ペルソナを設定する際、作成に時間がかかって悩んでいる方も多いでしょう。ペルソナは多くのマーケティング施策で取り入れられており、テンプレートも豊富に提供されています。
今回は無料で利用できるペルソナのテンプレートを4選、作り方や設定時の注意点とあわせて紹介します。本記事を読めば、テンプレートを利用して自社商品・サービスのペルソナをスムーズに設定可能です。
精度の高いペルソナを設定し、売上向上などのマーケティング成果につなげましょう。
ペルソナとは自社製品・サービスの顧客像
ペルソナとは、企業が製品やサービスを提供する際に想定する理想的な顧客像です。つまり、ターゲットとする顧客の属性・行動パターン・ニーズなどを具体的に設定したものが「ペルソナ」と呼ばれます。
効果的なペルソナを作成すれば、企業は顧客に寄り添ったマーケティング活動が可能です。ペルソナには年齢・性別・職業・収入・趣味などの基本情報に加え、購買行動の特徴や製品・サービスに対する考えなども含まれます。
ペルソナを詳細に設定すれば顧客一人ひとりのニーズをより深く理解でき、製品・サービスの開発や広告の訴求内容を最適化できる点がメリットです。
ペルソナを活用したマーケティングは顧客ニーズにフィットした購買体験を提供し、ブランドロイヤリティの向上にもつながります。
ペルソナの無料テンプレート4選【BtoB・BtoCマーケティング対応】
マーケティング活動において、ペルソナを作成するのは非常に重要です。しかし、ペルソナ作りは手間と時間がかかる作業でもあります。以下では、無料で利用できるペルソナテンプレートを4つ紹介します。
- マーキャリ(パワーポイント)
- figma(PDF)
- miro
- 採用スマートナビ(パワーポイント)
ペルソナを作成する際は、上記テンプレートを活用してください。
マーキャリ(パワーポイント)
マーキャリが提供するペルソナのテンプレートは、シンプルな設計となっています。テンプレートには趣味・特技・収入・職業など、ペルソナ作りに欠かせない項目が網羅されている点が特徴です。
パワーポイントならではの視覚的な分かりやすさも魅力で、ペルソナの共有や説明資料としても活用できます。基本的な項目を押さえているため、業種・業界に限らず幅広く利用できる点がメリットです。
figma(PDF)
figmaが無料で提供しているペルソナテンプレートは、シンプルかつ洗練されたデザインが特徴です。PDF版に加えて、デザインツールのfigmaで使えるファイル形式も用意されています。
職種・居住地などの基本情報に加えて内面傾向・行動特性といった項目が用意されており、BtoC・BtoBマーケティングの両方で活用可能です。印刷してアナログな作業もでき、デジタルデータとしても扱えるのが便利です。
miro
miroは、ビジネスでの共同作業をサポートするサービスです。サービス内で利用できるペルソナのテンプレートが用意されています。
複数人でリアルタイムに編集できるため、社内の関係者と連携しながらペルソナ作成を効率的に進められる点がメリットです。行動・内面特性や価値観など、ペルソナの思考に焦点を当てた項目が用意されています。
採用スマートナビ(パワーポイント)
採用スマートナビが提供するペルソナのテンプレートは、人材採用向けに設計されています。年齢・性別・趣味などの基本項目に加え、「応募企業に求めるもの」など自社にマッチした人材を見つけるためのポイントもがまとめられている点も特徴です。
人事部門で活用できる実用的なテンプレートとなっています。ビジョンや文化など自社の背景を整理できる項目も含まれており、効率的にペルソナ作成を進められます。
ペルソナの作成例
ペルソナを作成する際の具体的なイメージをつかむには、実際の作成例を見るのが一番分かりやすいです。以下の表では、BtoCの製品・サービス向けのペルソナの作成例を紹介します。
年齢 | 70歳 |
職業 | 元会社員(現在は年金と貯蓄で生活) |
収入 | 300万円 |
家族構成 | 妻と2人暮らし |
