【誰でもわかる】マーケティングファネルの完全ガイド|施策例や成功事例も紹介

Marketing Funnel
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「デジタルマーケティングで成果が出ない…」 そう悩んでいませんか? 顧客単価や購買行動が多様化する現代において、やみくもに施策を打つだけでは、顧客獲得は難しくなっています。

成功の鍵を握るのが、顧客の購買プロセスを可視化する「デジタルマーケティングファネル」です。

本記事では、デジタルマーケティングファネルの基礎から、各段階に応じた具体的な施策例、成功事例と失敗例、そしてファネル構築のポイントまで徹底解説します。
これを読めば、顧客理解を深め、それぞれの顧客に最適なタイミングで最適な情報を届けることで、成約率の高い、効率的なマーケティング戦略を構築できるようになるでしょう。

目次

デジタルマーケティングファネルとは

デジタルマーケティングファネルとは

デジタルマーケティングファネルとは、簡単にいえば「お客様が買い物をするまでの道のり」を表した図です。

ファネルとは英語で「funnel」、漏斗(ろうと)という意味で、下の画像のように下がすぼまった形状の図で説明したフレームワークとなります。

ファネル構造
参照:https://www.innovation.co.jp/urumo/funnel/

見込み客が「初めて製品やサービスを知ってから最終的に購入するまで」のプロセスを示しているのね。見込み客が顧客になるまでの間に絞られていくから漏斗のように、上から下に向かって段階的になっているわ。

「顧客獲得のプロセス」を可視化するフレームワーク

マーケティングファネルは、見込み顧客が商品やサービスの購入に至るまでのプロセス「ファネル(漏斗)」の形に図式化したフレームワークです。顧客の心理段階を段階的に示すことで、それぞれの段階に応じた適切なマーケティング施策を検討できます。

例えば、Webサイトへのアクセス状況や検索キーワード、SNSでの反応などを分析することで、顧客の興味関心を把握し、パーソナライズされたコンテンツを提供することが可能になります。

以下は従来のマーケティングファネルです。AIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)といった消費者行動モデルが一般的でした。

段階説明
認知段階商品やサービス、企業の認知
興味関心段階商品やサービス、企業への興味・関心
検討段階購入を検討し始める段階
購入・契約段階実際に商品を購入、またはサービス契約
従来のマーケティングファネル

進化した最新のデジタルマーケティングファネル

しかし、近年のデジタル化の進展に伴い、顧客行動は従来よりも複雑化しており、購買プロセスは直線的ではなくなっています。

従来のファネルモデルでは、マス広告やダイレクトメールなど、不特定多数へのアプローチが中心でした。一方で現在のデジタルマーケティングでは、WebサイトやSNS、メールマガジンなどを通じて、顧客一人ひとりに合わせた情報発信やコミュニケーションが可能に

顧客はさまざまな情報に触れながら、比較検討や情報収集を繰り返すようになり、企業側も顧客との接点を数多く持つことが可能になったのです。
そのため、デジタルマーケティングファネルでは、従来のファネルモデルに加え、以下の2つの段階が重要視されています。

段階説明
リピート・推奨段階商品の再購入やサービスの継続利用、口コミやSNSでの推奨
ファン化段階企業やブランドの熱狂的なファンになる
最新のマーケティングファネルに追加された

複雑化した顧客行動に対応

以上ように、デジタルマーケティングファネルは、従来のファネルモデルを進化させ、複雑化した顧客行動に対応したフレームワークと言えるでしょう。

デジタルマーケティングにおいて、顧客との関係構築、そして最終的なコンバージョン達成を成功させるためには、このデジタルマーケティングファネルを理解し、それぞれの段階に応じた適切な施策を実施していくことが重要です。

マーケティングファネル4つの段階と具体的な施策例

デジタルマーケティングファネルの4つの段階

ではマーケティングファネルの4つの段階を順番に解説しますので、それぞれの段階にやるべき施策を具体的にみていきましょう。

ファネル段階顧客の心理状況有効な施策例
認知段階問題やニーズを認識していない状態SEO対策による情報発信 SNS広告による認知拡大 ブログ記事や動画コンテンツによる情報提供
興味関心段階問題やニーズを認識し、解決策を探し始める状態ターゲティング広告による興味関心の喚起 無料コンテンツ提供による顧客情報獲得 比較サイトへの掲載
検討段階具体的な商品やサービスを比較検討している状態商品ページへの誘導 顧客の声やレビューの掲載 オンライン相談やセミナーの実施
購入・契約段階購入を決断し、行動に移す状態購入手続きの簡素化 クーポンや割引による優待 安心できる保証制度
リピート・推奨段階商品やサービスを再利用したり、他者に推奨したりする状態ロイヤルティプログラムの導入 アフターフォローの充実 口コミ投稿キャンペーン

1.認知段階

認知段階は、ターゲットとなる見込み顧客に、自社の商品やサービス、ブランドの存在を知ってもらうための段階です。

この段階では、まだ商品やサービスの購入意欲は低いため、潜在的な顧客層に対して、いかにリーチを拡大し、認知度を高めるかが重要になります。

認知段階における顧客の心理

認知段階の顧客は、まだ自社の商品やサービスについてほとんど知りません。そのため、以下の様な心理状態であると考えられます。

  • 問題やニーズを顕在化していない
  • 解決策を探していない
  • 自社の商品やサービスがその解決策になり得ることを知らない

認知段階の主な施策例

認知段階では、幅広い層にリーチできるマーケティング施策が有効です。

  1. SEO対策
  2. ディスプレイ広告
  3. SNS広告
  4. 動画広告
  5. インフルエンサーマーケティング
  6. PR

1.SEO対策
検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略で、Googleなどの検索エンジンの検索結果ページで自社のWebサイトを上位表示させるための施策のこと。
認知段階では、ターゲットとなる見込み顧客がどのようなキーワードで検索しているかを分析し、関連性の高いキーワードで検索した際に、自社のWebサイトが上位表示されるように対策することが重要。

例えば、「ウォーターサーバー おすすめ」「ウォーターサーバー 比較」といったキーワードで検索するユーザーをターゲットにする場合、これらのキーワードで上位表示されるように、Webサイトのコンテンツ内容やタイトル、メタディスクリプションなどを最適化。また、被リンク獲得などの外部対策も重要になる。

SEO対策によって、潜在顧客層が抱える課題やニーズに関連するキーワードで検索した際に、自社のWebサイトを上位表示させることで、認知を獲得することができる。

2.ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠に掲載される画像や動画を使った広告。ターゲットとなる見込み顧客の属性や興味関心に基づいて広告配信を行うことができるため、効率的に認知度を高めることが可能。

例えば、ウォーターサーバーに興味関心がありそうなユーザーの年齢層や性別、居住地などを指定して広告配信を行うなど。
また、特定のWebサイトやアプリを閲覧しているユーザーに対して広告を表示することも可能。ディスプレイ広告は、視覚的に訴求力の高い広告配信が可能になるため、ブランドイメージの向上や新規顧客獲得に効果的といえる。

3.SNS広告
Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォームで配信される広告。各プラットフォームのユーザー属性や興味関心に基づいて広告配信を行うことができる。

例えば、ウォーターサーバーの広告を配信する場合、「健康志向の高いユーザーや子育て中のユーザー」などをターゲットに設定する。また、SNS広告では、ユーザーのフォローやいいね!などのアクションを促すことができるため、エンゲージメントを高め、ブランドに対する共感を醸成できる点もメリット。

4.動画広告
YouTubeなどの動画プラットフォームやWebサイト、SNSなどで配信される広告。
動画は、テキストや画像よりも多くの情報を伝えることができる。そのためユーザーの感情に訴えかける力も強く、ブランドイメージの向上や商品・サービスの理解促進に効果的

例えば、「ウォーターサーバーの機能や使い方を分かりやすく解説した動画広告」を配信することで、ユーザーの興味関心を高め、購入意欲を高めることが可能。また、動画広告は、スキップできる形式とスキップできない形式があるため、目的に合わせて使い分けることが重要。

