新事業を始める際や新商品を発売するときに、必ずといっても良いほど必要になるのが、ペルソナの設定です。
ペルソナを設定することで、顧客の目線で商品やサービスを開発したり販売したりできます。
しかし、ペルソナ設定のやり方まではわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ペルソナは知っているけれど、設定の仕方までは知らない
ペルソナ設定って、どのような効果や活かし方があるのかわからない
ペルソナ設定の方向性を間違えてしまうと、せっかくの新事業が失敗に終わってしまう恐れもあるでしょう。
新事業や新商品を成功させるためにも、この記事ではペルソナを設定する方法を具体的に解説すると同時に、項目例や注意点などもご紹介していきます。
ペルソナ設定でお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に適切な顧客像を作り上げ、マーケティングに活かしてください。
ペルソナ設定とは
ペルソナとは「自社の商品やサービスを買ってくれる典型的な顧客の具体像」のことです。このペルソナを適切に設定していくことを、ペルソナ設定といいます。
ターゲットという言葉と間違われることが多いようですが、ペルソナはターゲットからさらに的を絞った具体像です。
たとえば、大人向けの新しい化粧水の販売を考えるときに「40代の女性/美容に興味がある」という大まかな設定ではターゲットとなります。
一方で「名前は〇〇/42歳の女性/主婦/趣味はお買い物で美容には特に興味がある」というように、名前や年齢から趣味趣向まで詳細な情報を決めるのがペルソナです。
ペルソナを設定する意味と3つの効果
ペルソナ設定の概要はわかりましたが、そもそもペルソナを設定すること自体に意味はあるのでしょうか。
結論から申し上げると、ペルソナを設定する意味は大いにあります。開発やマーケティングにおいて、的確な市場で商品やサービスを販売するためには欠かせないプロセスです。
ペルソナが設定されることで、顧客の目線に立ちやすくなり、商品やサービスが売れやすくなります。
また、ペルソナを設定することで期待できる効果が大きく分けて3つありますので、一つずつ詳しい内容をみていきましょう。
- 社内やプロジェクトチームで同じ人物像を共有できる
- 顧客に最適なアプローチができる
- 顧客目線で商品やサービスの改善ができる
1.社内やプロジェクトチームで同じ人物像を共有できる
社内やプロジェクトチームで同じ人物像を共有できていないと、認識のズレから適切な商品開発やマーケティングを行うことが難しくなります。
たとえば「40代の男性会社員」というと、それぞれが異なる人物像を想像しても不思議ではありません。別々の顧客像をイメージしながらだと、意見が食い違ったり課題解決の方向性がバラバラだったりするでしょう。
一方で「ビール好きの42歳、新事業部の責任者である男性会社員のKさん」と細かい設定を行うと、社内やチーム内で同じ人物像を共有できます。新商品の企画から販促活動まで、共通の顧客に向けて事業計画を進めることが可能となるでしょう。
いわばペルソナは、方位磁針のようにゴールまでの方向を示してくれる役割を果たします。
2.顧客に最適なアプローチができる
ペルソナを設定すると、自社の商品やサービスを適切な市場で最適なアプローチが行えるようになります。
たとえば「このペルソナは何を欲しているのか」「何に悩んでいて、どう解決したいのか」を考えることで、顧客に向けて刺さるアプローチが可能です。
ペルソナの行動や趣味趣向を的確に射ることで、実際の顧客にも共感してもらいやすくなるでしょう。より濃いファンに自社の商品やサービスを気に入ってもらえれば、市場においても優位性を獲得できるかもしれません。
3.顧客目線で商品やサービスの改善ができる
ペルソナを設定することで、顧客目線で商品やサービスの改善ができます。
たとえば「もっとカラーバリエーションを増やしてほしいのかも」「ここが不評だから改善したら良いかも」など、顧客目線で改善することが可能です。
また、行動パターンやライフスタイルを細かく分析し、より最適な市場で商品やサービスを打ち出せるかもしれません。
ペルソナの設定は、自社製品の優位性を高めるためにも効果的です。
ペルソナの設定方法3STEP
ペルソナの設定方法を、3つのSTEPに分けて解説していきます。
適切にペルソナを設定できれば、顧客の目線に立ちながら、売れる商品やサービスの開発からマーケティングまでを計画できるでしょう。
ペルソナ設定は、新事業を立ち上げる際や商品の改善を行うときに最適ですので、ぜひ参考にしてください。
- 自社の商品やサービスを分析して買ってくれそうな人を想像する
