MAツールの概要を知りたい
MAツールを導入することで、どんな課題が解決できる?
MAツールを導入して成功した事例はある?
現代社会において自社の売上を伸ばすためには、マーケティング戦略が不可欠です。特に販売機会が限られるBtoB業界において、その考えは顕著といえるでしょう。
しかし、頭では分かっていても「マンパワーで解決するには難しい課題」と感じていませんか?
本記事では、マーケティングと営業の業務を自動化・効率化する「MAツール(=マーケティングオートメーションツール)」について、以下の4点を紹介しています。
- MAツールの概要
- MAツールで解決できる5つの課題
- MAツール導入で業務の効率化に成功した事例
- MAツールの効果を発揮するために必要な3つのポイント
あなたのチームの売上を伸ばすために、MAツールを導入すべき理由を分かりやすく解説しています。
ぜひ最後までチェックしてみてください。
MAツールの基礎知識と重要視される理由
本項目では、MAツールの基礎となる「マーケティングオートメーション」の概要と、MAツールが重要視される理由を解説します。
まずは、「MAとは何か?」という基本概念を押さえることから始めましょう。
MAはマーケティングや営業に関する業務を自動化する仕組み
「MA」とは「マーケティングオートメーション」の略語であり、「マーケティングと営業に関する業務を自動化すること」と定義されています。
そして、自動化された業務を実行するソフトウェアが「MAツール」です。
MAツールで自動化可能な業務は主に以下の4つです。
- セミナーやイベントの集客・案内
- 開催案内のメール一斉配信
- 申し込みフォームの自動作成と申込管理
- リマインドメールの自動送信
- 顧客情報の統合・管理
- 複数の営業システムに分散したデータを一元的に集約
- 顧客の属性や購買履歴などのデータを自動で継続更新
- 顧客のライフサイクルに合わせたセグメント分類が可能
- Webサイト更新
- ブログ記事の自動投稿
- 商品ページなどのコンテンツ更新を自動化
- サイト内検索の最適化
- 顧客へのメール配信顧客
- 属性に応じたメール配信コンテンツの自動化
- リードナーチャリングメール(※1)の自動送信
- メールオープン率、クリック率等の自動計測
※1:見込み顧客の購買意欲を高める内容を記した案内メールのこと
手作業でこれらの業務を行うためには、多くの人員・時間・コストが必要となります。
MAツールの需要が高まった理由は商品購入プロセスの変化
では、MAツールの需要が高まった理由はなんでしょうか?
結論からいうと、インターネットやSNSの普及により「顧客の商品購入プロセス」が変化したためです。
MAツールが普及する以前の基本的な商品購入プロセスは、以下の3点です。
- 営業担当からの連絡や店舗での販売
- 送付したカタログやパンフレットからの購入
- 展示会やイベントなどでの営業活動
しかし、インターネットやSNSが普及し、顧客が商品の情報収集(商品の比較・検討)を行うようになったことで、商品購入までの時間が長期化しました。
長期化した結果、企業側に起こった変化と、それに伴う課題は下表の通りです。
企業側に起きた変化 | 変化に伴う企業の課題 |
---|---|
顧客との接点が減少した | ・顧客ニーズの把握が難しくなった ・顧客へのアプローチや商談の機会が減少した |
顧客の要求レベルが上がった | ・より高い商品知識や提案力が求められるようになった ・期待に応えられなければ、顧客を失う可能性が生まれた |
競合他社との競争が激しくなった | ・価格競争に巻き込まれるようになった ・差別化された商品やサービスの開発が必要となった |
営業活動の効率化が求められた | ・対応すべきタスクが増加し業務負担が増した ・限られたリソースで成果を上げる必要が生まれた |
新しい営業スキルの習得が必要となった | ・データ分析力の向上が求められた ・SNSマーケティングの実施が欠かせなくなった |
MAツールで解決できる5つの課題
本項目では、MAツールで解決できる課題について、以下の5つを紹介します。
- メール配信やWebサイト解析を自動化できる
- 各部門間で顧客データを一元管理できる
- ニーズの異なる顧客ごとに個別のコンテンツを提供できる
- 見込み顧客の育成により営業受注率をアップできる
- マーケティング施策の効果測定と改善が可能になる
項目ごとに詳しく解説していきます。