5.インフルエンサーマーケティング
SNSやブログなどで影響力を持つインフルエンサーに、自社の商品やサービスをPRしてもらうマーケティング手法。インフルエンサーは、多くのフォロワーを持ち、その発信内容がフォロワーに大きな影響を与えるため、効率的に認知度を高められるのがメリット。

例えば、ウォーターサーバーのインフルエンサーマーケティングでは、「健康や美容に関心の高いインフルエンサー」に、自社のウォーターサーバーを実際に使用してもらい、その使用感やメリットをSNSで発信してもらうといった方法。
フォロワーがインフルエンサーの投稿を見て、自社のウォーターサーバーに興味関心を持ち、購入を検討してくれると考えられる。インフルエンサーマーケティングは、広告よりも自然な形で商品やサービスをPRできるため、ユーザーの反発や抵抗感を抑えながら、認知度向上や購買意欲向上を図ることができるといえる。

6.PR
Public Relationsの略で、新聞や雑誌、テレビなどのメディアに取り上げてもらうことで、認知度向上やブランドイメージの向上を図るマーケティング手法。PR活動を通じて、第三者であるメディアに自社の商品やサービスの優位性を客観的に評価してもらうことで、信頼性や権威性を高められる。

例えば、ウォーターサーバーの新商品を開発した場合、その新商品の特長や開発秘話などを盛り込んだプレスリリースを配信し、メディアに取り上げてもらうことで、多くの人の目に触れる機会を増やし、認知度向上につなげられる。PR活動は、広告と比べて費用対効果が高いマーケティング手法としても知られており、限られた予算で大きな効果を期待できる。

2.興味関心段階

興味関心段階は、認知段階を経て、自社の商品やサービスに興味・関心を持ち始めた顧客に対するアプローチを行う段階です。

この段階の顧客は、商品やサービスに対してある程度の理解を示し、情報収集を積極的に行うようになります。そのため、顧客のニーズを満たす情報を提供し、購買意欲を高めるための施策が重要になります。

興味関心段階における顧客の心理

興味関心段階の顧客は、問題やニーズを認識し始め、解決策を探し求めるようになります。具体的な心理状態としては、以下のような点が挙げられます。

  • 商品やサービスに対して興味関心を持ち、情報収集を行っている
  • 競合他社の商品やサービスとの比較検討を行っている
  • 購入後のメリットやベネフィットに関心を持っている
  • まだ購入を決断するには至っていない

興味関心段階の主な施策例

  1. オウンドメディア
  2. ブログ記事
  3. 比較サイト
  4. ホワイトペーパー・資料ダウンロード
  5. 動画コンテンツ
  6. SNS

1.オウンドメディア
自社で運営するWebサイトやブログのこと。
商品やサービスに関する有益な情報を発信することで、顧客の疑問を解決し、理解を深めてもらう施策。

例えば、ウォーターサーバーに関するオウンドメディアを運営する場合、「ウォーターサーバーの選び方」や「ウォーターサーバーのメリット・デメリット」といったテーマの記事を掲載することで、顧客の悩みを解決。同時に自社のウォーターサーバーに興味をもってもらえる。
またSEO対策を施すことで、検索エンジンからの流入を増やし、認知段階の顧客を獲得することも可能。そのためSEO施策も合わせて行われることが多い。

2.ブログ記事
オウンドメディアと同様に、自社で運営するブログで、商品やサービスに関する有益な情報を発信するもの。ブログ記事では、オウンドメディアよりも気軽に情報発信できるため、最新情報やトレンド情報などを発信するのに適している。

例えば、ウォーターサーバーに関するブログ記事では、「夏におすすめのウォーターサーバー」や「ウォーターサーバーを使った簡単レシピ」といったテーマの記事を掲載することで、顧客の興味関心を惹きつけ、購買意欲を高めることができる。また、ブログ記事は、SNSで拡散されることで、より多くのユーザーにリーチできる可能性があります。

3.比較サイト
複数の商品やサービスを比較検討できるWebサイト。
ウォーターサーバーの比較サイトでは、料金、機能、デザイン、サービス内容などを比較表で分かりやすく表示することで、顧客の比較検討をサポート。
比較サイトに自社のウォーターサーバーを掲載することで、競合他社との差別化ポイントを明確化し、自社の強みをアピールすることができる。また、比較サイトからの流入は、購買意欲の高い顧客が多い傾向にあるため、効率的に顧客を獲得できる点がメリット。

4.ホワイトペーパー・資料ダウンロード
顧客にメールアドレスなどの個人情報を提供してもらう代わりに、より詳細な情報や専門性の高い情報を提供するマーケティング手法。
「ウォーターサーバー導入によるコスト削減効果」や「ウォーターサーバーの選び方ガイドブック」といったテーマの資料を提供することで、顧客の購買意欲を高められる。また、ホワイトペーパーや資料ダウンロードは、リードナーチャリング(見込み顧客育成)にも有効な手段。

5.動画コンテンツ
テキストや画像よりも多くの情報を伝えることができ、顧客の感情に訴えかける力も強いため、商品やサービスの魅力を効果的に伝えられる。
例えば、ウォーターサーバーの動画コンテンツでは、商品の機能や使い方を分かりやすく解説する動画や、利用者のインタビュー動画などがおすすめ。また動画コンテンツは、SNSでの拡散も期待できるため、認知度向上にも貢献できる。

6.SNS
顧客とのコミュニケーションツールとして活用することで、エンゲージメントを高め、ブランドロイヤリティの向上を図れるのがSNS。
例えば、ウォーターサーバーに関するSNSアカウントでは、新商品情報やキャンペーン情報などを発信するだけでなく、顧客からの質問や相談に答えることで、顧客との距離を縮めることができる。また、ユーザーが生成したコンテンツ(UGC)を活用することで、より親近感のある情報発信を行うことも可能です。

3.検討段階

検討段階は、顧客が自社の商品やサービスの購入を具体的に検討し始める段階です。競合他社の商品やサービスとの比較検討を行いながら、購入の意思決定に向けて最終的な情報収集を行います。

この段階では、顧客の不安や疑問を解消し、購入への後押しをするための施策が重要になります。

検討段階における顧客の心理

検討段階の顧客は、購入意欲が高まっており、具体的な商品やサービスの選定に入っています。顧客は以下のような心理状態にあると考えられます。

  • 競合他社の商品やサービスと比較検討している
  • 価格、機能、品質、デザインなど、様々な観点から商品を評価している
  • 購入を決断するために、背中を押してくれる情報や材料を求めている
  • 購入後のイメージを具体的に持とうとしている

検討段階の主な施策例

  • 顧客事例
  • 比較ページ
  • 無料体験・トライアル
  • オンライン相談会・セミナー

1.顧客事例
実際に商品・サービスを利用した顧客の成功事例を紹介することで、顧客は自身の状況に置き換えてイメージしやすくなる。購入後のメリットを具体的に示すことで、購買意欲を高められる。

例えば、学習塾であれば「実際に成績が上がった生徒の体験談」や「保護者からのコメント」をWebサイトに掲載することで、入塾を検討している顧客の背中を押すことができる
顧客事例は、商品・サービスのメリットをより具体的にイメージさせ、購入後の成功体験を想起させる効果があると考えられる。具体的な数値やエピソードなどを交えて紹介することで、より説得力が増すことも。

2.比較ページ
自社商品・サービスと競合他社の商品・サービスを比較したページを作成する。
顧客が比較検討しやすい情報を提供することで、自社商品・サービスの優位性をアピールすることが目的。

例えば、スマートフォンを販売する企業であれば、自社製品と競合他社製品のスペックや機能、価格などを比較したページを作成し、顧客が自分に最適な製品を選びやすいようにする。比較ページでは、客観的なデータに基づいた情報を掲載し、自社製品の優れている点を分かりやすく示すことが重要。また、顧客レビューや専門家の評価なども併せて掲載することで、より説得力が増す。

