昨今の製造業界では、「人手不足」や「新規取引先の開拓」が企業の課題です。
そこで自社のホームページを作り、お問い合わせページや採用ページを設けて課題解決しようと考えている製造業者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、「どんなデザインにすればいいかわからない…」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
製造業のホームページ成功のカギは、「写真や動画」です。
そこで今回は成功している製造業のホームページデザインを10選をご紹介します。参考になる製造業のデザイン事例から、集客できるホームページデザインの重要ポイントや導線設計についても徹底解説していきます。
製造業のホームページ制作にかかる料金・費用や、おすすめ制作会社についてはこちらの記事をご覧ください。
スタイリッシュな製造業のWebデザイン4選
厳選した優良デザイン事例10社を、テーマ別にご紹介します。
初めに、スタイリッシュな製造業のWebデザイン4つを見ていきましょう。
1.光岡自動車(株式会社光岡自動車)
出典:株式会社光岡自動車
光岡自動車は、創業50年以上の歴史を持つ、富山県富山市に本社がある自動車メーカーです。
オリジナルカーを国内に限らず海外でも販売し、富山の小さな本社工場ですべて手作業で制作。大手自動車メーカーとは一線を画したクルマづくりと独自の販売手法が特徴です。
そんな光岡自動車のホームページは、まずファーストビューに、会社のコンセプトである「それは手づくりでしか成し得ない」というキャッチコピーとともに、こだわりのある動画を使用。車のかっこよさ・魅力が伝わり、自分の暮らしに取り入れたらどうなるか未来へのイメージが膨らみ、購買意欲をかき立てます。
スクロールすると、01/04、02/04…という数字とともにラインアップ・ピックアップなどのカテゴリが順番に現れる仕様が見やすいです。ポータルサイトへのリンクもあり、『Life is Mitsuoka』と題してコラムやオーナーの声を掲載。オウンドメディアとしての役割を果たしています。サイト全体は濃いネイビー・黒色で統一しており、色味をうまく使って高級なイメージを与えている点はブランディングができていると言えるでしょう。
2.岐阜ギヤー工業株式会社
出典:岐阜ギヤー工業株式会社
岐阜ギヤー工業株式会社は、自動車に用いるギヤーを、非常に高度な技術で生産している部品メーカーです。
ドイツの国家工業規格の最高レベルDIN(精度等級)0級をクリアできる精度での製造が可能で、国内主要自動車メーカーの品質基準となるマスターギヤを数多く製造。
その高い技術を伝えるために、ファーストビューではキャッチコピーとともに、最新機器によるギヤーの製造風景をムービーで表現しています。とても繊細で高度な動きに誰もがひきこまれてしまうでしょう。
また採用ページでは、先輩社員インタビューやクロスインタビューなどがたくさんの顔写真入りで紹介されており、社内の雰囲気はもちろん、自社のコンセプト・自社で働くメリットが手にとるようにわかりますね。
3.株式会社 宇佐美
出典:株式会社 宇佐美
株式会社宇佐美は、機械・工具・ホイストクレーン等を取り扱う総合商社で、さまざまな商材を企業に提供するBtoBの製造業です。さわやかなトップページのスライドショーが印象的ですね。
スクロールすると、製品一覧が現れます。製品それぞれを画像付きでリスト化表示しており、とても見やすく、馴染みのないマニアックな機械や部品でも、どんなものに使うものなのかイメージできるでしょう。
また問い合わせフォームでは、問い合わせの種類が4つから選べるようになっており、自分の尋ねたいことが明確化できて、具体的に問い合わせることがしやすいフォームになっています。
4.デンソー ブランドサイト(株式会社デンソー )
出典:株式会社デンソー
株式会社デンソーは、環境へのやさしさを考えながら自動車部品を製造しているメーカーです。
電動化、自動運転分野の取り組みを中心に、技術開発に力を入れています。
このブランドサイトでは、まるでテレビのCMを見ているかのようなハイクオリティなムービーをすべてのコンテンツで使用。デンソーの想いやコンセプトが詰め込まれており、技術力の高さだけでなく環境へ配慮したメーカーであることが伝わってきますね。
サイトのアクセントカラーに赤を用いており、会社の思い描くビジョンに情熱を感じさせるデザインにもなっています。
こだわりが伝わる製造業のWebデザイン4選
1.大栄鉄工所(株式会社大栄鉄工所)
出典:大栄鉄工所
大栄鉄工所は、鉄骨工事一筋で40年間事業を続けているメーカー。工場設備、生産設備用の鉄骨の設計、製作、および現地での組み立て業務を行っています。
ファーストビューの「THE SOUL OF STEEL」という英語のキャッチコピーがかっこいいですね。良い意味で製造業らしからぬデザインとは裏腹に、「鉄のプロフェッショナル」として鉄骨という社会のインフラになりえる事業一筋で、業界や社会に貢献していることが伝わってきます。
採用ページの充実度が素晴らしく、働くメリット・仕事内容・職場環境から先輩社員のインタビューやFAQまでコンテンツが豊富で、求職者にとって社風のわかるページに設計されています。