- ペルソナに必要な情報を集める
- ペルソナの人物像を詳細に設定して改善を繰り返す
1.自社の商品やサービスを分析してペルソナの項目を決定する
ペルソナの設定には、まず自社の商品やサービスを分析することから始まります。市場での立ち位置を的確に把握し、競合他社との違いや類似点を洗い出します。
そして、自分たちの会社がどのようなニーズに応えられるのか、はたまたどのように価値提供ができるのかを分析しましょう。
分析した結果に基づいて、自社の商品やサービスを買ってくれそうな人を想像し、ペルソナに必要な項目を決めます。あくまで自社製品を売るために必要な項目を追加していくのであって、無闇にペルソナの項目を増やしても意味がありません。
「これを設定した方が、販促活動に活きるだろう」という視点で、ペルソナの項目を決めていきましょう。
2.ペルソナに必要な情報を集める
ペルソナに必要な項目を決めたら、情報を収集していきます。情報収集には、お客さまへのアンケートやホームページのアクセス解析などがあります。
- お客さまへのアンケートやインタビュー
- 営業担当にインタビュー
- 自社のホームページやECなどのデータ分析
- SNSの口コミ調査
- 公的機関のデータ分析
ペルソナは「自社の商品やサービスを買ってくれる典型的な顧客の具体像」のため、情報を無視した独り善がりなユーザー像では意味がありませんので、注意が必要です。
既存の商品やサービスであれば、それを使っている既存ユーザーから直接情報を集められます。
しかし、まったくの新しい商品やサービスであれば、一から情報を集めなければなりません。ターゲット層へのアンケートやインタビュー調査、SNSの動向、公的機関のデータなどからの情報を参考にしましょう。
3.ペルソナの人物像を詳細に設定して改善を繰り返す
ペルソナに必要な情報を収集したら整理をして、決定した項目に沿って具体的な顧客像に落とし込みます。
最初から完全な人物像を目指さず、情報をもとにした大枠から肉付けしていくイメージでペルソナを設定していきましょう。
せっかく集めた情報が無駄にならないよう、自社にとって本当に必要な情報を精査することも必要です。
ペルソナを設定したら、実際のマーケティング活動に活用していきながら、改善を繰り返します。市場環境が変われば、顧客のライフスタイルや好みも変化していくため、同じペルソナを設定し続けるのは危険です。
市場の変化を敏感に察知しながら、臨機応変にペルソナを見直す必要があります。
ペルソナ設定に必要な項目例
ペルソナ設定のやり方は、ご理解いただけたでしょうか。
では、実際にペルソナを設定するうえで、どのような項目が必要になるのでしょうか。以下に、一般的な項目例を並べてみました。
- 氏名
- 性別
- 年齢
- 住所
- 職業(役職)
- 年収
- 家族構成
- 趣味
- 交友関係
- 性格
- 価値観
- 悩み
- ライフスタイル(休日の過ごし方やルーティンワークなど)
ペルソナの設定には、細かい情報を決定する必要があります。氏名や性別などの基本的な情報から、職業や年収、その人の性格と価値観、ライフスタイルまで詳細に設定しましょう。
細かく設定することで具体的な顧客像ができあがり、より顧客のニーズに合わせた商品づくりや集客方法を考えることが可能です。
ペルソナの設定に必要な項目というのは企業によって異なり、決まったフォーマットがあるわけではありません。項目例を参考に自社の製品に最適だと思われる項目があれば付け足したり、不要ならば外したりしてください。
こちらの記事でもペルソナ設定の項目例を解説しているので合わせてお読みください。
ペルソナ設定で気をつけるべきこと3つ
ペルソナ設定で気をつけるべきことを、3つご紹介いたします。
ペルソナを作り込むことに必死になりすぎて、根本的な問題を忘れてしまっては意味がありません。あくまでペルソナを設定することは、商品やサービスを最適な市場で売るためであり、会社の利益を追求するためです。
ペルソナ設定で失敗してしまうと、開発や販促活動にも悪影響が出てしまうため注意しましょう。
1.理想を作らない
一つ目に気をつけるべきことは、自分たちの理想を作らないことです。
ペルソナは、その商品を買ってくれる典型的な顧客像です。理想的な人物像は、自分たちの独りよがりな理想像にすぎず、本当の意味で顧客の目線からは考えられません。
典型的なペルソナを作り込むには、情報収集が肝心な役割を果たします。ペルソナに客観性を持たせ、できる限り「こうであってほしい」という理想を組み込まないよう注意しましょう。
客観的に人物像を作り込めれば、実際の顧客のニーズも満たせて、狙い通りの成果が出しやすくなります。