3.無料体験・サンプル提供
商品・サービスの価値を実際に体験してもらうために、無料体験やサンプルを提供するのが〇。体験後、顧客は安心して購入を検討することができるようになる。

例えば、オンライン英会話サービスであれば、無料体験レッスンを提供することで、顧客にサービスの質を体感してもらう。無料体験やサンプル提供は、顧客の購入に対する不安を解消し、購買意欲を高める効果があるといえる。ただし、顧客満足度が低ければ逆効果になる可能性もあるため、提供する商品・サービスの質には十分注意する必要がある。

4.オンライン相談
チャットやビデオ通話などを利用して、顧客からの質問や相談に個別に対応する。疑問を解消することで、購買への不安を取り除くことが目的。
例えば、不動産会社であれば、物件に関する質問や内見の予約などを、Webサイト上のチャットで受け付けることで、顧客の疑問を迅速に解消し、成約率向上を目指せる。オンライン相談は、顧客との距離を縮め、個別対応による顧客満足度向上に繋がる。また、顧客の声を直接聞くことで、ニーズをより深く理解し、商品・サービスの改善にも役立てることができる。

4.購入・契約段階

購入・契約段階は、顧客が最終的な意思決定を行い、商品を購入したり、サービスを契約したりする段階です。この段階では、スムーズな購入手続きや、顧客に安心感を与えることが重要となります。

  • 【ECサイト】カートに入れた商品を購入手続きに進める
  • 【BtoB】資料請求後、営業担当者との商談を経て契約に進む

この段階では、顧客がスムーズに購入・契約手続きを進められるように、Webサイトの使いやすさや、購入手続きの分かりやすさなどを改善する必要があります。また、セキュリティ対策を徹底することで、顧客に安心して購入・契約手続きを進めてもらうことも重要といえるでしょう。

購入・契約段階における顧客の心理

購入・契約段階の顧客は非常に購買意欲が高まっている状態だが、一方であと一歩で購入をためらっている場合も多いです。不安を解消させ、安心感を与えることで購入・契約に進めると考えられます。

  • この商品、本当に信頼できるのかな?(信頼と安心感)
  • 使い方がわからなかったらどうしよう?(対応)
  • 他の人のレビューはどうだろう?みんな満足してる?(不安と疑念の解消)
  • もっとお得に買えるところはないかな?(価値の確認)

購入・契約段階の主な施策例

  • 購入手続きの簡素化
  • クーポン発行
  • ポイント付与
  • 安心感を高める情報提供

1.購入手続きの簡素化
入力フォームの項目を減らしたり、決済方法を増やしたりすることで、顧客がスムーズに購入手続きを進められるようにする。これにより離脱率を減らし、コンバージョン率向上を目指せる。

例えばECサイトであれば、会員登録を必須とせず、ゲスト購入を可能にすることで購入手続きのハードルを下げられる。また、Amazon Payや楽天ペイなどの外部決済サービスを導入することで、顧客は自身のアカウント情報を利用してスムーズに決済を完了できる。
購入手続きの簡素化は、顧客のストレスを軽減し、購入意欲を維持したまま、コンバージョンに繋げることが重要です。

2.クーポン発行
購入金額に応じて割引が適用されるクーポンや、期間限定のキャンペーンを発行することで、購買を促進できる。顧客に「お得感」を与えることで、購入を後押しする効果があるといえる。

例えば新規顧客獲得を目的として、初回購入時に利用できる割引クーポンを発行したり、特定の商品購入時に利用できるクーポンを発行したり。クーポンの発行は、割引率や有効期限などを戦略的に設定することで、より効果的に顧客の行動を促進できる。

3.ポイント付与
購入金額に応じてポイントを付与することで、顧客のリピート購入を促進できる。貯まったポイントは、次回以降の購入時に割引に利用できるなどの特典を設けることで、顧客ロイヤルティも高まる。

例えば、アパレルECサイトであれば、購入金額の1%をポイント還元し、貯まったポイントは次回以降の購入時に1ポイント=1円として利用できるようにするなど。
ポイント付与は、顧客に「お得感」を与えるだけでなく、「貯める楽しみ」を提供することで、継続的な利用を促進する効果があると考えられる。

4.安心感を高める情報提供
返品・交換保証やセキュリティ対策など、顧客が安心して購入できるような情報を提供する。

例えばECサイトであれば、商品ページに返品・交換に関する情報を明確に記載したり、FAQページを充実させることで、顧客に安心して購入手続きを進めてもらうことができる。安心感を高める情報提供は、顧客の不安を解消し、購入へのハードルを下げる効果があると考えられる。特に高額商品やサービスの購入を検討している顧客に対しては、安心感を高める情報提供が重要。

5.リピート・推奨段階

リピート・推奨段階は、顧客はすでに商品やサービスを購入し、満足しているため、再購入や他人への推奨を考えています。この段階では、顧客との長期的な関係を築き、優良顧客へと育成することが重要となります。

顧客は、商品やサービスの購入後、その体験を通じて企業やブランドへの印象を形成します。満足度の高い体験を提供することで、顧客をリピーターに育成し、さらに推奨者へと成長させることが、この段階の目標となります。

リピート・推奨段階における顧客の心理

顧客ロイヤリティを高めるためには、質の高い商品・サービスの提供はもちろんのこと、顧客一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションや、特別な体験を提供することが重要となります。

  • 顧客は購入した商品やサービスに満足し、再購入を考える
  • 期待を上回る価値を感じると、顧客はそのブランドや商品に対する忠誠心が高まる
  • 購入プロセスが簡単であることは、再購入を促進する
  • 過去のポジティブな購入体験が、再購入や推奨の動機になる

リピート・推奨段階の主な施策例

  • アフターフォロー
  • ロイヤルティプログラム
  • 口コミ・レビュー投稿促進
  • リターゲティング広告

1.アフターフォロー
商品購入後やサービス利用後に、顧客に連絡を取り、満足度や感想をヒアリングする。問題が発生した場合には、迅速かつ丁寧に対応することで、顧客満足度を高められる。

例えば家電製品を購入した顧客に対して、製品の使用感や満足度に関するアンケートメールを送ったり、定期的に電話連絡を行い、使用方法に関する質問や困りごとがないかを確認したりする。
アフターフォローは、顧客との接点を維持し、良好な関係性を構築する上で重要。顧客の声を収集することで、商品・サービスの改善や、新たなニーズの発見に繋げることもできる。

2.ロイヤルティプログラム
リピート購入や継続利用に応じて、特別な特典やサービスを提供するロイヤルティプログラムを導入する。顧客の購買意欲を高め、長期的な関係構築を目指す。

例えば航空会社であれば、搭乗回数やマイルに応じて会員ランクを設定し、上位ランクの会員に対して、優先搭乗やラウンジ利用などの特典を提供するなど。ロイヤルティプログラムは、顧客に「特別な存在である」と感じてもらうことで、愛着を深め、継続的な利用を促進する効果があるといえる。
ただしプログラム設計はやみくもに特別扱いするのではなく、顧客の行動やニーズを分析し、魅力的な特典やサービスを提供することが重要。

3.口コミ・レビュー投稿促進
顧客に商品・サービスの口コミやレビューを投稿してもらうように促す。ソーシャルメディアやレビューサイトを活用することで、情報拡散による新規顧客獲得も期待でる。

例えば、飲食店であれば、来店した顧客に対して、レシートに口コミ投稿用のQRコードを印字したり、SNSでの感想投稿を促すキャンペーンを実施したりする。口コミ・レビューは、他の顧客の購買意欲を高める効果がある。また、企業は顧客の声を収集することで、商品・サービスの改善や、マーケティング施策に活用することができる点がメリット。

4.リターゲティング広告
一度Webサイトを訪れた顧客や商品を閲覧した顧客に対して、再度広告を表示するのがリターゲティング広告。顧客の興味関心を喚起し、再訪や購買を促す目的。

例えば旅行予約サイトであれば、過去にサイトを訪問し、特定の旅行プランを閲覧した顧客に対して、そのプランの割引情報などを掲載した広告を再度表示することで、予約を促進することができる。リターゲティング広告は、顧客の過去の行動履歴に基づいてパーソナライズされた広告配信を行うため、より効果的に興味関心を喚起し、コンバージョンに繋げることが期待できる。

これらの各段階における施策は、あくまでも一般的な例。業界やターゲット、商品・サービスによって最適な施策は異なります。重要なのは、自社のビジネス目標や顧客理解に基づいて、各段階に最適な施策を組み合わせ、効果的なデジタルマーケティングファネルを構築することです。

そもそもマーケティングファネルの重要性とは?

