可能性について考えなければいけません。
仮に単価アップによって販売件数が減少すれば、かえって利益が少なくなる可能性もあるため注意をしましょう。

特に急な単価アップはいままでの顧客が離れるおそれがあるため、顧客のニーズや現状の受注率などを踏まえたうえで考えることが重要です。

3.原価を下げる

利益率の元になる利益額は、「売上−売上原価・工事原価」によって決まります。
そのため原価を下げることで利益額は増加し、売上を維持したまま利益率を高めることが可能です。

原価として考えられる項目はこちら。

  • 経費
  • 材料費
  • 外注費

また原価を下げるための具体的な施策は以下になります。

  • 取引先との交渉や新しい取引先を探し、工事に必要な材料を安く仕入れる
  • 外注する作業を減らし、外注費用を少なくする

著しく品質を下げるような状態は問題ですが、自社で対応できることは積極的にまかなっていきましょう。

4.付加価値を高める

前述で紹介した売上や販売単価を向上させるうえで重要な要素は、顧客へ提供できる付加価値を高めることです。

基本的に売上を増やそうと販売単価を高めても、いままでと同じ商品やサービスの質では販売件数は増加しないと考えましょう。

なぜなら住宅は単価が高く、数%の単価アップでも顧客からは大幅な値上げに感じてしまうからです。
従来との明確な違いを感じない限り、単価が上がってまでも購入しようと考える顧客はごくわずかといえます。

そのため企業ブランディングや競合との差別化といった戦略を活用し、自社の商品価値を高めることに注力しましょう。

利益率の高い工務店・ハウスメーカーの特徴3つ  

利益率の高い工務店・ハウスメーカーの特徴3つ  

利益率は企業によって高い低いがありますが、利益率の高い工務店やハウスメーカーには以下の特徴があります。

  • 利益率・粗利率の数値化
  • 利益率・粗利率に関するルール設定
  • 利益率が下がった原因の追求

すべて欠かせない要素となるため、実践していない内容は早急に取り組んでいきましょう。

1.利益率・粗利率の数値化

利益率の高い工務店やハウスメーカーは、かならず自社の利益率・粗利率を数値化しています。

あたり前ではありますが自社の利益率を把握していなければ、現状が高いのか低いのかを考えられません。
そのため現状を数値として視覚的に確認することを意識しましょう。

また数値化するうえでは、企業全体だけでなくチーム単位やスタッフ個人単位でも把握することが重要です。

個人単位で把握することによって、目標数値に達成できなかった際の具体的な原因を考えられます。
企業としての数値だけでは抽象的な改善しか行えないため、かならず細かく確認するようにしましょう。

2.利益率・粗利率に関するルール設定

利益率を高めるためには、利益率・粗利益に関するルールを設定しましょう。
ルールとは基準となる数値を設定し、どのような状況でも下回らないように取り組むことを意味します。

利益率が低い工務店のよくある例は、目標数値しか定めていないケースです。
毎回目標の数値を達成できれば問題ありませんが、どの企業でも目標を達成できない可能性はあります。

しかし目標しか定めていないと下限値が安定せず、月によっては「利益率が大幅に低い…」といった状況も起こるでしょう。

そのため目標だけでなく下限値としてルールを設定し、決めた数値を下回らないように準備や工夫を企業全体で行うと、利益率の安定化や向上する流れがつくれます。

3.利益率が下がった原因の追求

現状の数値とルールで決めた基準数値は日別・月別単位で比較し、利益率が下がった場合には原因をしっかりと追求することが重要です。

利益率が低い場合には、かならず「低くなってしまった原因」が考えられます。
しかし原因があいまいな状態のままでは改善点が見つからず、利益率を高めることは難しいでしょう。

また数値化と同じく、原因を考える際も「個人の行動単位」まで落とし込むことが大切です。

決して悪者を見つけるといった目的ではなく、

  • 設定数値が間違っていたのか
  • 途中の確認が抜けていたのか

など、企業としての問題点を把握し、早期改善によって利益率を向上させていきましょう。

工務店の利益率が上がらないときは? 

工務店の利益率が上がらないときは?

なかには「いろいろな対策をしたけど利益率が上がらない…」と悩まれている企業もいるのではないでしょうか。

このような場合は、一度以下の原因について確認してみましょう。

  • 集客施策を見直す   
  • 現金を確保する
  • 固定費を削減する

1.集客施策を見直す    

利益率が低い原因として、十分な売上を確保するだけの集客を行えていないことが考えられます。
特に「自社サイトを運用しているけど、問い合わせがない」といった場合は、再度Webサイトの対策内容を見直すようにしましょう。

現代では年齢層を問わず、顧客の大半はインターネット上で情報収集をしています。
そのためホームページの更新が一切ないような企業は信頼が低く、問い合わせにつながらない原因といえるでしょう。

またスマートフォンに対応していないホームページや操作性が悪いホームページは、かえって悪影響となる可能性もあります。したがって古いホームページはリニューアルするなど、現代に合わせたホームページ制作が必須です。

2.現金を確保する 

企業の経営では新しい施策への投資や不測の事態に備えるために、余裕も持って現金を確保することが重要です。
また利益率を高めるうえでも、売上に向けた予算は欠かせない要素になります。

そのため固定資産や有価証券の売却など、いつでも現金化できるような手段を構築しておきましょう。

3.固定費を削減する

経営面や利益率を安定させるには、固定費を削減することも効果的です。
固定費は毎月支払う必要があり、企業によっては大きな出費となっているケースも多いといえるでしょう。

特に削減しやすい固定費は、以下の項目になります。

  • 人件費
  • 消耗品費
  • 光熱費

また固定費を削減することで、現状の売上や販売件数でも利益額を高められます。したがって無駄な費用をかけていないか、いま一度確認しましょう。

まとめ

本記事では、利益率が高い工務店・ハウスメーカーの特徴から、25%まで上げる4つの施策や事前準備を紹介してきました。

利益率を上げるには、売上や販売単価、そして原価などのさまざまな観点から対策することが重要です。
またどうしても利益率が上がらないと感じたときは、集客面や固定費などを再度見直しましょう。

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