2.株式会社田中金属製作所
出典:株式会社田中金属製作所
株式会社田中金属製作所は、『水栓バルブ発祥の地』と呼ばれる岐阜県山県郡美山町で技術を育んできたメーカーで、シャワーヘッドなどを製造しています。
メインビジュアルでは「99%」という数字で目を惹きつけ、新型コロナウイルスにも対応している特徴を訴求することで製品や会社の開発力の高さを伺わせます。製品の写真はブランドサイトの中まで見てみたくなる美しさ。
製品ごとのブランドサイトは、写真を豊富に使ったランディングページ風になっており、製品の効果効能もわか
3.株式会社リグナイト
出典:株式会社リグナイト
株式会社リグナイトは、さまざまな次世代の樹脂製品を開発し、オリジナル特許取得250件以上という実績を誇るメーカーです。環境にも配慮した技術力を持ち、高い安全性と多機能性を備えた製品は、プラスチックのイメージを大きく変えることに成功しています。
そんな開発力の高さを示すように、ホームページのファーストビューでは、「環境を化学する」というキャッチコピーとともに、製品原料の写真を掲載。開発型企業であることが伝わります。
どの下層ページでも写真を大きく配置しており、ローディング中に出てくるアニメーションつきのロゴマークも特徴的です。またスタッフブログ・研究開発ブログなど、独自の情報発信も行っており、ユーザーは信頼性を確かめることができます。
4.株式会社 細尾
出典:株式会社 細尾
株式会社細尾は、元禄元年(1688年)に京都西陣にて織物業を創業して以来、着物文化の継承に取り組んでいるメーカーです。現在では製品を世界に発信し、西陣織の新たな市場開発にも取り組んでいます。
そのためTOPページのデザインは、英語を用いたメニュー画面になっており、ターゲットとなる市場に合わせてEnglishページを設けていますね。
また写真をうまく活用し、自社の雰囲気・コンセプト・高級感・日本の伝統製品の魅力などをグローバルに発信できているといえるでしょう。自社紹介ページでは、動画も使用し、とにかく視覚的にユーザーへアプローチしています。
最先端の技術を伝える製造業のWebデザイン2選
1.株式会社キャタラー
出典:株式会社キャタラー
株式会社キャタラーは、自動車の排出ガスを浄化する触媒や環境ケミカル製品の開発・生産・販売を行っているメーカーです。
TOPページでまず目に入るのは、主にキャンペーン情報を発信しているスライドショー。そして、画面左下に配置されている「公式SNSアカウントはこちら」ボタンは、スクロールとともに常に表示されるようになっており、SNSへのフォローや参加型キャンペーンを盛りあげる導線設計をしていますね。
またお問い合わせボタンやカタログ一覧も、常に右サイドに表示されるようになっています。
気になったら、どこの部分からでも問い合わせがすぐにできるので、ユーザビリティが高いデザインです。
2.ナブコ自動ドア
出典:ナブコ自動ドア
ナブコ自動ドアは、自動ドア販売シェアNo.1の「NABCO」のブランドサイトです。NABCOは、バリアフリー、セキュリティへの対応、さらに防犯・震災対応ドア、そして産業用の超大型自動ドアから原子力発電所の遮蔽ドアまで、あらゆる分野のドアを開発・販売しています。
ドアの可能性を追求している自社のコンセプトを表す「さあ、これからの”だれでもドア”をつくろう」というキャッチコピーが印象的なファーストビュー。
そして、スライドショーの下部には、自社製品のラインアップを重なるように配置することで、ファーストビューにさまざまな製品情報が目に入るようにしています。ユーザーは、おのずと自分のニーズと照らし合わせながら、製品を検討することができますね。
製造業のホームページデザインを考える前にやっておくべきこと3つ
ホームページデザインを考える前に、製造業のホームページの役割を知り、ターゲットを決めることが重要です。
ここではホームページデザインを考える前に、やっておくべきことを3つご紹介します。
- ホームページの役割を理解する
- ターゲットを決める
- 予算を決める
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1.ホームページの役割を理解する
製造業のホームページの最大の目的は「受注」ですが、次のような役割も担っています。
- 認知・ブランディング
- 取引先の新規開拓
- アフターフォロー
- 求人募集
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
認知・ブランディング
製造業は、飲食店や美容院などと違って一般的にあまり知られることがない業界です。「〇〇金属」「〇〇食品」という会社名だけ知られていても「何をつくっている会社なのか」知られていない…ということも多いでしょう。
そこで、ホームページが役に立ちます。「何をつくっている会社か知りたい」と思えば、検索行動に出ます。ホームページがあれば、認知度を広げ、会社や製品の魅力を多くの人に伝えられるでしょう。
またホームページを通して「どんな想いでモノ作りしているか」「どんな技術力のある会社か」というコンセプト・強み・こだわりを伝えられるので、自社のブランディングを行うことができます。
認知・ブランディングというホームページの役割によって、顧客獲得につなげることができるでしょう。