そもそもマーケティングファネルの重要性とは?

顧客との接点を設計し、最適な施策を打てる

デジタルマーケティングファネルは、顧客が商品やサービスの認知から購入、そしてリピーターへと至るまでの行動プロセスを可視化するフレームワークです。

このファネルを構築することで、企業は顧客とのそれぞれの接点において、どのようなマーケティング施策を打てば良いかを明確化できます。言い換えれば、デジタルマーケティングファネルは、企業が顧客を獲得し、売上を向上させるためのロードマップとして機能するのです

「なぜ顧客との接点を設計する必要があるのか?」

現代の顧客は、企業のWebサイト、SNS、オンライン広告、メールマガジンなど、様々なチャネルを通じて情報収集を行っています。そのため、企業は顧客とのあらゆる接点を意識し、一貫性のあるメッセージを発信していく必要があるのです。

デジタルマーケティングファネルは、この複雑な顧客行動を可視化し、最適なタイミングで最適なメッセージを届けるための強力なツールとなるのです。

顧客体験の向上と企業の成長を促進

顧客体験の向上は、企業のブランドイメージ向上や競争力強化にもつながり、持続的な成長を促進する重要な要素となります。

例えば、顧客がWebサイトで商品を閲覧した後、その商品に関する広告がSNSに表示されるといったパーソナライズされた広告配信は、顧客の購買意欲を高め、コンバージョン率向上に貢献します。
また、顧客の購入履歴に基づいたおすすめ商品の提案や、誕生日月にクーポンを配信するといったOne to Oneマーケティングも、顧客体験を向上させる施策として有効です。

顧客体験向上の重要性

顧客体験の向上は、もはや企業にとって重要な戦略の一つとなっています。
なぜなら、優れた顧客体験は、顧客ロイヤルティの向上、口コミによる新規顧客獲得、そして最終的には収益増加に繋がるからです。

顧客は、自分たちのニーズを理解し、期待を超えるサービスを提供してくれる企業に対して、より強い信頼と愛着を持つようになります。このようなロイヤルカスタマーは、企業にとって貴重な資産となり、長期的な成長を支える存在となります。

カスタマージャーニーマップの作成も有効

デジタルマーケティングファネルを構築する際には、カスタマージャーニーマップの作成も有効です。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスの購入に至るまでの行動プロセスを時系列で可視化したもの。顧客の行動を詳細に分析することで、顧客体験における課題や改善点を明確化し、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。

具体的な施策例4つ

以下を例にして、具体的な施策例をみていきましょう。

・ダイエット食品のECサイトを運営
・ターゲットは「ダイエットに関心のある20代女性」
この場合、「ダイエット食品」というキーワードだけでは、競合が多く上位表示が難しい可能性があります。そこで、Googleキーワードプランナーを使って、より具体的なキーワードを検討します。

1.SEO対策はニーズとトレンドを意識

Googleキーワードプランナーで「ダイエット食品」と入力すると、「ダイエット食品 おすすめ」「ダイエット食品 低カロリー」「ダイエット食品 糖質制限」といった関連キーワードが表示されます。
これらのキーワードを参考に、ターゲット層のニーズに合致したキーワードを選定します。

例えば、「20代 女性 ダイエット食品 おすすめ」といったように、年齢層や性別をキーワードに含めることで、よりターゲットを絞り込むことができます。また、「ダイエット食品 置き換え」といったように、具体的な利用シーンを想定したキーワードも有効です。

さらに、Googleトレンドでキーワードの検索ボリュームの推移を確認するのもおすすめ。
季節やトレンドによって検索ボリュームが変動するキーワードもあります。
例えば、「ダイエット食品」というキーワードは、夏に向けて検索ボリュームが増加する傾向があります。このように、キーワードの検索ボリュームの推移を把握することで、より効果的なSEO対策を行うことができるでしょう。

2.コンテンツ作成はユーザビリティを重視

ダイエット食品のECサイトであれば、「20代 女性 ダイエット食品 おすすめ」というキーワードで検索してきたユーザーに対して、20代女性に人気のダイエット食品をランキング形式で紹介する記事を作成します。

記事内では、各商品のカロリーや栄養素、価格などを比較し、それぞれの商品の特徴を分かりやすく説明します。さらに、実際に商品を購入したユーザーの口コミや評価なども掲載することで、ユーザーの購買意欲を高めます。コンテンツの信頼性を高めるために、栄養士など専門家の監修を受けることも有効です。

また、コンテンツは、ただ情報を羅列するのではなく、ユーザーが読みやすいように、見出しや段落を適切に使うことが重要です。図表や画像などを効果的に活用することで、より分かりやすく、魅力的なコンテンツを作成することができます。さらに、ユーザーが他のページにも回遊しやすいように、関連性の高いページへの内部リンクを設置することも忘れずに行いましょう。

3.SNSマーケティングはコミュニケーション

  • 質問形式:ユーザーに問いかけることで、コメントやリアクションを促します。「あなたの好きな〇〇は?」「〇〇についてどう思いますか?」のように、ユーザーが回答しやすい質問を投げかけましょう。
  • 投票形式:選択肢を提示し、ユーザーに投票してもらう形式です。ユーザーの意見を収集するだけでなく、エンゲージメントを高める効果もあります。「〇〇と〇〇、どっちが好き?」「次の旅行先はどっちがいいと思いますか?」のように、簡単な質問で投票を募ってみましょう。
  • クイズ形式:クイズを出題し、ユーザーに回答してもらう形式です。正解発表と同時に、商品やサービスに関する情報を自然に紹介することができます。「〇〇に関するクイズ!あなたは全問正解できるかな?」のように、ユーザーの挑戦意欲をくすぐるような呼びかけ方も効果的です。
  • ユーザー参加型:ユーザーに写真や動画を投稿してもらう、ハッシュタグキャンペーンなどが効果的です。ユーザーが作成したコンテンツを企業アカウントで紹介することで、ユーザーとの共感を生み出し、エンゲージメントを高めることができます。「#〇〇チャレンジ」「#〇〇フォトコンテスト」のように、ユーザーが参加しやすいハッシュタグを設定しましょう。
  • 最新情報やトレンドに関連づけたコンテンツ:時事ネタやトレンドキーワードを取り入れることで、ユーザーの関心を集めやすくなります。ただし、炎上リスクを考慮し、適切な表現を心がけましょう。
  • ユーモアを取り入れたコンテンツ:面白画像や動画、クスッと笑えるエピソードなどを交えることで、親近感を与え、エンゲージメントを高めることができます。ただし、度が過ぎた表現や、特定の人物や団体を傷つけるような表現は避けましょう。

SNSマーケティングでは、ユーザーとのコミュニケーションも重要です。

  • コメントへの返信:ユーザーからのコメントには、できるだけ返信するようにしましょう。返信することで、ユーザーとの距離を縮め、親近感を与えることができます。質問には丁寧に答え、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
  • DMの活用:個別の質問や相談には、DM(ダイレクトメッセージ)で対応することで、よりパーソナルなコミュニケーションを取ることができます。ただし、過度な営業行為や、個人情報の取得には十分注意しましょう。
  • ライブ配信:ライブ配信機能を使って、ユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。新商品発表会やイベントの様子を配信したり、ユーザーからの質問に答える企画などを実施することで、エンゲージメントを高めることができます。