2.主観や先入観を持ち込まない
「この商品を買う人はこんな人だ」「この商品は絶対この市場で売れる」などの主観や先入観は捨てましょう。
ペルソナを設定することは、ユーザーの悩みや要望を的確に想像することが目的です。顧客が何を考えて何が欲しいのかは、データやインタビューなどの客観的部分に存在します。
そのため主観や先入観を持ち込んでしまうと、顧客の立場から遠ざかってしまい、顧客目線の商品・サービスづくりができなくなってしまいます。
ペルソナの設定時は、なるべく主観や先入観を持ち込まないよう注意しましょう。
3.定期的に見直す
ペルソナは、一度作ったら「はい、終わり」ではありません。
市場の環境や流行の変化があれば、その都度見直していかなければいつしか誤った方向に進んでいってしまいます。
時間が経過すれば、私たちと同じようにペルソナのライフスタイルや価値観も変化していくため、常に客観的な目線でペルソナをアップデートしていくと良いでしょう。
また、プロジェクトを進めていくなかでペルソナの設定に疑問が生じた際なども、見直しが必要です。チーム内でギャップが生まれないよう、再度情報を精査して最適なペルソナを設定し直してみましょう。
ペルソナ設定のコツ2つ
より効果的なペルソナを設定するためのコツを、2つご紹介していきます。
ペルソナづくりにおいてイメージが湧かない方や、より効果的にペルソナを設定したい方は、参考にしてください。
1.身近な人をペルソナの参考にする
ペルソナを設定する際に、架空の人物像をデータで作り上げていくのは難しい作業です。
しかし、身近な人を参考にできれば、具体的な顧客像が浮かびやすくなります。
新商品や新サービスの典型的な顧客像にピッタリであれば、友人や家族を参考にすることも良い手です。
2.ビジュアルを作ってみる
ペルソナを具体的にイメージするために、ビジュアルの作成も効果的です。
ペルソナの顧客像がよりリアルになり、社内やチーム内での共通認識が深まるでしょう。
ペルソナを設定したらビジネスにどう活かせば良い?
ペルソナを設定したら、どのようにビジネスへつなげていけば良いのでしょうか。
この章では、ペルソナ設定をビジネスに活かす方法を3つに分けてご紹介いたします。
- 最適なマーケティングの施策を考える
- 新しい商品やサービスの開発のアイデアにする
- 既存の商品やサービスの改善点を洗い出す
1.最適なマーケティングの施策を考える
ペルソナを設定したら、商品やサービスをどのように売り出していけば良いのかが、わかるようになります。
ペルソナの行動範囲やよく行くお店、情報収集に使うツールなどを把握していれば、的確に商品・サービスの広告を打つことが可能になるでしょう。
2.新しい商品やサービスの開発のアイデアにする
新商品を作る際、ペルソナで設定した人物が喜ぶ商品を想像してみましょう。顧客目線でアイデアを出すことで、ユーザーに好まれる商品・サービスが作れるようになります。
具体的なペルソナを設定し、新しい商品やサービスを開発するアイデアの起点としましょう。
3.既存の商品やサービスの改善点を洗い出す
ペルソナを設定することで、既存の商品やサービスの改善点を的確に把握することが可能です。
既存の商品やサービスであれば、すでに使用しているユーザーからの声を聞きやすいため、積極的に顧客の意見を取り入れて改善につなげましょう。
よくある質問
ペルソナ設定とは?
自社の商品やサービスを買ってくれる、典型的な顧客の具体像のことです。
ペルソナとターゲットとの違いは?
ターゲットは層で、ペルソナは個人です。たとえば、ターゲットは「30代男性」などの大まかな層で、ペルソナは「〇〇さん/31歳/会社員/既婚/趣味はゴルフ」などの具体的な人物像を指します。
ペルソナはどこまで細かく設定する?
ペルソナの人物が、ありありと浮かぶほど細かく設定します。商品やサービスによって最適な項目は異なります。
ペルソナ設定の時代は終わった?
終わっていません。企業の商品開発やマーケティングにおいて、欠かせない工程です。
まとめ
- 自社の商品やサービスを分析して買ってくれそうな人を想像する
- ペルソナに必要な情報を集める
- ペルソナの人物像を詳細に設定して改善を繰り返す
ここまで、ペルソナの設定方法を詳しく解説してきました。
自社の商品やサービスを分析して、購入してくれそうな人物を想像したら、ペルソナに必要な情報を集めます。その情報を整理して、ペルソナの人物像を細かく設定していきましょう。
ペルソナを適切に設定することで、事業を円滑に進めると同時にユーザーにとって高い価値を提供できるようになります。
ぜひこの記事を参考にペルソナを設定して、マーケティングや新事業の開発に活かしてください。