①メール配信やWebサイト解析を自動化できる
MAツールが解決できる課題の1つ目は、メール配信やWeb解析などの業務を自動化できる点です。
- 資料ダウンロード顧客へのフォローメール自動配信
- Webサイト訪問顧客への関心コンテンツ自動配信
- メール開封率、サイト行動データの自動収集・分析 など
自動化された施策は、24時間365日、顧客の行動に合わせて自動的に実行されます。
そのため、より効率的に顧客にアプローチでき、担当者の作業時間も大幅に削減可能です。
②各部門間で顧客データを一元管理できる
売上を増やすためには、マーケティング部門と営業部門との連携が不可欠です。
MAツールは、部門を跨いだ顧客データの一元管理が可能であることから、より深く顧客の行動・ニーズを把握できます。
顧客分析が最適化されることで、タイムリーな施策立案も可能となるでしょう。
③ニーズの異なる顧客ごとに個別のコンテンツを提供できる
商品の購入意欲は顧客ごとに異なるため、訴求内容も個別に変更する必要があります。
顧客の状況 | 適切なアプローチ |
---|---|
新規の顧客 | 製品の特長や購入の流れをわかりやすく案内する |
検討中の顧客 | 割引情報や購入のメリットを提示する不明点を解消できるサポート情報を提供する |
購入後の顧客 | 製品の感想やレビューを求める関連製品やオプションサービスを案内する |
MAツールを導入すれば、一人ひとりの顧客に合わせて最適なコンテンツを選別するだけでなく、効果的なタイミングで届けられます。
④見込み顧客の育成により営業受注率をアップできる
MAツールを活用すれば、見込み顧客を段階的に育成し、最終的な受注に繋げることも可能になります。
- Webサイトの閲覧履歴や資料ダウンロード状況から、潜在顧客を特定する。
- 興味・関心のある領域に合わせたコンテンツを自動配信し、製品・サービスに対する理解を深めてもらう。
- 定期的にメールやWebセミナーを配信し、継続的な関与を促す。
- 商談の機会が熟したタイミングで、営業担当者が個別にアプローチする。
上記のプロセスを重ね、見込み顧客を育成・温存していくことで、営業アプローチのタイミングが最適化され、受注率の向上が期待できます。
⑤マーケティング施策の効果測定と改善が可能になる
マーケティング施策の効果測定は、売上を伸ばす上で非常に重要です。しかし、従来は手作業で行う必要があったため、正確な分析が困難でした。
MAツールではデータに基づき、以下の作業が実施可能です。
- Webサイトの行動データやメール開封率など、マーケティング活動に必要なデータを自動で収集・蓄積できる。
- 顧客へ配信したコンテンツの結果を、リードスコア(※2)で可視化できる。
- 施策ごとの効果を測定し、次の施策の立案につなげられる。
※2:リード(=見込み客)の「購入意欲」を数値化したもの。
「Webサイトを訪問したら5点」といった点数設定をすることで、点数が高い=購入意欲の高い顧客を割り出せる。
マーケティング施策に必要なデータを定量的に分析し、PDCAサイクルを回すことで、施策を継続的に改善できます。
MAツール導入で業務改善を実現した事例3選
本項目ではMAツールを導入し、業務の効率化に成功した事例を3つ紹介します。
事例①メール送信業務の効率化に成功
事例②談件数の増加に成功
事例③データ管理の工数削減に成功
導入を検討する際の参考にしてみてください。
事例①メール送信業務の効率化に成功
A社は、メールの作業時間が3時間から1時間に減少し、メール開封率は13%から20%に向上しました。
業種 | IT・情報ソフトウェア |
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主な製品・サービス | 携帯電話関連製品の開発・販売・運用 |
導入前の課題 | ・MAツール導入以前に使用していたツールでは、 顧客管理ツール(CRM)との連携が不十分だった。 ・配信リストの確認などを手作業で修正しており、生産性が悪かった。 |
導入後の成果 | ・顧客管理ツールと円滑に連携できるようになったことで、 メール配信工数が最大3分の1削減された。 ・見込み顧客の獲得・育成も効率化できた。 |
事例②商談件数の増加に成功
B社は、月1件のペースで商談を獲得し、数千万円規模の大型案件の受注にも成功しました。
業種 | 製造・小売 |