4.メールはセグメント配信によるOne to Oneコミュニケーション

メールマーケティングでは、セグメント配信によるOne to Oneコミュニケーションが有効です。
セグメント配信とは、顧客の属性や行動履歴に基づいて、顧客をグループ分けし、それぞれのグループに最適な内容のメールを配信することです。

顧客属性に基づいたセグメント配信
年齢、性別、居住地、職業、興味関心など、顧客の属性情報に基づいてセグメントを作成し、それぞれの属性に合わせたメールを配信します。例えば、20代女性にはコスメの新商品情報、30代男性にはビジネス書の新刊情報、といった具合です。顧客の属性に合わせた情報を届けることで、興味関心を高め、購買意欲の向上に繋げることができます。

購入履歴に基づいたセグメント配信
過去に購入した商品やサービスに基づいてセグメントを作成し、関連性の高い商品やサービスの情報を配信します。例えば、過去に化粧水を購入した顧客には、同じブランドの乳液や美容液の情報を配信したり、過去に旅行を予約した顧客には、次回の旅行予約を促すクーポンを発行したりします。顧客の過去の行動に基づいた情報を届けることで、購買意欲の向上やリピート率の向上に繋げることができます。

Webサイトの閲覧履歴に基づいたセグメント配信
Webサイト上で閲覧したページや商品、サービスに基づいてセグメントを作成し、興味関心の高いと思われる情報を配信します。例えば、特定の商品ページを長時間閲覧していた顧客には、その商品の詳細情報や購入者のレビューを配信したり、特定のサービスの資料請求ページを閲覧していた顧客には、そのサービスの導入事例や顧客の声を配信したりします。顧客の行動履歴に基づいた情報を届けることで、購買意欲の向上や成約率の向上に繋げることができます。

メールの開封・クリック履歴に基づいたセグメント配信
過去に配信したメールの開封状況やクリック状況に基づいてセグメントを作成し、それぞれの行動に合わせたメールを配信します。例えば、メールを開封した顧客には、より詳細な情報や特典を掲載したフォローアップメールを配信したり、メール内の特定のリンクをクリックした顧客には、そのリンク先の内容に関連性の高い情報を配信したりします。顧客の行動履歴に基づいた情報を届けることで、顧客の興味関心を維持し、購買意欲の向上に繋げることができます。

BtoB・BtoCのマーケティング成功事例4つ

では次に、実際のマーケティング成功事例を知り、自社に取り入れられるアイデアを見つけましょう。

事例1:株式会社メルカリ

課題

フリマアプリ市場における競争激化に伴い、新規ユーザー獲得と既存ユーザーの利用頻度向上が課題となっていました。

施策

  • 認知段階:従来のWeb広告に加えて、より多くの潜在顧客にリーチできるよう、大規模な認知度向上キャンペーンとしてテレビCMを積極的に展開しました。その結果、2021年9月期のブランド認知度は98%に達しています。
  • 興味関心段階:認知度向上を背景に、インフルエンサーマーケティングを活用し、実際の利用シーンやメリットを具体的に伝えることで、アプリの利用イメージを訴求しました。商品購入や不用品売却といった多様な利用シーンを、ユーザーの属性やライフスタイルに合わせた形で発信することで、興味関心を高めることに成功しました。
  • 検討段階:アプリストアでのランキング上位表示施策として、アプリストア最適化(ASO)に注力し、アプリのタイトルや説明文を改善しました。さらに、ユーザーレビューの促進や評価への対応を通して、アプリの信頼性と魅力を高め、ダウンロードを促進しました。これらの施策により、新規ユーザー獲得の障壁を下げ、検討段階にあるユーザーの獲得を後押ししました。
  • 購入・契約段階:フリマアプリにおいては、アプリダウンロード後の会員登録や出品が「購入・契約」に該当します。メルカリでは、スムーズな会員登録プロセスを構築し、初心者でも簡単に商品を出品できるよう、分かりやすいインターフェースと機能を提供しています。また、本人確認の強化など、ユーザーが安心して取引できる環境を整備することで、購入・契約段階の離脱率を抑制しています。
  • リピート・推奨段階:プッシュ通知による再訪促進や、お得なキャンペーン情報の発信を通じて、ユーザーの再利用を促進しています。また、招待キャンペーンによってユーザー間の口コミを促進し、新規ユーザー獲得と既存ユーザーの利用頻度向上を図っています。さらに、ユーザー間のコミュニケーション機能を充実させることで、コミュニティ形成を促進し、プラットフォームへのエンゲージメントを高めています。

積極的なマーケティング活動により、国内最大級のフリマアプリとしての地位を確立しました。2021年9月末時点での国内版メルカリの月間利用者数は1,903万人に達しています。

事例2:株式会社ZOZO

課題

アパレルEC市場の拡大に伴い、競合サービスとの差別化が課題となっていました。

施策

  • 認知段階:従来の広告展開に加えて、独自性の高いプライベートブランドを開発・展開することで、ZOZOTOWNのブランドイメージを確立しました。また、ファッションショーの開催や人気モデルを起用した広告展開などを通じて、ブランドの認知度向上を図りました。これらの施策により、他のアパレルECサイトとの差別化に成功しています。
  • 興味関心段階:プロのスタイリストによるコーディネート提案や、ユーザーの体型データに基づくサイズレコメンド機能など、パーソナライズされたサービスを提供することで、ユーザーの購買意欲を高めました。また、商品ページに掲載される画像や動画の質を高め、ユーザーが商品の魅力をより具体的にイメージできるよう工夫しました。さらに、SNSを活用した情報発信やインフルエンサーとのタイアップを通じて、トレンドに敏感なユーザー層へのアプローチを強化しました。
  • 検討段階:送料無料キャンペーンやポイント還元など、ユーザーにとってメリットの大きいキャンペーンを積極的に実施することで、購入を検討しているユーザーの背中を押しました。また、商品レビューの投稿を促進し、購入を検討しているユーザーに対して、他のユーザーからの評価を参考情報として提供しました。さらに、商品比較機能やサイズガイドの提供など、ユーザーが安心して購入できるよう、きめ細やかなサービスを提供しました。
  • 購入・契約段階:クレジットカード決済、コンビニ決済、代金引換など、ユーザーのニーズに合わせた多様な決済方法を提供することで、購入手続きの利便性を向上させました。また、返品・交換のルールを明確化し、手続きを簡素化することで、ユーザーが安心して購入できる環境を整備しました。さらに、購入後のフォローメールやチャットサポートなど、顧客との接点を強化することで、顧客満足度向上に努めました。
  • リピート・推奨段階:会員限定セールや新商品入荷のお知らせなどを配信することで、ユーザーの再訪を促進しました。また、ポイントシステムやクーポン発行など、リピート購入を促進するための施策を積極的に展開しました。さらに、ユーザーレビュー投稿キャンペーンや友達紹介キャンペーンなど、ユーザー間の口コミによる新規顧客獲得と既存顧客のリピート促進を図りました。

ファッションに特化したサービス展開や顧客体験の向上により、多くのユーザーを獲得しました。2021年3月期の年間購入者数は843万人、年間購入単価は43,604円となっています。