人となり・ライフスタイル | 退職後は旅行や料理、ガーデニングなどの趣味を楽しむアクティブなシニア。健康で活動的な毎日を送りたいと考えている。 |
課題・不安に思っていること | 加齢に伴う体力の低下が気がかり。認知症にもなりたくないので、脳を常にアクティブに使いたい。 |
上記のように、ペルソナには基本情報に加えて人となり・ライフスタイルや課題などの思考面も記載します。具体的で実在する人物のような作りこみが重要です。詳細なペルソナを作れば、顧客に寄り添った製品開発やマーケティング施策が可能となります。
ペルソナの作り方は4ステップで行う
では実際にペルソナはどのように作成するのでしょうか?ペルソナを作成するプロセスは、大まかに4つのステップに分けられます。
- ターゲットの選定
- ターゲットに関する情報収集
- 収集した情報をもとにペルソナを設定
- 定期的なペルソナの見直し
以下では、各ステップの具体的な内容とポイントを説明します。
1.ターゲットの選定
ペルソナを作成する前に、まずはターゲットとなる顧客層を特定する必要があります。たとえば、新商品の購入者や既存商品の利用者など狙うべきセグメントを明確にしましょう。
ターゲットが絞れていないと、ペルソナの設定が曖昧になってしまいます。事業の目標や商品特性などを踏まえて、最適なターゲットを選び出すのがポイントです。
2.ターゲットに関する情報収集
次に、選定したターゲット層に関する情報を収集します。具体的には、以下の項目があげられます。
- 基本属性(年齢・性別・居住地など)
- ライフスタイル・日常生活の行動パターン
- 価値観
- 趣味・嗜好
- 課題・悩みごと
- 自社・競合他社サービスの利用状況
- 安さ・利便性など製品・サービスを選ぶポイント
アンケート・インタビュー・街頭調査など、さまざまな手法を組み合わせた情報収集が必要です。
3.収集した情報をもとにペルソナを設定
収集した情報をもとに、いよいよペルソナの設定を行います。ペルソナには、基本情報に加え、人となりやライフスタイル・行動特性・課題や悩みごとなども盛り込みます。具体的には、以下の項目を記載してペルソナを設定するのが一般的です。
- 氏名
- 年齢・性別・住所などの基本プロフィール
- 購買する商品・サービスの傾向
- 収入
- 職業
- 家族構成
- 価値観
- ライフスタイル
ペルソナは収集した情報をなるべく多く盛り込み、具体性を持たせることが大切です。ただし、製品・サービスに関連しない項目まで盛り込む必要はありません。必要な情報を盛り込んだうえで、分かりやすいシンプルなペルソナを設定しましょう。
4.定期的なペルソナの見直し
最後に、ペルソナを定期的に見直すことが重要になります。ペルソナは一度設定したら終わりではありません。
市場環境の変化・顧客ニーズの変遷に合わせて、ペルソナの内容を適宜アップデートする必要があります。
ペルソナの項目例
ペルソナを作成する際には、具体的な項目を設定する必要があります。ここでは、ペルソナに含める主な項目例をご紹介します。
設定項目 | 具体例 |
基本情報 | 年齢性別職業収入居住地域家族構成 など |
人となり・ライフスタイル | 趣味興味関心価値観夢や目標1日の過ごし方 など |
行動特性 | 製品やサービスの購入動機情報収集経路WebやSNSの利用実態意思決定プロセス など |
課題・悩みごと | 製品・サービスへの不安や懸念事項ストレスの原因となる事柄日常生活の課題 など |
製品・サービスへの期待 | 求める機能や利便性価格設定サポート体制 など |
ペルソナには、さまざまな側面から詳細な情報を盛り込む必要があります。基本情報はもちろん、人となりや行動特性、課題やニーズなどを具体的に設定するのが重要です。
上記項目を網羅的に記載すれば、リアルな顧客像を描き出せます。
ペルソナ作成時の注意点3つ
ペルソナを効果的に活用するためには、綿密な情報収集をしたうえでの作成が欠かせません。以下では、ペルソナ作成における3つの注意点を説明します。