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主な製品・サービス | 医療用機器の製造・販売 |
導入前の課題 | ・売上増加のために販路を拡大する必要があったが、 顧客リストやリード情報が部門間で共有されていなかった。 ・営業活動が属人化しており、正確な売上予測が立てられずにいた。 |
導入後の成果 | ・MAツール導入と合わせて、自社Webサイトの更新とメルマガ配信を 実施した結果、月に1件のペースで商談を獲得できるようになった。 ・リード管理の一元化により営業担当との連絡頻度も低下し、 確認作業を減らすことにも成功した。 |
事例③データ管理の工数削減に成功
C社は、丸1日かかっていた顧客データの修正や統合の工数がゼロになりました。
業種 | 不動産 |
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主な製品・サービス | 貸し会議室などのイベント施設の運営管理 |
導入前の課題 | ・スピード感を重視し、各イベント施設にマーケティング担当者を 配置していたが、顧客リストも施設ごとに存在していた。 ・顧客リストを一元化するために手作業でExcelに 抽出・修正する必要があり、非効率的だった。 |
導入後の成果 | ・各施設の顧客リストが自動で連携されるようになり、 顧客データ管理の手間が大幅に削減された。 ・顧客データを基に行動履歴や興味度を分析することで、 顧客への最適なアプローチが可能になった。 |
MAツール導入前に確認すべき3項目
最後に、MAツールの導入前に確認すべき3つの項目を紹介します。
- ターゲットと既存顧客の特徴が把握できているか?
- MAツールで解決したい課題が設定されているか?
- 社内連携が可能な体制が用意されているか?
MAツールの効果は事前準備の内容で大きく左右します。本格的に導入を検討する場合の参考にしてみてください。
①ターゲットと既存顧客の特徴が把握できているか?
MAツールは自社がターゲットとする顧客に対して、効果的にアプローチすることを目的に導入されます。
しかし、顧客に対し適切なアプローチを実施するためには、下記の3項目を設定することが重要です。
- リストターゲット顧客(=ペルソナ)の年齢層、職種、業種などの属性
- 既存顧客の購買履歴や行動データから見えるニーズやトレンド
- ターゲットと既存顧客の優先順位
ターゲット設定が不十分な状態でMAツールの運用を始めると、顧客に的外れなアプローチをしてしまう可能性もあります。
②MAツールで解決したい課題が設定されているか?
MAツールはさまざまな機能を有しており、企業が抱える課題に応じて活用方法を変えられます。
そのため、MAツールの導入に先立ち、自社で解決を目指す具体的な課題を明確にしておく必要があります。
- リード(見込み客)獲得数が不足している
- 商談に至るリード育成プロセスが非効率的で改善の余地がある
- 既存顧客との継続的な関係構築が不十分である
解決すべき課題を把握し、MAツールの機能とマッチングさせることで、課題解決の糸口が見えてくるはずです。
③社内連携が可能な体制が用意されているか?
MAツールで業務の効率化を図るなら、社内の部門間連携が不可欠です。
MAツールは主にマーケティング部門が中心となって運用されます。しかし、営業部門や商品企画部門、さらには経営層などとの綿密な連携も欠かせません。
業務内容 | マーケティング部門と連携すべき部門 |
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ターゲット設定やペルソナ特性の共有 | 営業部門 |
リードスコアリングの基準設定 | 営業部門 |
効果測定、次回の施策検討 | 経営層 |
システム開発や改修の優先度合いの調整 | システム部門 |
まとめ
本記事のまとめです。
- MAツールとは、「マーケティングや営業に関する業務を自動化するためのツール」を指す。
- メール配信の自動化や見込み顧客の育成など、MAツールで解決できる課題は多岐に渡る。
- MAツールを導入する場合は、自社のターゲットや解決すべき課題を明確にしておく必要がある。
MAツールの導入によって、マーケティング部門や営業部門の業務を効率化し、顧客に対して的確なアプローチが可能です。
そして、MAツールの導入は早ければ早いほど、機会損失を避けられます。
貴重な販売機会を逃さないためにも、速やかにMAツールの導入を検討してみてくださいね。