事例3:株式会社Sansan

課題

名刺管理サービスの認知度向上とリード獲得、顧客への価値訴求が課題となっていました。

施策

  • 認知段階:ビジネスパーソンが多く利用するニュースサイトや業界専門誌など、ターゲット層にリーチしやすいメディアへの広告掲載を行いました。また、ビジネスカンファレンスや展示会などのセミナー・イベントに積極的に出展し、サービスの認知度向上を図りました。さらに、テレビCMや交通広告など、マスマーケティングも展開することで、幅広い層への認知度向上を目指しました。
  • 興味関心段階:導入事例や顧客の声を発信するコンテンツマーケティングに注力し、サービスの導入効果を具体的に示すことで、顧客の興味関心を高めました。特に、業種や規模、課題別に顧客事例を分類し、見込み顧客が自社と似たケーススタディを容易に見つけられるように工夫しました。また、ウェビナーやオンライン相談会などを定期的に開催し、顧客との接点を増やすことで、サービスへの理解を深めてもらう機会を創出しました。
  • 検討段階:オンライン商談を通じて、顧客の課題やニーズをヒアリングし、課題解決に最適なプランを提案することで、成約率を高めました。また、費用対効果を分かりやすく提示することで、顧客の投資対効果に対する不安を払拭しました。さらに、競合サービスとの比較資料や導入効果に関するデータなどを提供することで、顧客の意思決定を後押ししました。
  • 購入・契約段階:契約手続きをオンライン化し、必要書類を削減するなど、手続きの簡素化を進めました。また、導入サポート担当者による導入支援や操作説明会などを実施することで、顧客がスムーズにサービスを利用開始できるようサポート体制を強化しました。さらに、サービス利用開始後のフォローアップ体制を整え、顧客満足度向上に努めました。
  • リピート・推奨段階:活用事例集や活用ガイドなどを定期的に配信することで、顧客のサービス活用度向上を支援しました。また、機能アップデートや新サービスリリースなどの情報を積極的に発信することで、顧客とのエンゲージメントを維持しました。さらに、ユーザーコミュニティを運営することで、ユーザー同士の情報交換や交流を促進し、顧客満足度向上と解約率抑制を図りました。

法人向けクラウド名刺管理サービスにおいて、10年連続でシェアNo.1を獲得しています。2021年2月末時点の契約社数は94,900社となっています。

事例4:株式会社サイボウズ

課題

中小企業向けグループウェア市場における競争激化、クラウドサービスへの移行促進が課題となっていました。

施策

  • 認知段階:製品の機能やメリットを分かりやすく説明した製品紹介動画を制作し、自社ウェブサイトやYouTubeなどの動画プラットフォームで配信しました。また、無料オンラインセミナーを定期的に開催し、製品の導入を検討している企業に対して、製品の機能やメリット、導入事例などを紹介しました。さらに、展示会への出展やオンライン広告などを通じて、幅広い層への認知度向上を図りました。
  • 興味関心段階:顧客事例や活用方法を紹介するブログ記事を定期的に配信することで、製品の導入効果を具体的にイメージできるようにしました。特に、業種や部門、課題別に顧客事例を分類し、見込み顧客が自社と似たケーススタディを容易に見つけられるように工夫しました。また、導入相談会を定期的に開催し、顧客の課題やニーズをヒアリングすることで、製品への理解を深めてもらう機会を創出しました。
  • 検討段階:無料トライアルの提供によって、製品の機能や使い勝手を実際に体験できる機会を提供することで、製品への理解促進と安心感の醸成を図りました。また、費用対効果シミュレーションを提供することで、導入によるコスト削減効果を具体的に示し、顧客の投資対効果に対する不安を払拭しました。さらに、導入事例や顧客の声などをまとめた資料を提供することで、顧客の意思決定を後押ししました。
  • 購入・契約段階:導入支援サービスを提供することで、スムーズな導入と運用開始を支援しました。また、オンラインマニュアルを充実させ、顧客がいつでも必要な情報にアクセスできる環境を整備することで、顧客満足度向上に努めました。さらに、電話やメールによるサポート体制を整え、顧客からの問い合わせに迅速に対応することで、安心して製品を利用できる環境を提供しました。
  • リピート・推奨段階:ユーザーコミュニティを運営することで、ユーザー同士の情報交換や交流の場を提供し、顧客満足度向上と解約率抑制を図りました。また、機能改善要望を収集し、製品開発に反映することで、顧客ニーズに合致した製品開発を進めました。さらに、ユーザー向けイベントやセミナーなどを開催することで、顧客とのエンゲージメントを強化しました。

顧客との長期的な関係構築を重視したマーケティング活動により、多くの企業に導入されています。2021年12月末時点のクラウドサービス累計契約数は1,546万ユーザーとなっています。

マーケティングファネルを理解するために【よくある失敗例】

失敗例

マーケティングファネルで失敗しないために、よくある失敗例を紹介し、対策をわかりやすく解説していきましょう。

ファネルの各段階における顧客理解不足

例1:ターゲット像と異なる顧客層へアプローチしている

例えば、高価格帯の化粧品を販売する企業が、低価格帯の化粧品を好む顧客層に向けて広告配信を行っても、購買には繋がりません。

これは、顧客のニーズや購買意欲を理解しないままマーケティング活動を行っているためです。
高価格帯の化粧品を求める顧客層は、品質やブランドイメージ、効果などを重視する傾向があります。

一方、低価格帯の化粧品を求める顧客層は、価格の手頃さやコストパフォーマンスを重視する傾向があります。そのため、顧客層に合っていないメッセージやクリエイティブでは、顧客の心を動かすことはできません。

このような失敗を避けるためには、マーケティング活動を行う前に、ターゲット顧客を明確化し、その顧客層のニーズや行動特性を深く理解することが重要です。
例えば、アンケート調査や顧客インタビューなどを実施することで、顧客のニーズや購買行動に関する情報を収集することができます。また、アクセス解析ツールなどを活用することで、ウェブサイトへの訪問者の属性や行動履歴などを分析することも有効です。

例2:顧客の抱える課題やニーズを理解できていない

例えば、業務効率化のためのソフトウェアを販売する企業が、顧客の抱える課題を具体的にヒアリングせずに、自社の製品の機能やメリットばかりをアピールしても、顧客の心を動かすことはできません。
顧客が本当に求めているのは、自社の課題を解決できるソリューションです。顧客の課題やニーズを理解せずに、一方的に自社の製品を売り込んでも、顧客の共感は得られません。

このような失敗を避けるためには、顧客とのコミュニケーションを重視し、顧客の課題やニーズを深く理解することが重要です。
例えば、ヒアリングシートやアンケートなどを活用することで、顧客の課題やニーズを具体的に把握することができます。また、営業担当者やカスタマーサポート担当者など、顧客と接する機会の多い担当者が、顧客とのコミュニケーションを通じて得られた情報を共有することも重要です。

施策の効果測定と改善不足

例1:アクセス数やクリック数などの表面的な指標しか見ていない

Webサイトへのアクセス数や広告のクリック数は、あくまでも中間指標に過ぎません。
重要なのは、これらの指標が最終的な目標である「顧客獲得」や「売上向上」にどれだけ貢献しているかです。

例えば、Webサイトへのアクセス数が多くても、コンバージョン率が低ければ、マーケティング活動としては効果的とは言えません。アクセス数を増やすだけでなく、Webサイトのデザインやコンテンツを改善することで、コンバージョン率を高める必要があります。

このような失敗を避けるためには、アクセス数やクリック数などの量的な指標だけでなく、コンバージョン率や顧客生涯価値などの質的な指標も合わせて分析することが重要です。
また、マーケティング活動の目標設定を明確化し、その目標達成に向けて適切な指標を設定する必要があります。さらに、分析結果に基づいて、マーケティング活動の改善を継続的に行うことが重要です。

例2:PDCAサイクルを回せていない

マーケティング活動は、一度実施したら終わりではありません。施策の効果を測定し、改善を繰り返すことで、より効果的なマーケティング活動を実現できます。

アクセス解析ツールやCRMなどを活用し、顧客の行動を分析することで、改善点が見えてきます。
例えば、特定のページの離脱率が高い場合は、ページのデザインやコンテンツに問題がある可能性があります。アクセス解析ツールなどを活用して問題点を特定し、改善することで、より多くの顧客を獲得できる可能性があります。