- BtoB・BtoCで作成時のポイントが異なる
- 現実的なペルソナを作成する
- 自社製品・サービスに関連した内容を盛り込む
ペルソナ作成時は、上記の注意点を意識しましょう。
1.BtoB・BtoCで作成時のポイントが異なる
ペルソナを作成する際、BtoBとBtoCでは異なるポイントに留意する必要があります。BtoBでは顧客が法人となるため、意思決定に関わる役職や職務、業界の課題や動向など企業側の視点にたった情報収集・項目設定が重要です。
一方のBtoCでは、個人のライフスタイルや価値観、行動パターンなどに焦点を当てる必要があります。
2.現実的なペルソナを作成する
現実的なペルソナを作成しましょう。ペルソナは架空の人物ですが、あくまでも実在しうる顧客像でなければなりません。理想論・一般論に終始せず、自社のユーザー像を鮮明に表す具体的でリアリティのある内容にする必要があります。
現実的なペルソナ作成のためには、データに基づく裏付けと顧客への深い理解が不可欠です。アンケート・インタビュー・街頭調査などを通じて、顧客の生の声を収集・分析してペルソナに反映させましょう。
3.自社製品・サービスに関連した内容を盛り込む
ペルソナには、自社の製品やサービスに関連する情報を盛り込むのが重要です。たとえば、課題や悩み事、購買動機など顧客が製品やサービスをどのように捉えているかを具体的に描写します。
上記の内容を取り入れればマーケティング・製品企画に直接活かせるため、ペルソナの本来の目的を果たしやすくなります。一方で、必要ない情報を設定しすぎると分かりにくくなるだけでなく、調査の時間・コストも大きくかかってしまうのがデメリットです。
ペルソナを作るうえでのよくある失敗例3選
ペルソナはマーケティングにおいて非常に有効なツールですが、適切に活用できないと本来の目的を達成できません。以下では、ペルソナ作成時によくある失敗例を3つ紹介します。
- ペルソナを不必要に多く作る
- 現実からかけ離れたペルソナを設定してしまう
- ペルソナを設定しただけでマーケティング施策に活用していない
上記を参考に、失敗しやすい要因への対策を講じましょう。
1.ペルソナを不必要に多く作る
ペルソナを作りすぎるのは大きな失敗の一つです。たしかに複数のペルソナを設定すれば、より多くの顧客層をカバーできます。
しかし、多すぎると個別のペルソナの特徴が曖昧になり、マーケティングの的を絞りにくくなってしまいます。情報量も多くなり、チームメンバー間での情報共有も上手くいかなくなります。
目的に応じて最低限のペルソナ数を設定し、深く掘り下げた内容にするのが大切です。商品・サービスごとに1〜2つのペルソナを用意しましょう。
2.現実からかけ離れたペルソナを設定してしまう
現実からかけ離れたペルソナを設定してしまうのも、よくある失敗例です。根拠のない想像だけで設定すると、顧客実態から外れたペルソナになってしまいます。
アンケートやインタビューなどを通じて顧客データを収集・分析し、実態に即したペルソナを作り上げるのが重要です。マーケティング施策も効力を発揮しやすく、売上の向上など成果につながりやすくなります。
3.ペルソナを設定しただけでマーケティング施策に活用していない
ペルソナを設定しただけでマーケティング施策に活用していないケースも、よくある失敗例です。ペルソナの特性を踏まえたうえで商品・サービスの企画や販促施策を立案し、実行にしましょう。
また、定期的にペルソナの見直しを行い、市場環境の変化に合わせて施策を修正していくのも欠かせません。検証〜改善のサイクルを怠ると顧客ニーズの変化があったときに対応できず、販売が伸び悩むなどの問題に直面します。
ペルソナだけでなくカスタマージャーニーの作成も大切
ペルソナと合わせて、カスタマージャーニーマップの作成も欠かせません。ペルソナはマーケティングにおいて非常に重要なツールです。しかし、顧客体験で得られる価値を最大化するためにはペルソナだけでは不十分です。