取引先の新規開拓
BtoBでは顧客獲得に向けて、企業の担当者に認知してもらわなければなりません。
ホームページは社外への広報の窓口。コロナ禍で展示会の中止や、直接企業を訪問して営業することがためらわれる今、より一層ホームページの必要性が高まっています。どんなに優れた商品を開発していても、知ってもらわなければ意味がありませんよね。
ホームページで、自社の技術力、製品のクオリティ、過去の実績などを伝えられると、見込み客である企業の担当者に訴求することができ、「自社のニーズに合っているな」と納得してもらえる可能性があります。結果的に、新たな取引先の開拓につながります。
ホームページで認知を広げることにより、取引先を新規開拓する役割を持っています。
アフターフォロー
ホームページには、既存の顧客へのサポートの役割もあります。BtoCの製造業であれば一般のお客さま(ユーザー)向けのアフターフォローのコンテンツも発信可能。
たとえば、製品の取扱説明書の配布、製品型番からカタログを見られる機能、製品へのよくある質問など。
製品を提供したら終わりではなく、その後のフォローが充実していることをホームページで発信できるので、信頼性のある企業だと認知してもらえるでしょう。
求人募集
ホームページには、集客と同時に人材確保の役割もあります。
一般的なリクルートサイトと違い、自社採用ページでは文字数に制限がないので、自社の雰囲気や魅力をより自由に伝えられるメリットがあります。写真や動画を使い、実際に現場で働いている先輩社員へのインタビューや製造風景を発信すれば、入社後のイメージもわきやすく求職者の不安を取り除くことができるでしょう。
2.ターゲットを決める
ホームページデザインをする前に、「どんな人に見てもらいたいか」ターゲット設定をしましょう。
ターゲット設定は、「〇〇製造メーカーの担当者」だけではなく、できるだけ詳しく人物像を考えることが成功のカギです。
- 職業
- 性別
- 年収
- 家族構成
- 住んでいるエリア、通勤する会社のエリア
- 悩み事
と、こんなふうにターゲットを設定します。
例えば、「〇〇製造メーカー勤務、開発・設計部門の30歳男性、悩み事(〇〇の新製品の開発において、コストダウンを検討しているが、どうすればよいか悩んでいる)、年収500万円、会社で出世を狙っている」など細かく考えましょう。
そして、設定したターゲットの悩み・不安を解決するようなキャッチコピーを考えましょう。
- このようなお困りごとはありませんか?「コストダウンを図りたい」「設計から制作まで任せたい」こういったお悩みにすべて対応可能です。
- 「年間実績○○件」「短納期」「低価格」の当社にお任せください。
もちろん、コストだけでなく品質についての不安を払拭するようなコンテンツも作りましょう。
キャッチコピーで惹きつけ、下層ページの詳しい製品情報に誘導させる導線がおすすめです。
またターゲットを決めることで、「よくある質問」ページなど、自社ホームページに必要な機能・ページが見えてくるようになり、結果的にデザインで失敗するのを防ぐことができます。
3.予算を決める
ホームページのデザインにこだわりすぎると、料金は高額になる傾向にあります。問い合わせフォームなど設置する機能の選定、SEO対策などのマーケティングにどのくらい費用をかけるのか、などを明確にしましょう。
また、ホームページの更新や運用まで視野に入れられると、「思っていたより費用が高くなってしまった」という失敗を避けることができます。
製造業のホームページデザインにおける重要ポイント
製造業のホームページ制作におけるデザインの重要ポイントは、次の3つです。
- 動画や写真を使って製品紹介する
- お問い合わせへの導線設計
- 採用ページでは情報を充実させる
製品情報をテキストで記載するだけではなく、製品のきれいな動画・写真を載せることで、お客さまによりイメージを持って製品を見てもらえます。人間の脳は、言葉よりも図や写真の方がイメージとして伝わりやすく、記憶に残る傾向にあるからです。
また製造業のホームページデザインで重要なのは、導線設計です。
企業の担当者が新たな取引先を探す際、緊急性が高く、すぐにでも取引先を決めたいケースもあります。
したがって「お問い合わせ」への導線をわかりやすくすることが重要。
見ている人は会社理念や製品情報など、何を見て興味を持ってくれるか予想できません。
したがってページのどこを読んでいても、「お問い合わせ」へのリンクが見えるなど、ユーザーが自社に興味をもった時点ですぐにお問い合わせへ誘導できるようなデザインであれば機会損失を防げます。
そして、採用ページでは求職者が企業の雰囲気を確かめられるように、企業理念・実際の業務のイメージ・求める人物像などの情報を充実させることも重要ポイント。そうすることで、採用後のミスマッチを防ぐことができるからです。
まとめ
製造業のホームページは、デザインを考える前にあらかじめターゲットを決めて、デザインの方向性を定めましょう。
そして、ホームページデザインを成功させるには、動画や写真を用いて視覚的に訴求することがポイントです。またユーザビリティを意識し、お問い合わせしやすい導線や採用ページを充実させることで製造業の「人手不足」や「新規取引先の開拓」といった課題を解決させるホームページになります。