このような失敗を避けるためには、PDCAサイクルを意識してマーケティング活動を行うことが重要です。PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスを繰り返すことで、業務を継続的に改善していく手法です。マーケティング活動においても、PDCAサイクルを回すことで、より効果的なマーケティング活動を実現することができます。

顧客セグメントを考慮しない画一的なアプローチ

デジタルマーケティングでは、顧客を年齢、性別、興味関心、購買履歴などによって分類し、それぞれのセグメントに最適化されたメッセージやコンテンツを配信することが重要です。

しかし、すべての顧客に同じようなアプローチをしてしまうケースも少なくありません。

例えば、新規顧客とリピーターに対して同じ内容のメールマガジンを配信してしまっては、顧客の状況に合わせたOne to Oneコミュニケーションを実現できません。
顧客を適切なセグメントに分類し、それぞれのセグメントに対して最適化されたマーケティング施策を実施することで、顧客満足度を高め、コンバージョン率の向上につなげることが可能になります。

顧客セグメントを効果的に活用するためには、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)ツールの導入が有効です。これらのツールを活用することで、顧客の行動履歴や属性に基づいたセグメント配信や、顧客一人ひとりに最適化されたコミュニケーションを実現することができます。

施策の効果測定と改善不足

KPI設定が曖昧で、施策の成果を正しく評価できない

デジタルマーケティングでは、KPI(重要業績評価指標)を設定し、施策の成果を定量的に評価することが重要です。しかし、KPI設定が曖昧なまま施策を実施してしまうケースも散見されます。

例えば、「認知度向上」を目的とした施策を実施する場合、「Webサイトへのアクセス数を1ヶ月で1.5倍にする」といった具体的な数値目標を設定する必要があります。目標設定が曖昧だと、施策の成果を正しく評価することができず、改善すべき点も見えてきません。

KPIは、ビジネス目標と連動している必要があります。例えば、「売上目標を達成する」というビジネス目標がある場合、それに紐づくKPIとして「Webサイトからのリード獲得数を増加させる」「顧客単価を向上させる」といった目標を設定する必要があります。
KPIを設定する際は、SMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限)を意識することが重要です。

マーケティングファネル構築の重要ポイント4つ

マーケティングファネル構築の重要ポイント4つ

最後に、効果的なマーケティングファネルを構築するために重要なポイントを4つご紹介します。

1.ペルソナ設定

デジタルマーケティングファネル構築の最初のステップは、ペルソナ設定です。ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を具体的に詳細化したもの。
年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、ライフスタイル、価値観、購買行動、情報収集経路など、多岐にわたる情報を用いて、まるで実在する人物のように詳細に設定します。

ペルソナ設定においては、以下のポイントを意識しましょう。

  • 具体的な属性を設定する
  • 顧客の抱える課題やニーズを明確にする
  • 情報収集経路や購買行動パターンを分析する

これらのポイントを踏まえ、詳細なペルソナ像を描き出すことで、顧客の行動を予測しやすくなり、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

なぜペルソナ設定が重要なのか?

ペルソナ設定が重要な理由は、以下の3点です。

  1. 誰に何を伝えれば良いか明確になる
    ペルソナを設定することで、ターゲットとなる顧客層が明確になり、どのようなメッセージやコンテンツを提供すれば効果的なのかが分かります。例えば、20代女性をターゲットにした化粧品を販売する場合、彼女たちの間で流行しているSNSやインフルエンサー、情報収集の仕方などを分析し、ペルソナに合った言葉遣いやデザイン、広告展開を行う必要があります。
  2. 顧客のニーズに合った商品・サービス開発に繋がる
    ペルソナのニーズや課題を分析することで、顧客が本当に求めている商品やサービスを開発することができます。例えば、共働きで忙しい30代夫婦をターゲットにした家事代行サービスの場合、時 saving になることや、家事の負担軽減だけでなく、家族との時間や自分の時間を大切にしたいというニーズを想定し、サービス内容に反映させることができます。
  3. マーケティング施策の効果測定がしやすくなる
    ペルソナを設定することで、施策の成果を具体的な顧客像と照らし合わせて評価することができます。例えば、ある広告キャンペーンを実施した結果、ペルソナとして設定した層の購買率が向上した場合、そのキャンペーンは効果的であったと判断することができます。逆に、効果が低い場合は、ペルソナ設定を見直したり、施策内容を修正したりする必要があります。

具体的なペルソナ設定の方法

具体的なペルソナ設定の方法としては、以下のステップで進めるのが一般的です。

  1. 顧客データの収集
    顧客データには、年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成などのデモグラフィック情報に加え、Webサイトの閲覧履歴、購買履歴、お問い合わせ内容、アンケート回答などの行動データがあります。これらのデータを収集するために、Webサイトへのアクセス解析ツール導入、顧客アンケートの実施、顧客情報管理システムの活用などが考えられます。
  2. データ分析による顧客セグメントの抽出
    収集した顧客データを分析し、共通の属性や行動パターンを持つグループに分類します。例えば、年齢層、ライフスタイル、興味関心などで顧客をセグメント分けします。この際、顧客セグメンテーションツールなどを活用すると便利です。
  3. 各セグメントを代表する具体的なペルソナ像の作成
    各セグメントを代表する人物像を具体的に設定します。この際、名前、年齢、性別、職業、居住地、家族構成、年収、趣味、ライフスタイル、価値観、課題、ニーズ、情報収集経路、購買行動パターンなどを詳細に設定します。写真やイラストなどを加えることで、よりリアルな人物像として捉えやすくなるでしょう。

2.カスタマージャーニーマップ作成

ペルソナ設定と並行して行いたいのが、カスタマージャーニーマップの作成です。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスの認知から購入、利用、リピートに至るまでの行動プロセスを可視化したものです。顧客の行動を時系列に沿って詳細に描き出すことで、各段階における顧客の心理や行動を理解し、最適なタッチポイントと施策を検討することができます。

段階顧客の行動顧客の心理施策例
認知段階問題やニーズを認識していない潜在的な課題や欲求を抱えている認知度向上のための広告配信 潜在的なニーズを喚起するコンテンツマーケティング
興味関心段階問題やニーズを認識し、情報収集を開始解決策や商品に興味を持ち始めるSEO対策による検索エンジンからの集客 比較サイトやレビューサイトへの情報掲載
検討段階具体的な商品やサービスを比較検討購入意欲が高まり、詳細情報を探し始める商品比較ページや顧客 testimonials の掲載 無料体験やサンプル提供
購入・契約段階商品やサービスの購入・契約を決定購入を決断するための後押しが必要クーポンや割引などの特典提供 購入手続きの簡素化
リピート・推奨段階商品やサービスを再利用、または他者へ推奨満足度が高く、継続利用や推奨意欲が高いロイヤルティプログラムの実施 口コミ投稿キャンペーンの実施

カスタマージャーニーマップ作成のメリット

カスタマージャーニーマップを作成するメリットは、以下の点が挙げられます。

  1. 顧客視点でマーケティング活動を考えられる
    カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客が商品やサービスを認知してから購入、利用、リピートに至るまでの行動プロセスを可視化し、各段階における顧客の行動や心理状態を把握することができます。これにより、顧客視点に立ったマーケティング戦略を立案することが可能になります。
  2. 顧客接点を把握し、最適な施策を打てる
    カスタマージャーニーマップでは、顧客と企業との接点となるタッチポイントを明確化します。Webサイト訪問、広告接触、資料請求、問い合わせ、購入、アフターサービスなど、顧客が企業とどのように接点を持つのかを可視化することで、それぞれのタッチポイントにおける最適な施策を検討することができます。例えば、Webサイト訪問後に離脱してしまう顧客が多い場合は、Webサイトの構成やデザイン、コンテンツを見直す必要があるかもしれません。
  3. 部門間連携の強化
    カスタマージャーニーマップは、マーケティング部門だけでなく、営業部門、カスタマーサポート部門など、顧客と関わるすべての部門で共有することで、顧客を起点とした一貫した顧客体験を提供することができます。例えば、営業部門は、マーケティング部門が獲得した見込み顧客情報に基づき、よりパーソナライズされた営業活動を行うことができます。また、カスタマーサポート部門は、顧客の過去の購買履歴や問い合わせ内容を把握することで、より的確なサポートを提供することができます。