カスタマージャーニーマップとは顧客が製品・サービスに出会ってから購入・利用し、次の製品へと移行するまでのプロセスを可視化したものです。一般的に、顧客は商品を購入するまでの以下のプロセスを経ます。
- ニーズの認識
- 商品・サービスの認知
- 他社商品・サービスとの比較検討
- 自社商品・サービスの購入・利用
- 商品・サービスの継続・再購入
カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客の行動や心理をよりリアルに把握できる点がメリットです。たとえば、「製品購入前の情報収集段階でどのような不安や疑問を抱くのか」「実際に利用した際の感想はどのような傾向か」なども分かります。
各プロセスごとに得られる顧客行動・心理情報を活用すれば、タッチポイントごとに最適なコミュニケーション施策を立案できます。ペルソナとリンクさせて、個々の顧客層に合わせた購買体験の提供も可能です。
ペルソナはあくまで顧客特性を示すものです。一方のカスタマージャーニーマップは、顧客がどのような購買体験をするのか把握するツールとなります。
ペルソナの具体的な2つの活用方法
ペルソナを作成しただけでは意味がありません。重要なのは、実際のマーケティング施策に活かすことです。以下では、ペルソナの具体的な活用方法として2つ紹介します。
- SNSマーケティングへの活用
- コンテンツマーケティングへの活用
ペルソナを設定したあとは、上記を中心に実際のマーケティング施策に活かしましょう。
1.SNSマーケティングへの活用
SNSマーケティングにおいて、ペルソナは非常に有効なツールとなります。ペルソナの属性や行動特性から、どのSNSチャネルでのアプローチが適しているかが分かるためです。たとえば、InstagramやTikTokをよく利用している若年層のペルソナであれば、該当するプラットフォームへのアプローチが重要になります。
また、ペルソナの人となりや興味関心に合わせて投稿内容・クリエイティブを最適化できます。ペルソナに合った写真・動画・キャッチコピーを用意すれば、よりユーザーへ響きやすいSNSコンテンツの制作も可能です。投稿時間なども調整し、ペルソナの行動パターンに合わせて露出を高める施策も実行できます。
ペルソナを活用すれば、SNSマーケティングの精度を格段に上げられる点がメリットです。ニーズにあったコンテンツを届けられるだけでなく、ターゲットとなる顧客層の獲得につながります。
2.コンテンツマーケティングへの活用
コンテンツマーケティングにもペルソナは大いに役立ちます。まずは、ペルソナごとに興味・関心のある分野を特定し、潜在的なニーズを把握しましょう。ニーズに合わせて、ブログ記事・メールマガジンなどのコンテンツを企画・制作します。
さらに、ペルソナの属性や課題に合わせてコンテンツの内容を最適化するのも重要です。たとえば、ビジネスパーソンのペルソナであれば、業務で使われる論理的な言葉表現を使った解説・実例を交えるのが有効です。
ペルソナごとに適切なコンテンツを用意できれば、情報発信で関心を引きつけてサイトへの流入やリードの獲得にもつなげられます。コンテンツマーケティングにおいて、ペルソナの活用は必須の取り組みです。
まとめ
ペルソナとは、企業が製品やサービスを提供する際に想定する理想的な顧客像です。顧客属性・行動パターンなどを詳細に設定すれば、ユーザーにマッチした購買体験を提供でき、ブランドロイヤリティの向上にもつながります。
ペルソナを作成するには、ターゲット選定・情報収集・ペルソナ設定・定期的な見直しの4ステップが重要です。収集する情報としては基本情報に加え、人となり・行動特性・課題などを盛り込みます。BtoBとBtoCで留意点が異なり、現実的で自社の製品につながる内容で作成するのがポイントです。
ペルソナが多すぎると特徴が曖昧になる一方、根拠のない想像だけでは現実離れしてしまいます。作っただけでなく、マーケティング施策に活用するのが大切です。