カスタマージャーニーマップ作成の手順

カスタマージャーニーマップ作成の手順は以下の通りです。

  1. ペルソナ設定
    カスタマージャーニーマップは、ペルソナを基に作成します。そのため、まずはターゲットとなる顧客像を明確化するために、ペルソナを設定する必要があります。
  2. 顧客行動プロセスの洗い出し
    ペルソナが商品やサービスを認知してから購入、利用、リピートに至るまでの行動プロセスを洗い出します。Webサイト訪問、広告接触、資料請求、問い合わせ、購入、アフターサービスなど、顧客が企業とどのように接点を持つのかを具体的に書き出していきます。この際、顧客行動分析ツールなどを活用すると便利です。
  3. タッチポイントと顧客行動、感情、思考の可視化
    洗い出した顧客行動プロセスを時系列に沿って整理し、各段階における顧客の行動(Action)、感情(Emotion)、思考(Thinking)を可視化していきます。例えば、「Webサイト訪問」という行動に対して、「情報が多すぎて分かりにくいと感じた」「価格が高く感じた」といった感情や思考を書き出していきます。
  4. 課題と改善策の検討
    可視化したカスタマージャーニーマップを基に、顧客体験における課題と改善策を検討します。例えば、「資料請求フォームが分かりにくく、離脱者が多い」という課題が見つかった場合、「資料請求フォームのUI/UXを改善する」という改善策を立てることができます。

3.KPI設定と効果測定

KPIとは、Key Performance Indicator の略称で、目標達成度合いを測るための重要な指標のことです。
設定したKPIに基づいて施策の効果を測定し、改善を繰り返すことで、より効率的かつ効果的に成果を最大化することができます。

KPI設定においては、以下のポイントを意識しましょう。

  • 具体的な数値目標を設定する
  • 測定可能な指標を設定する
  • ビジネス目標と整合性の取れた指標を設定する

例えば、認知段階のKPIであれば「Webサイトへのアクセス数」「ブランド名の検索ボリューム」などが考えられます。興味関心段階であれば「資料ダウンロード数」「お問い合わせ件数」、検討段階であれば「商品ページの閲覧数」「カート投入数」、購入・契約段階であれば「成約率」「顧客単価」、リピート・推奨段階であれば「リピート率」「顧客生涯価値」などが考えられます。

これらのKPIを定期的に測定し、目標達成度合いを把握することで、施策の改善点や新たな課題を発見することができます。

KPI設定の重要性

KPI設定が重要な理由は、以下の3点が挙げられます。

  1. 目標達成への意識統一
    KPIを設定することで、企業全体の目標と、それを達成するためにマーケティング部門が取り組むべき具体的な数値目標が明確になります。これにより、部門内だけでなく、部門間や経営層との間で、目標達成に向けた意識を統一することができます。例えば、「ウェブサイトへのアクセス数を前年比120%にする」というKPIを設定した場合、マーケティング部門だけでなく、ウェブサイトのコンテンツ制作を担当する部署や、システム運用を担当する部署も、その目標達成に貢献する必要があることを認識することができます。
  2. 進捗状況の把握と改善
    KPIを設定することで、マーケティング活動の進捗状況を定量的に把握することができます。例えば、「資料請求数を前月比150%にする」というKPIを設定した場合、毎日の資料請求数を計測することで、目標達成に向けて順調に進んでいるのか、それとも対策が必要なのかを判断することができます。もし、目標達成が難しい状況であれば、ウェブサイトの改善や広告の配信内容の見直しなど、具体的な対策を講じることができます。
  3. マーケティングROIの向上
    KPIを設定し、その達成度合いを測定することで、マーケティング活動の効果を可視化することができます。例えば、「顧客獲得単価を10%削減する」というKPIを設定した場合、実際に顧客獲得単価がどのように推移したかを計測することで、マーケティング活動が収益にどれくらい貢献できたのかを評価することができます。そして、その結果に基づいて、費用対効果の高いマーケティング施策に投資を集中させることで、マーケティングROIの向上を図ることができます。

デジタルマーケティングでよく用いられるKPI例

デジタルマーケティングでよく用いられるKPIには、以下のようなものがあります。

認知度向上
  • インプレッション数
  • リーチ数
  • ブランド名検索数
  • ウェブサイト訪問数
興味関心の獲得
  • 資料ダウンロード数
  • お問い合わせ件数
  • メルマガ登録者数
  • フォロー数
購買意欲の向上
  • 商品ページ閲覧数
  • カート投入数
  • 資料請求数
  • 無料体験申込数
顧客獲得
  • 成約率
  • 顧客単価
  • 顧客獲得単価
  • 生涯価値

4.ツール活用

デジタルマーケティングファネル構築および運用には、様々なツールを活用することが有効です。
これらのツールを活用することで、業務効率化、効果測定の自動化、分析精度の向上などが期待できます

アクセス解析ツール

アクセス解析ツールとは、Webサイトへのアクセス状況を分析するためのツールです。アクセス数、ページビュー数、滞在時間、直帰率、コンバージョン率などの指標を計測することができます。これらのデータから改善点やユーザーの行動分析を行うことができます。Google Analyticsが代表的なツールといえます。

ウェブサイトの課題発見
アクセス状況を分析することで、ウェブサイトの訪問者数やページビュー数、滞在時間、直帰率、コンバージョン率などの指標を把握し、ウェブサイトの課題を発見することができます。例えば、特定のページの直帰率が高い場合は、そのページのデザインやコンテンツに問題がある可能性があります。

  • ユーザー行動の把握
    ユーザーのアクセス経路、閲覧ページ、滞在時間、コンバージョンに至るまでの行動を分析することで、ユーザーの興味関心や行動パターンを把握することができます。例えば、ユーザーがどのようなキーワードで検索してウェブサイトに訪問したのかを分析することで、ユーザーのニーズに合ったコンテンツを提供することができます。
  • マーケティング施策の効果測定
    広告キャンペーンやSEO対策などのマーケティング施策の効果を測定することができます。例えば、広告キャンペーンを実施した後のウェブサイトへのアクセス数やコンバージョン率を計測することで、キャンペーンの効果を評価することができます。

SEOツール

SEOツールとは、検索エンジン最適化(SEO)のためのツールです。Webサイトのキーワード分析、競合サイト調査、被リンク調査、順位チェックなどの機能があります。これらの機能を活用することで、Webサイトの検索順位向上を図ることができます。Google Search Consoleが代表的です。

Webサイトに関連するキーワードの検索ボリュームや競合状況を分析することができます。この分析結果に基づいて、ターゲットとするキーワードを決定し、コンテンツに反映させることで、検索エンジンからのアクセス増加を図ることができます。

例えば、旅行会社であれば、「旅行先」「旅行時期」「旅行費用」など、ユーザーが検索する際に利用する可能性の高いキーワードを分析し、コンテンツに盛り込むことで、検索結果の上位表示を目指します。

まとめ

今回はデジタルマーケティングファネルの概要から具体的な施策、成功・失敗事例、構築のポイントまで解説しました。

デジタルマーケティングにおいて、ファネルで顧客の行動プロセスを可視化することは非常に重要です。なぜなら、それぞれの段階に最適な施策を講じることで、顧客体験を向上させ、成約率向上やLTV向上といったビジネスの成功へと繋がるからです。

しかし、闇雲に施策を打つのではなく、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップ作成を通して顧客理解を深め、KPI設定や効果測定に基づいたPDCAサイクルを回していく必要があります。顧客一人ひとりに寄り添ったマーケティング戦略を実行していくことが、これからのデジタルマーケティングで成功を収める鍵となるでしょう。

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